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高純益を更新するわけ
日立製作所<6501>、東芝<6502>、三菱電機<6503>の重電3社の2015年3月期は、いずれも過去最高営業益を更新するのが確実だ。リーマンショック以降、長引くデフレや円高に苦しめられてきたが、新興国市場やB
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Bへの展開を加速させた政策がようやく花開いたといえる。
直近の2014年度第3四半期(4~12月)決算は3社ともに増収増益となった。営業利益ベースでは、日立が3221億円(前年同期比9%増)、東芝が1648億円(同6%増)、三菱電機は2013億円(同41%増)だった。
特に好調を牽引しているのがインフラ関連部門だ。中国でのビル建設活況に伴う昇降機(エレベーター)の新設、新興国での鉄道整備、さらに景気回復が進む米国やアジアでの業務用空調の需要増など、海外案件に支えられた。一方、国内の消費回復の遅れから、家電部門は苦戦をしいられた。
■日立はインフラ、東芝はデバイスが引っ張る
日立では鉄道関連や昇降機などの社会・産業システム部門の快走が続いている。第3四半期までの部門営業益は125億円から317億円と倍以上に拡大。子会社の日立ハイテクノロジーズでも血液を分析する装置などの受注が増加した。
グループ横断でコスト削減を目指す「日立スマートトランスフォーメーションプロジェクト(スマトラ)」の効果も大きい。9カ月間累計で710億円を削減でき、利益率の改善に貢献した。
ただ不安材料がないわけではない。主要9部門のうち一部プロジェクトの追加費用で赤字が拡大した電力システムや、中国の需要が低迷した建設機械はともに減益。通期でも厳しい見方をしている。
東芝はNANDフラッシュメモリがスマートフォンやデータセンター向けに好調。電子デバイス部門で1777億円の営業益を稼いだ。また他社が電力事業で苦戦する中、子会社・米ウエスチングハウスの原子力発電所の燃料事業が伸びており、電力関連で増益を達成したのは東芝だけだ。電力・社会インフラ部門の営業益は400億円と前年同期の80億円から大幅増となった。
東芝はスマホ向けのNANDフラッシュメモリなど電子デバイスが好調を続けている
その東芝に迫るのが三菱電機だ。主因は産業メカトロニクス部門。中国でスマホや自動車向けの設備投資が増えたことにより、FA(ファクトリーオートメーション)が絶好調だった。加えて国内製造業が設備更新も追い風となり、部門営業益は1082億円と前年同期の713億円から拡大した。
三菱電機も日立と同様、電力関連の重電システム部門で不安要素が残る。前期にあった国内原発の安全対策工事が一巡したことなどで、営業益は325億円(前年同期433億円)と、全部門中で唯一減益となった。もっとも同部門では中国やASEANにおいて昇降機や交通事業が堅調だ。
第3四半期の実績を受け、3社は今期予想でそれぞれ対照的な動きを見せた。
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