パスタなどに使うトマトソースを作るとき、
通常のレシピ本では缶詰トマトが使用されている。
プロの店舗でも、コスト面から缶詰トマトを使用している店がほとんどだろう。
けれども、自分で同条件で調理してみると、
コストは高くなるが生トマトを使用した方が、断然に美味く感じる。
スペイン酒場のママに尋ねてみると、
そう言われれば、10歳未満な女の子の孫たちがこぞって、
生トマトで調理したトマトソースの方が美味いと言っているという。
恐らく、缶詰トマトには、なにか余計なものが加工工程で入っているからかもしれない。生トマトには、少なくともそうした雑味がない。この雑味がない分、調理工程で加えるコンソメ顆粒やトマトケチャップの風味がより引き立つこととなって、旨味を感じやすくなるのではないかと想像している。
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スペインでは、かなり青いトマトを使うことがあるという。
すると、相当に酸味が強くなるため、そのままでは食しにくい。
その場合には、砂糖を加えると美味くなるという。
酸と甘み、これは「稲荷寿司の法則」で、稲荷寿司はお酢と砂糖がベースの味付けだ。酸味の強いトマトカレーが嫌いな人には、ハチミツなど甘みを加えると好みの味に変わる可能性がある。また、ハウスバーモンドカレーの謳い文句は、「リンゴとハチミツとろ~り溶けてる」なのだから、これまた酸と甘みの「稲荷寿司の法則」にかなっている。
他のレシピ本でも、たとえば伝説の家政婦・志麻さんの書籍にも、トマトの酸味が気になる場合は砂糖を入れるべし、と書いてあったのを発見した。
それに、酢の物のつけ汁にも、かならず砂糖が入っている。
つまりこれはもう、美味くなる調理の法則と言ってもイイのだろう。
落合務シェフの「青い洞窟シリーズ」というトマト系パスタソースにもカラメル色素が入っており、これはもともと砂糖なのだから、風味や色合いの向上と同時にソースに粘りを出して、中毒性を醸し出すことを狙っているに違いない。
ただし、生トマト+コンソメ顆粒にケチャップを加える場合には、ケチャップの中に砂糖がすでに入っているのだから、それ以上甘みを加えるのは控えた方がイイと思われる。
PS:生トマトとコンソメ顆粒といえば、生トマトと生タマネギのみじん切りで作ったサラダは劇ウマになる。ドレッシングは何でもイイが、とにかく劇ウマになる。トマトとタマネギの方も、最高の組み合わせに思われる。