呑気呆亭さんのブログ
カブドットコム証券株式会社に対する行政処分について
平成27年5月26日
金融庁
カブドットコム証券株式会社(以下「当社」という。)に対する証券取引等監視委員会による検査の結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたとして、平成27年5月15日、行政処分を求める勧告が行われました。
○システム管理が十分でない状況
(1)システム障害の管理が極めて不適切な状況
当社のシステム障害の管理の状況を検証したところ、
ア発生日時や事象の異なる複数のシステム障害が1件にまとめられ、実際に発生したシステム障害件数よりも大幅に少ない件数が執行役等に報告されており、執行役等もこれを容認していること
イ顧客影響数について必要な確認が行われていないこと
ウシステム障害の状況等の確認、原因究明、再発防止策等の検討及び執行役等への報告が、社内規程で定められた期限よりも大幅に遅れて行われていること
など、システム障害の件数、顧客影響数及び原因分析や、改善・再発防止などの実施状況を正確に把握できない状況となっている。
さらに、
エ金融庁長官に報告されるべき多くのシステム障害が報告されていないこと
オシステム障害が発生し顧客に影響を及ぼしているにもかかわらず、適時に顧客に告知していない事例が認められること
から、当社のシステム障害の管理は極めて不適切な状況にあるものと認められた。
(2)システム開発の管理の不備
当社は、
アシステム開発における品質管理を定めたガイドラインにおいて、基本的なテスト項目に漏れがあることから、開発工程におけるプログラム不具合等をテストで検出できておらず、品質管理が不十分なものとなっており、開発後に顧客に影響を及ぼす多数のシステム障害が発生していること
イシステム開発の進捗管理が社内規程で定められたとおりに実施されておらず、また、執行役等には、システム開発の作業内容の報告しか行われず、進捗や遅延の状況を正しく管理、把握できるものとなっていないこと
から、当社のシステム開発の管理には不備が認められた。
(3)内部監査が機能していない状況
システムの実務運営上の問題を検出するだけの知識を有する監査要員が不足しており、また、実際にはシステム開発における品質管理や進捗管理に係る検証を実施していないにもかかわらず、これらについて概ね問題ないことを確認した旨を取締役会等に報告していた。
当社における上記の業務運営の状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第14号に掲げる「金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当するものと認められる。
以上のことから、本日、当社に対し、以下の行政処分を行いました。
○金融商品取引法第51条の規定に基づく業務改善命令
(1)不適切なシステムリスク管理態勢が常態化していた原因を分析し、責任の所在を明確化するとともに、経営管理態勢の見直しを行うこと。
(2)システム障害に関する管理基準に沿った処理が実施されていなかった事例も含め、過去のシステム障害事例の検証を行い、想定される事案と対応策を類型化すること等により、実効性あるシステムリスク管理態勢を構築すること。
(3)役職員にシステム開発管理の重要性を認識させるとともに、適切な業務運営を確保するため、規程類・業務手順の見直しや研修等の実施に取り組む等、システム開発管理態勢の強化に取り組むこと。
(4)システムリスク管理全般の有効性を適切に検証するため、外部システム監査の適切な実施とあわせ、内部監査部門の機能強化を図ること。
(5)上記(1)から(4)までについて、平成27年6月25日(木)までに、書面で報告すること。
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平素は当社をご愛顧いただき厚く御礼申し上げます。
本年5月15日、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対し、当社に行政処分を行うよう勧告が行われておりましたが、本日、当社は金融庁より、「システム管理が十分でない状況」であるとして業務改善命令を受けました。
このような行政処分を受けたことにつきまして、お客様には多大なるご心配・ご迷惑をお掛けしましたことを心より深くお詫び申し上げます。尚、現在お客様に提供させていただいております各種サービスには影響はなく、従来と変わらずご利用いただけます。
カブドットコム証券株式会社に対する行政処分について
当社に対する金融庁の業務改善命令について
ここ数年来、長時間にわたるログイン・受注不能といった大規模システム障害が発生しておらず、また当社の株式取扱いシェアが過去最高を記録するなどお客様からいただく取引が順調に拡大していくなかで、システム開発工程管理やシステム障害管理・監査態勢が不十分であったことは紛れもない事実であると深く反省しております。
今般の行政処分を厳粛かつ真摯に受け止め、システムリスク管理を含む一層の内部管理態勢の強化・拡充のため、実効性のある改善計画の策定と諸施策の確実な実行により、皆様からの信頼を1日でも早く取り戻せるよう、全社一丸となって努力してまいります。改善計画が纏まりましたら改めてご報告させていただきます。
今後とも変わらぬご指導、ご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
カブドットコム証券株式会社
代表執行役社長 齋藤 正勝
処分が「新規顧客・サービスの一定期間提供禁止」でなくて、ホッとしたかと。
要は、「指摘された問題点に対する改善実施内容を、期日までに書面で報告」。
これ、書面で報告するのは改善計画案でなく、改善実施内容なのがミソ。
期日までの改善実施による、違法状態の解消を要求されているわけですね。
一顧客としては、「改善計画が纏まりましたら」すぐ報告してもらえなくても、
まずは改善がしっかり実施されることが安心につながると思っています。
>「外部システム監査の適切な実施」がキーになるような気がします。
むしろ、十分な知識を有する内部監査要員の確保が問題かと。(苦笑)
システム開発をやっている組織であればどこであろうとも、
障害・開発の管理については多少なりとも経験があるはずで、
外部から助言・人材を得ることはそれなりに可能と思います。
しかし、独自に開発したシステム全般に詳しい内部監査要員を、
何人か確保して、中立・独立した内部監査組織を組むとなると、
外部からの人材に頼れない分、かなりハードルが上がります。
内部監査に不適合であれば、システム開発部隊のみならず、
執行役や社長ともきちんとケンカできる人材が求められます。
>そのような人材が内部に居れば、今回のような問題は起きなかったのでは?
いないとシステムの開発はおろか、運用・維持もできません。
ただ、内部監査をする役割は与えられていなかったかと。(苦笑)
>私が新しい親会社からの人材に期待したのはこのあたりです。
システムがちゃんと理解できなければ、内部監査ができません。
外部から来て、独自開発のシステムを短期間に理解できるほどの
人材がいるようであれば、とっくに独立して起業しているかと。(爆)
どうやら、「十分な知識」という部分に、見解の相違があるようですね。