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脱原発依存 エネルギー戦略策定へ

脱原発依存を「過半の国民が希望」と政府総括、エネルギー戦略策定へ

[東京 28日 ロイター] 政府は28日、新しいエネルギー戦略の策定に向けてこの夏に行った国民的議論に関する分析と総括案を公表した。焦点の原子力発電については「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」と指摘した。


総括案は世論調査の専門家などによる会合で提示され、会合での指摘を踏まえて古川元久国家戦略相が内容をとりまとめ、エネルギーと環境に関する政府戦略を策定する「エネルギー・環境会議」に報告する。閣僚らが出席する同会議で9月中に新しいエネルギー戦略が策定される見通しだ。


古川国家戦略相は会合後、記者団に「少なくとも過半の国民が原発に依存しない社会を望んでいる」との分析が「原発ゼロの社会を望んでいる」との解釈となるのかどうかについて、「原発をなくしていきたいという思いの方が過半を占めている。それが今回の国民的議論の中で様々な意見を検証した結果だと思っいる」と述べ、政府の新しいエネルギー戦略の中で「原発ゼロ」に何らかの形で踏み込む可能性を示唆した。


一方で、政府の総括案では、原発に依存しない社会について「実現に向けたスピード感に関しては意見が分かれている」とも分析。「原発に依存しない社会」や「原発ゼロ」をいつ実現するかの期限を明示することには慎重な姿勢をにじませている。野田政権はすでに「脱原発依存」の方針は示しているが、より踏み込んだ「原発ゼロ」を新しいエネルギー戦略に盛り込むのかどうか。国家戦略室の日下部聡審議官は報道陣に対し「最終的にどういう方針を打ち出すかは政治判断で、現在はまだ決まっていない」と説明した。


政府は7月から8月にかけて新しいエネルギー政策の策定で、全国各地での意見聴取会やパブリックコメントの募集、無作為で選んだ国民に泊りがけでエネルギーに関する議論に参加してもらい意識の変化を探る「討論型世論調査」を実施。これらに加え、マスコミの世論調査、インターネットでの調査や経済団体やNGO(非政府組織)からの提言といった手段を通じて国民的議論を実施した。


焦点は、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所の事故により国民に不安が広がった原発の将来の扱い。複数の政府審議会の議論を踏まえ、2030年時点での原発依存度について、1)ゼロ、2)15%、3)20─25%の各シナリオを提示し、国民各層に意見を求めた。


<若年層の原発維持に対する支持高く>


国民的議論では、原発ゼロへの支持率がパブリックコメントで9割、意見聴取会で7割に上った。今回の調査手法の目玉としてとらえられている討論型世論調査ではゼロへの支持が5割近かった。15%シナリオへの支持は各種世論調査では3割から5割に上り、各シナリオ中で最も支持を得るケースやゼロシナリオに次いで支持を得るケースがあった。

20─25%シナリオは討論型世論調査、各種世論調査ともに1―2割程度の支持があり、経済団体の支持が多かったほか原発立地自治体からも支持する意見があった。性別、年齢別では、女性がゼロシナリオ支持が多く、10─20歳代といった若年層では原発維持に対する支持が他世代に比べて高かったとの結果も出た。


政府の総括案では、過半の国民が「脱原発依存」を望んでいると指摘。その上で、1)その実現に向けたスピード感に関しては意見が分かれている、2)(約9万件の)パブリックコメントなど原発ゼロの意思を行動で示す国民の数が多いという背景には、原子力政策に関する政策決定のあり方に関する不信、原発への不安が極めて大きい、3)国民は、2030年時点のエネルギーミックスの数字よりも、どういう経済社会を築いていくかに関心が高い、4)政府は、反対する意見、論点に対する回答を用意しながら戦略を提案する必要がある─との分析を示した。


討論型世論調査では、固定電話を通じて回答者にアプローチしたが、固定電話を持つ若者が少なくなっていることから20歳代の参加が非常に少なかった。このため検証会合では出席委員から、「若年層のアンダーリプレゼント(意見が十分反映されていない)は明確。未来選択をしようとしている議論なのでこの点を真剣に考えるべきだ。2030年以降の社会の主役に対して問題が残る」(小林傳司・大阪大学教授)との指摘が聞かれた。

 

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