東京駅の皇居方面への地下街で写真展がある。その中で、震災被災地で、茫然と立ちつくす親の脇で2歳の女の子が「私がみんな直してあげる。」と言ったという写真があるそうである。(12月11日、日経春秋)
何とも、胸の痛くなる話である。2歳の子供にも、親の沈む気持ちを何とか励まそうとしたのか、あるいは、子供にも惨状をみて、なんとかしなければならないという、気持ちから、発した言葉であったのか。子供なりに、何とかしたいという自然な気持ちが言葉になったものだろう。
人々が生きる上で、互いに励ましあう事は時を超え、時代を超え求められる事であろう。60年前では、地方では大家族であり、近所の集落が助け合い生きてきたものだ。今は、核家族が中心で、隣近所の付き合いや、助け合う事が少なくなっている。特に東京などの都会では顕著である。人は沢山いるのに、その中の一人は孤独でいる。殆どの日常において、一人でいる事を強いられている。
この3月の震災後、日本人に、自然の脅威、社会のもろさ、生きることの、厳しさを誰でも,感じとった事だと思う。改めて、地域社会の連帯、お互いに弱い人どうしが助け合う事を、再認識させてくれた。そしてこれから、冬が来る。弱い人間どうしが、助け合う事が、社会という枠の中で、思いやりの大切さを感じとり、少しはこの日本に生まれ,住んで良かったと、思える人が多くなる事を希望したい。