最後の晩餐を伴にした詩人が、
桜庭一樹のように三島由紀夫をバラバラにしてみた書籍。
★「在りし、在らまほかりし三島由紀夫」
高橋睦郎著 平凡社 2016.11.25.初版第一冊
この中で、高橋がオモロイことを述べている。
三島由紀夫は、ラストシーンから書き始めるという説だ。
そう言われれば、「仮面の告白」は特にそうなのかもしれない。
それからオモロイのは、
この高橋という詩人は小説も手がけるそうなのだが、
どんな作品を手本にしたらよいか三島に尋ねたところ、
奨められた二冊の内一冊が、
なんと野坂昭如の「エロ事師たち」なのだという。
「エロ事師たち」を実は読んだことがあるのだが、
独特な野坂節全快で、それはそれはエロオモロイ作品。
何故この作品を高橋に奨めたのかというと、
実はどーあがいても美文体から逃れられなかった三島は、
野坂のような野放図な文体に憧れていたからではないかと。
また、高橋に言わせると、
「天人五衰」の終盤での、あのぶっ壊れ方が素敵なのだという。
一節には、あのぶっ壊れ方は時間がなかったからなのではないか
とも推察されているというが、
高橋は独自な説を唱えていた。
このように、さもありなんな話が、満載になっている書籍なのであった。
PS:さすがに詩人だけあって、
ところどころ詩についての高橋論が展開されていて、
詩に疎いオイラにはオモロかった。
何度も読み返したいと思える書籍。