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コラム:2014年の10大政治リスク
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYEA0704B20140108?sp=true[7日 ロイター] - 国際政治学者イアン・ブレマー2008年の金融危機以降、世界最大のリスクは経済だった。ユーロ圏のメルトダウンから中国経済のハードランディングや米債務危機まで、アナリストらは過去5年、いかにして「金融崩壊」を回避するかに気をもんできた。しかし、それは終わった。2014年、大局的な観点から見た経済は比較的安定している。一方、地政学的問題が非常に大きな変動を見せている。中心的な役割を果たす国が不在の「Gゼロ」世界の姿が、ますます浮き彫りとなっていると言えよう。以下に、今年の政治リスクのトップ10をまとめた。10位:トルコ新興国の中では今年、トルコが特に不安定な存在だ。隣国シリアの内戦から波及する問題のほか、クルド系反政府組織の勢力拡大、エルドアン首相に対する国民の反発を契機に強まった政情不安を抱えている。エルドアン首相は自身の政党の内外で反対勢力を厳しく非難しており、2015年に予定されている次の総選挙が前倒しされる可能性がある。9位:ロシア政府プーチン大統領は依然として、世界で最も重要な国の1つで唯一の最高権力者として君臨し続けている。しかし、国民からの支持は著しく低下しており、原油に過度に依存するロシア経済は停滞している。これにより、ロシア情勢の予測はかなり難しくなっている。ただ、それでもなおプーチン大統領は自身が望む政策を実行できる。2014年のロシアは不測の事態を見込んでおくべきだろう。8位:中東の混乱拡大中東情勢は過去3年の混乱を経て、一段と混迷の度合いを深めそうだ。2014年は、イラク政府に対するイランからの影響力が強まるのに伴い、イラクでの治安が急激に悪化すると予想される。また、米国の中東政策をめぐる混乱、イランの核開発問題、アルカイダの脅威、エジプトとチュニジアの政情不安なども、中東を一段と不安定化させる恐れがある。7位:アルカイダアラブ世界の混乱は、スンニ派過激組織とアルカイダ系グループが再び台頭することを許し、シリアの内戦はイスラム聖戦主義者を引きつける強力な磁石になっている。米国本土は9・11同時多発攻撃の後に比べれば安全だが、中東や北アフリカでは、現地政府や西側機関は今や彼らの格好のターゲットとなっており、危険が高まっている。6位:戦略的データインターネットとその管理は、国家の果たす役割が増すにつれ、ボトムアップ型のオープンソース分野からトップダウン型の戦略的分野に変容しつつある。2014年はその傾向がさらに加速するとみられる。サイバー攻撃も受けやすくなっており、企業のインターネット管理コストは増すことになるだろう。5位:石油大国非従来型のエネルギー革命(シェール革命)は重要な地政学的影響を持つが、過去数年は産油国への影響は限られていた。2014年は、この傾向が変わるだろう。生産量の一段の拡大、原油価格の下落圧力、産油国間の競争激化により、ロシアやナイジェリア、ベネズエラ、サウジアラビアなど石油大国が打撃を受けるだろう。4位:イランイラン核プログラムの進行、制裁によるイラン経済への壊滅的な影響、昨年6月の大統領選でのロウハニ師の劇的な勝利は、イランと西側の核協議での包括的合意に向けた道を開いた。イラン核問題はさらに進展すると予想するが、仮に交渉が不調に終われば、軍事行動のリスクが高まる。どちらにせよ、イラン核問題をめぐる交渉は、今年が本当の正念場となる。3位:新しい中国習近平国家主席を中心とする中国の指導部は、過去20年では見たことないほどの広範囲な改革を掲げた。しかし、実行には大変な政治的試練が待ち構えており、失敗すれば改革のみならず指導部そのものが弱体化する可能性がある。あまりに多くの改革を性急にやり過ぎれば、既得権益を手放したくない共産党内部からも反発が出てくるかもしれない。一方、改革の成果が少なすぎれば、国民の不満が噴出することになりかねない。2位:新興国デモ新興国を代表する6カ国、ブラジル、コロンビア、インド、インドネシア、南アフリカ、そしてトルコでは、選挙が問題になる(中国に選挙はなく、ロシアの選挙も当てにならない)。こうした国々では、経済成長の鈍化と新たに生まれた中間層からの要求が、不確実性の高まりを生み出す。ブラジルやトルコ、コロンビア、ロシア、ウクライナで最近行われた反政府デモは、市民の不満が抗議行動に直結する可能性を浮き彫りにした。1位:米国の同盟危機中東政策のつまずき、スノーデン容疑者問題、議会の機能不全などにより、米国の外交政策は国際社会にますます理解されにくくなっている。安全保障面では、米国の最友好国であるイスラエル、英国、日本にとって選択肢はほとんどないが、ドイツやフランス、トルコ、サウジアラビア、ブラジルにはそれは当てはまらない。こうした国々は米国との緊密過ぎる関係を避け、米国発の問題が自分たちに波及するのを防ぐため、世界での立ち位置を変え始めるだろう。*筆者は国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。スタンフォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとなった「The EndoftheFreeMarket」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書多数。*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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