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トウモロコシ急騰、米で離婚が急増


 




 今週の商品市場の主役は金でも原油でもなくトウモロコシ。米農務省が発表した6月の穀物需給で作付け見通しが大幅に引き下げられた。更に期末在庫推定も、需要19日分相当の水準まで下方修正。その原因は5月にミシシッピ流域、6月にはミズーリ流域を相次いで襲った多雨洪水である。シカゴ市場の先物価格も8ドルの大台が視野に入る。余波はNY株式市場にまで及び、トラクターなど農業機械メーカー1位のディア、2位のCNHグローバルが積極的に買われ、株価反騰の一役を担う一幕も。

 一時は銀暴落に端を発する国際商品暴落ショックに巻き込まれ日本のGW中に急落を演じたトウモロコシ相場も、結局はQE3期待で買い直されてきた直後の米農務省需給推定発表。今週の商品市場はサウジ石油相をして「過去最悪の石油輸出国機構(OPEC)総会」と言わしめるほどのOPEC内部分裂で増産が見送られ、原油が急反騰する場面もあった。日替わりメニューのごとく連日、QEマネーにより「循環物色」されている。金価格も1550ドル台に接近。再び史上最高値更新をうかがう気配である

ところでシカゴ郊外の農業地帯では最近、離婚が急増中という。実は離婚したいのだが失業中で慰謝料も払えず、マイホームの実勢価格は住宅ローン返済額を下回るアンダーウオーターとなり処分もままならず「仮面夫婦」を続けざるを得ないという例が続出していたのだ。ところがトウモロコシ価格急騰で農地価格も連れ高になり、待ってましたとばかりに離婚手続きに入るカップルが少なくないという。都市部の住宅価格はケースシラ―住宅価格指数でも明らかなように二番底に低迷しているので、郊外では住宅地を農地に転用したうえで、離婚を扱う弁護士に駆け込む例もあるそうだ。相談件数も前年比25%増とのこと。

 コーンベルト地帯には、いまや銀色の宇宙基地を思わせる最新の保管施設(サイロ)が大平原のあちこちに見られる。そこで米国の農家はブラックベリー(携帯端末)でシカゴ価格をチェックしつつ農作業にいそしむ。トウモロコシ価格8ドルも時間の問題との通信社発の市況リポートを見れば、サイロに手持ちの現物を売り惜しむだろう。米国の農家にはマーケット感覚が欠かせない。

 新型サイロ、ブラックベリー、そして仮面夫婦農家。穀物価格上昇と不動産市場低迷は米国人のライフスタイルにも少なからず影響を与えているようだ。

 

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