詰め将棋のように理詰めな料理本

元祖SHINSHINさん
元祖SHINSHINさん
牛肉と豚肉を焼くときとでは、火加減が違わなくてはならない。
オムレツとスクランブルエッグの火加減も、真逆にならなくてはならない。
オーブンとフライパンとでは、物理的な火の対流が変わってくることを知らなければならない。
ホウレン草と、ブロッコリーやアスパラガスとでは、下処理が異なる必要がある。
ニジマスのオ・ブルーを鮮やかな青色に仕上げるには、表面のぬめりを取ってはいけない。
ドレッシングには塩が入っているが、それでも別途、サラダに塩こしょうすべき。

こんな感じでお題が並び、次いで逐一、それぞれの理由が簡潔に述べられている。隙間時間に読んでいるのだが、オモロクって仕方がない。

★「西洋料理のコツ」
  的場輝佳・西川清博・木村万紀子著 角川ソフィア文庫 H29.9.25.発行

途中、熱物理学的だったり、化学的だったり、ちゃんと説明がついているところもイイ。普段、凝縮されて書かれているレシピの内容の背景を、この書籍を読む前より深く理解できるようになるに違いない。

また、ところどころで、フランス料理とイタリア料理の理念の違いについても述べられており、そこがまた、たまらない魅力になっている。おまけに、理論的には述べたとおりだが、レストランだったらこうした方が効率がよい、あるいはそーしているはずだなど、素人には決して知り得ない内容についても触れられており、これを読んだ初心者は、即座にノックアウトされるに違いない書籍になっている。

今までに読んだり試してきたレシピを通じて生まれていた疑問点が、この書籍により、点と点が線になって会得していくのを感じることもできるはずだ。初心者は、何度でも再読すべき書籍に思われた。


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