自分の食べたいと思ったものを捜すのが普通だ。
料理経験のまったくないときから、
ソースだけには興味があった。
フランス料理教科書を眺めていると、
そこにでてくる色とりどりなソースが、食べられる絵の具に見えてくる。
幼い頃から、美しい色彩を目にすると、奇妙な興奮を覚えていた。
「檸檬」ではないけれど、透明に輝くおもちゃブロックの黄色を初めて目にしたとき、こんなに美しい色がこの世にはあるのかと、子供ながらに立ちすくんだりした。
以前住んでいた祖父の土地には、画廊があった。
そんなことも関係しているのだろうか、
ソースの見本があると、いったいこれはどんな味のする絵の具なのかと、
興味の尽きない自分に気づく。
★「たれ・ソースの基本とアレンジ571」
学研プラス 2018.2.16.第9刷
カルボナーラの変わりメニューでサーモンを使用したことがあれば、
「鮭のムニエル」にあわせるソースを作りたいと思うだろう。
この書籍を開くと、白ワインソース、ガーリッククリームソース、
レモンマヨソース、バルサミコソース、昆布のうま味ソースという
5種類が写真付きで並んでいる。
眺めているだけで、幸せな気分になる。
すべて試してみないと気が済まない、そんな気分にも襲われる。
ソースレシピを読みながら、頭の中でシミュレーションが止まらない。
こんなに料理が楽しいなんて、なんで今まで気がつかなかったのだろう?
早く、オリジナルソースを開発できるようになりたい。
色とりどりの食器が欲しい。
その上に食べられる絵を、描いてみたい。