予想したのとは、少し違っていた。
ラストシーンが、特にオイラのお気に入り。
婚約しそうにまで至った園子との密会中、
ダンスの後で、偶然に遭遇した聖セバスチャン的男性に魅了されてしまう主人公は、
正常とされる異性愛と、異常とされる同性愛の狭間で幻惑されてしまう。
そんなコントラストが、みごとに描写されているラストシーン。
シビれてしまった。
たった24歳で、この作品を書いていたなんて衝撃的だ。
★「仮面の告白」
三島由紀夫著 新潮文庫 490円+税 S.25.6.25.発行 H.24.3.5.一四八刷
私小説に思えるこの作品、
だったらなんで三島由紀夫は、太宰のことが嫌いだったのだろうか?
三島は、私小説が嫌いだったから、太宰のことも嫌いなのかと思っていたのだけど。
解説によると、
一見、私小説に見えるであろうこの作品は、
実は緻密に計算されて書かれたものであるとされていた。
小説の中の小説なのだという。
そうすると、この作品は私小説ではない可能性もある。
太宰には、こういう緻密さが欠けていたとして、
三島は嫌っていたのだろうか。
因みに村上春樹は、三島の文章はあまり好みではないと書いていた。
オイラは、三島の文章、思っていたよりイイと思った。
村上春樹が、三島の「仮面の告白」を書き直すってのも、オモロイ企画なのかも。
やってみて、おくんなはれ。。
偶然なのだけど、「仮面の告白」には次の曲が良く合うように思える。
https://www.youtube.com/watch?v=CAiy5P0gYz4
「Betcha' Wouldn't Hurt Me」 Patti Austin / Quincy Jones
この曲は、前半が良くって後半はイマイチなのでけど、
その前半があまりに良すぎるので、再度聴きたくなってしまうという、
ちょいと釈然としない曲だ。
PS:これはオイラの幻想なのだけど。
三島は東大法学部ということで、
なんだか大沢在昌「新宿鮫」の鮫島に、被って見えたりもしている。
なので実は、「仮面の告白」の主人公を、鮫島だと思って読んだりしていたのだった。
そんな読み方をしても、オモロイかと思う。