AAI Fundさんのブログ

最新一覧へ

« 前へ599件目 / 全2295件次へ »
ブログ

【書評】『切腹の日本史』大野敏明著 最後の瞬間まで自分らしく



記事によると、なぜ腹? 自死ならノドや心臓を突いても同じなのに、どうして腹を一文字に切り裂かねばならないのか。積年の疑問が本書を読んで氷解した。

内臓を引きずり出して白日にさらすには腹を切るしかない。それは自らのもっとも深いところにある思いを行為によって明らかにすることだった。腹からあふれだすのは、愛、忠義、憤怒、無念等いずれも言葉にすれば軽くなってしまう真情にほかならない。

本書には戦国から平成まで200近い事例が記されているが、いずれもストイックなまでに簡潔、平明な筆致で描かれている。そのためかえって凄惨(せいさん)な情景や腹を切る人間の心根が生々しく立ちあがってくる。

紹介された切腹の事情はいずれもひしひし迫ってくるのだが、あえて2つあげたい。

ひとつは新選組最後の局長、相馬主計。新政府軍にあくまで抵抗し、五稜郭で土方歳三とともに戦って敗れた。降伏後、旧幕府によって局長を命じられ、罪を背負って遠島となる。そこで結婚して子まで授かった。その後、許されて東京に戻ったばかりか、新政府の重鎮に鳥取県令(今の知事)にまで推挙される。だが、これを固辞。数年後、自分の身の回りも世情もようやく落ちついた頃、一人、腹を切って果てる。新選組に武士集団としてのけじめをつけたといえまいか。

今ひとつは平成生まれの大学生が、一昨年、金沢の護国神社で果たした切腹。その前年、巡視船に衝突した中国漁船の船長を民主党政権は釈放してしまった。その学生は政府の国防政策に憤慨、失望していたという。一命をもってときの政府を諫(いさ)めたのだ。

反戦を訴え、焼身自殺する僧侶は世界的ニュースになる。命は一つ、誰しも平等というなら、この学生の声にも等しく耳を傾けなくてはならない。

『葉隠』に武士道とは死ぬことと見つけたりという。本書を読むと、武士が単なる死にたがりではないこと、また、切腹は最後の瞬間まで“自分らしく生きるための行為”だと納得できるとのことです。


内容紹介

日本にしかみられない責任の取り方としての切腹は、武士の究極の矜持の現れといえる。

鎌倉時代にはじまり、戦国期の武士のならいとして定着してきた身の処し方。戦に敗れた者は首級を取られる前に潔く腹を切り、自害して果てた。

江戸時代には、刑罰として罪を償うために、またあらぬ不名誉な汚辱を注ぐために切腹するのは一家の存続を確保する意味合いもあった。覚悟の上の死の作法は厳格な儀式となっていた。主君に抗議しての諌死や、後を追っての殉死での切腹もまた日本人にしかみられない行為である。歴史に刻まれた武士道の振る舞いの、背景とその真情に迫る。

松平信康、千利休、古田織部、豊臣秀次、浅野長矩、大石内蔵助、平田靭負、高山彦九郎、松平康英、渡辺崋山、新見錦、新選組、真木和泉、、武市半平太、川路聖謨、白虎隊、西郷隆盛、乃木希典、河野寿、中野正剛、三島由紀夫、森田必勝、影山正治などの事例を引きながら、名誉ある死に赴いた者たちの潔い生き方について検証する。






切腹の日本史 (じっぴコンパクト新書)
posted with amazlet
at 13.05.26

大野 敏明
実業之日本社
売り上げランキング: 257

Amazon.co.jpで詳細を見る









【送料無料】切腹の日本史 [ 大野敏明 ]

価格:800円(税込、送料込)









▶ 楽天koboイーブックストア

新着ピックアップ/新作追加!ebookセレクション!

▶ 楽天市場の総合ダウンロード販売サイト

PCソフト・ゲーム・動画・アニメ・コミック・写真集など総合ダウンロードサイト!

▶ 楽天レンタル

アニメ、韓ドラなど動画が見放題!/24時間、ネットで簡単レンタル!

Ads by SCL


コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。