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【書評】『俳句で綴る変哲半生記』小沢昭一著



記事によると、昨年12月10日に83歳で没した俳優、小沢昭一の遺句集(没後出版された句集)。多くの日本人がラジオから流れる「小沢昭一の小沢昭一的こころ」に耳を傾けた思い出をもっているであろう。

書名からは俳句入りエッセー集といった印象があろうが、実際は7篇の好エッセーを含む4千余句の句集。しかも、完全な編年体。「変哲」は、父の号を継承したものという(巻末年譜)。ノンフィクション、フィクションとバラエティーに富んだ4千余句は、読者を少しも飽きさせないで、一気に読了へと誘う。さすが変哲こと名優小沢昭一の面目躍如とする芸風ならぬ俳風である。

晩年の句に〈少年の日をふと思う夜や冬近し〉があるが、変哲句の魅力の一つとして、少年時代の思い出を形象化したであろうと思われる佳句が少なくない。それらの作品は、風俗詩としても貴重である。読者の郷愁を掻き立ててくれる。

例えば、〈梅雨空や土管で遊ぶ子供たち〉〈天瓜粉して校庭の映写会〉〈その晩のうちにこわれて走馬燈〉〈何捕りに行くか父子(おやこ)の夏帽子〉といった類の句群である。

〈懐爐(かいろ)の火吹く早暁の釣りの宿〉〈ビール買いに走る女(ひと)あり友訪(と)えば〉〈足の先出してうとうと春炬燵(はるごたつ)〉〈蝙蝠(こうもり)や帰り仕度(じたく)の大工たち〉〈マスク一つ踏まれてありぬ終電車〉〈十薬の花やはばかり借りる庭〉〈グラジオラスもと女教師の四畳半〉といった庶民生活が活写されている作品群も魅力である。

これらの作品には俳句文芸の本質である「俳」が滲(にじ)み出ていて、人の心をやさしく慰めてくれるとのことです。



内容紹介 発売日: 2012/12/21

「私にとって俳句は遊び。だから真底楽しい」と語る著者。東京やなぎ句会発足の折に、初めて俳句と出会い、はや四十年余。東京やなぎ句会のほか、さまざまな句会にも参加し、詠んだ俳句はなんと四千にものぼる。本書ではその全てを、俳句にまつわるエッセイと共に収録する。俳句と句会・句友への愛と感謝に満ちた、変哲句集の決定版。





俳句で綴る 変哲半生記
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