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加計問題、報道されない前愛媛県知事の発言全容

歪んでるのは、前川自身

加計問題、なぜか報道されない「当事者」前愛媛県知事の発言全容
J-CASTニュース / 2017年7月11日 19時42分
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答弁に立つ加戸守行氏(参議院インターネット審議中継より)
2017年7月10日に行われた学校法人「加計学園」をめぐる閉会中審査で、インターネット上の注目を集めたのは、一連の疑惑を告発した前川喜平・前文科次官の発言ではなく、愛媛県今治市への獣医学部誘致を進めた加戸守行・前愛媛県知事の約20分間にわたる訴えだった。

前川氏の「行政がゆがめられた」発言に対し、加戸氏は「岩盤規制に国家戦略特区が穴を開け、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい」と反論。さらには、今回の加計問題を報じるメディアへの批判も展開するなど、踏み込んだ発言の内容が賛否を広げている。

「獣医師が確保できない」
加戸氏は旧文部省OBで、愛媛県知事を1999年から2010年まで3期12年務めた。今治市への獣医学部誘致をスタートさせた「当事者」で、今回の閉会中審査では与党側の求めに応じて参院での審議に参考人として出席した。

自民党の青山繁晴議員の質問で答弁に立った加戸氏はまず、

「10年前に愛媛県知事として今治市に獣医学部の誘致を申請した当時のことを思い出して、はなもひっかけて貰えなかった問題が、こんなに多くの関心を持って頂いていること、不思議な感じがいたします」
と皮肉の効いた一言。続けて、鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、文科省への申請は一向に通らなかったとして、

「(前川氏の)『行政がゆがめられた』という発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために10年間、我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けて頂いたということで、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないのかなと思います
と述べた。

さらに加戸氏は、四国では「獣医師が確保できない」現状もあったとして、国や専門団体が獣医学部誘致に反対することは「あまりにも酷い」と感じていたと説明。その上で、

「私の知事の任期の終わりの方に、民主党(当時)政権が誕生して『自民党じゃできない、自分たちがやる』と頑張ってくれた。(中略)ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないで、ただ今治だけにブレーキをかける。それが、既得権益の擁護団体なのかと、悔しい思いを抱えてきた」
と声を震わせて訴えた。

YouTubeが「すべてを語り尽くしている」
このように獣医学部新設をめぐる経過を説明した上で、加戸氏は、自身が訴えてきた獣医師の養成が進まない中で、現在「今治は駄目、今治は駄目、加計ありき」と言われることについて「何でかなと思ってしまう」との不満を漏らした。そして、

「私は、加計ありきではありません。たまたま、今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったからこの話が繋がってきて、飛びついた。これもダメなんでしょうか。お友達であれば、全てがダメなのか」
と主張。続く質問の答弁では、「本質の議論がされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思う」とも述べた。

さらに加戸氏は、加計学園問題をめぐるメディア報道にも不満を漏らした。これまでに受けた取材について、「都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げて頂いたメディアは極めて少なかったことは残念」だと指摘。

その上で、国家戦略特区諮問会議の民間議員が6月13日に開いた記者会見で、加計学園の獣医学部新設のプロセスについて「正当」と結論付けたことを、加戸氏はYouTubeの動画で見たとして、

「これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと思いました。(中略)あのYouTubeが全てを語り尽くしているのではないかな、と思います」
とも話していた。

三原じゅん子氏「加戸氏も大事な事話してるのに、、、」
こうした加戸氏の答弁は、主にインターネット上で大きな注目を集めており、その踏み込んだ訴えの内容に賛否の大きく分かれた意見が出ている。加戸氏の答弁を支持するユーザーからは、

「加戸さんの話は響くものがあった。地方は何か打って出なくてはいけないのに、野党も前川さんも規制で閉めだすことばかり」
「加戸元知事の切実な訴え聞くとこの問題の本質って既得権益を持つ獣医学会との戦いなんだな・・・・て思う」
といった意見が出る一方、今回の発言内容について、

「県議と加計の事務局長がお友達で話が進んだと公平でないことを自分で言ってんだ」
「今治市に獣医学部の大学を誘致したいという彼の熱い思いと今回の政策プロセスの不透明性の間には何の関係もない」
と否定的にみる意見もみられた。

そのほか、前川氏をはじめとした計3人の参考人の答弁のうち、加戸氏の発言がメディアの報道で取り上げられるケースが少ないという指摘も目立った。実際、自民党の三原じゅん子参院議員は7月11日14時過ぎに更新したツイッターで、

「昨日の閉会中審査の模様が報じられていますが、どの番組も平井卓也議員と青山繁晴議員の質疑はスルー。加戸元愛媛県知事も大事な事話してるのに、、、」
との不満を漏らしている。

「安倍総理が好きか嫌いかだけで...」
また、閉会中審査が行われた10日夜に放送された情報番組「ユアタイム」(フジテレビ系)で、番組MCを務めるタレントの市川紗椰さん(30)は、加戸氏の答弁について、

「私が印象的だったのは、加戸前愛媛県知事です。なんか、それがすべてだったのかなって気もした。経緯を丁寧に説明していて、辻褄が合うんですよね、議事録とかを見ると。なんか、いいのかなって、納得しちゃいました」

と好意的に捉えていた。

また、同番組では、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が、加計学園をめぐる問題を報じるメディアへの「苦言」を漏らす場面も。

モーリー氏は「(加計学園問題は)そもそも様々な観点があるし、メディアは、それを能動的に一番初めに取材できたと思う」とした上で、

「ただどうしても、野党による内閣への追及ということで、ショーアップに加担して尻馬に乗ってしまったように思います。だから下手をすると、今回信頼を失うのは自民党というよりも、メディアが敗者になる可能性があります」
と指摘。続けて、「(メディアは)本来の機能を果たしてこなかったんじゃないか、エンターテインメントと報道を混同してまったのではないか。そう自戒を込めて思います」とも話した。

こうした発言を受け、市川さんは「この問題について話す人は、目の前にある材料というよりも、安倍総理が好きか嫌いかだけでポジションを取っているような...」との感想を漏らしていた。
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