原油を初めとする資源価格の下落で、大手総合商社5社の業績は急激に悪化し
第三四半期時点の純利益は大手5社合計8679億円(前同比-29%)という状況です。
また、この時点で5社の減損額は約4400億円ですが、最終的にはさらに増える恐れがありそうです。
そこで企業ごとの実態を整理してみました。
◇大幅減益は免れそうな商社
8058三菱商事 第三四半期純利益3153億円(前同-6%) 減損額350億円
北米や欧州のガス・石油開発事業で350億円の減損処理
資源分野は1~3月期に300億円程度の追加減損を想定
8001伊藤忠商事 第三四半期純利益2313億円 (前同+3%) 減損額130億円
米石油ガス開発で130億円の減損処理
ブラジルの鉄鉱石案件で減損を計上する可能性あり
反面、中期経営計画で「非資源No.1商社」という目標を掲げ
14年4~12月期は自動車販売増による機械事業の好調などで
純利益に占める非資源比率が86%(前期は76%)に高まり、唯一増益を確保
◇大幅減益を強いられる商社
8053住友商事 第三四半期純利益▲102億円 (前同1804億円) 減損額1928億円
米国シェール関連の損失1736億円。採掘コストに見合う収入が見込めず、同案件から撤退
米国のタイヤ事業で219億円の損失を計上
豪石炭事業で242億円の減損
さらに3月25日、米石油開発やブラジルの 鉄鉱石事業で追加減損損失が850億円発生したと発表
これに伴い、今期の連結当期損益見込みを 前回予想100億円の黒字から850億円の赤字に修正
8002丸紅 第三四半期純利益 770億円 (前同-52%) 減損額1480億円
チリの銅事業で約100億円、豪・カナダの石炭事業で約320億円の減損など
ただ同社の場合、2013年に27億ドルで買収した米穀物会社、ガビロン社の「のれん」の500億円に上る減損処理が大きく、国内会計基準と国際会計基準の「のれん」に対する取り扱い基準の違いが
巨額の減益に繋がった
8031三井物産 第三四半期純利益2544億円 (前同-20%) 減損額480億円
通期では最終減益予想だが、さらに追加減損の可能性を示唆
資源依存度が最も高い企業で、原油安に伴い石油・ガス生産事業で480億円の減損を計上
三井物は減益要因のうち710億円が鉄鉱石、100億円は石炭の市況悪化が理由で
石油・ガス関連の減損額を上回る
以上大手商社5社を比較すると、資源価格の影響をまともに受けたのは住友商事で
特にシェールガス開発の誤算が大きかったと思われます。
また丸紅の場合は国際会計基準の「のれん」処理が大きな負担に。
三井物産は原油以上に鉄鉱石市況の影響を大きく受けたことが解かります。
(2768双日、8015豊田通商は順調に業績を伸ばしています)
しかし赤字に転落した住友商事の株価が今年に入り上昇トレンドを続けている様に
大手商社の株は悪材料出尽くしという意味ではむしろ買い時かも知れません。