いつもの書店で「月刊ムー」を手にしたあと、
振り向くとそこには、文藝春秋3月号。
あと2冊しかなかった。
第150回の芥川賞・「穴」掲載号というだけでなく、
それにまつわる企画読み物が、大変にオモロイ。
★「宮本輝×村上龍 選考委員特別対談」
宮本輝という作家が、ここまでナルシストとは思わなかった。
どうやら、田原俊彦タイプらしい。
しかしこの対談を読んで、宮本輝の作品に是非触れてみたいと思った。
しっかりと、そのエッセンスを盗もう。
村上龍は、「ヒリヒリとした」ものが今どきの作品にもっと欲しいといっていた。
ちょいとヒントになった。
★「元選考委員が今だから明かす舞台裏」
~大江健三郎との激論~ 石原慎太郎
可哀想に、島田雅彦が慎太郎に苛められていた。
NHKの「文学で100分」とかいう番組をみて、オイラは島田雅彦のことを気に入っている。
そのとき彼は、井原西鶴の話をしていたのだった。
彼の文学講座がもしもあるのなら、絶対に受講したい。
「選考会での島田ナニガシのペラペラした饒舌を聞いてうんざりしたんだ(笑)」
と慎太郎は語っている。これは裏返せば、褒められたも同然なのだ。
島田雅彦・文学講座をCDにして、是非是非、売るべきだ。
★「上同」
~意見が合わなかった石原さん~ 池澤夏樹
池澤夏樹が語る石原慎太郎語録は、オモロ過ぎる。
池澤夏樹は石原慎太郎とバトルして、芥川賞を選考してきたのだという奇蹟がよくわかる。
嗚呼、ひどい目に遭った川上弘美がそこに・・・。
★「作家の本音 大座談会」
小川洋子・川上弘美・川上未映子・綿矢りさ
いつも若かった頃のカワイイ写真を作品に載せてばかりいて、
実はすっかり太ってしまっていた川上弘美が、
いつのまにやら激ヤセして驚いた。
さらに彼女は、神奈川県の秦野にいるらしいとわかって、
またまた驚くと同時に親しみが増した。
「私は、選考会のあとは、いつも大酒を飲んじゃうなぁ」
早くスナックを開いてくれ。秦野だろうがどこだろうが、オイラは通うぞ。
(だけど、出入り禁止にはしないで欲しいのw)
★「私が感動した芥川賞ベスト3」
いろいろな人が述べているのだが、
あの「削って削って」専門な、北方謙三親分が語ったベスト3は・・・(内緒)
文体についての考察が、これまた味があって。。
★「芥川賞選評」
山田詠美の辛口批評がブヒブヒと復活していて、オモロイ。
堀江敏幸の選評は、いつもどおり実に凝っている。
その上さらに、村上春樹の第4回・短編「独立器官」も掲載されている。
今回の話も、身につまされる話だ。
実話風に描かれているところが心憎い。
本当かも知れないし、虚構かも知れない。
内田康夫のように完全ではないにしろ、たとえ土地の名前でも実名を取り入れつつある作風が、
物語を本当かも知れないと思わせる。
読売に出ていた書評で、ミシェル・ウェルベックが書いたという「地図と領土」がある。
ひょっとしたら、デイヴィッド・ゴードン「二流小説家」が刺激になったのでは?
と思っているのだが、実名を交え、章ごとにSFやらミステリやら作風が入り乱れるという。
実名が交わるとリアルになるという手法に加えて、オモロイ趣向が加わる。
ちょいと、読んでみたいと思っている。
★「穴」小山田浩子
シナリオのない小説の部類に入ると思われる。
穴というファンタジックなアイテムが、
村上春樹「ねじ巻き鳥クロニクル」に出てくる井戸を思わせる。
が、いまひとつオモロイとは思わなかった。
途中で寝た。スマン。。
(じゃぁ、どこをどうしたらもっとオモロクなるのか考えるのも、一興)