swq*k3*8さんのブログ
3年B組み金八先生格言??? 借り物
やっぱり「結婚」 震災で強まる絆志向
非常時に最も頼りになって、安心感を与えてくれるのはやっぱり一緒に暮らすパートナー――。東日本大震災はシングルの結婚観にも影響を与えたようだ。震災後、結婚に踏み切ったり、結婚相手を真剣に探し始めた女性が増えている。一方で、非常時だからこそ見えた交際相手の姿に失望して別れを選ぶ人も。シングルが絆を求めて動き始めた。
3月11日、地震発生直後の都内にある金融機関のオフィス。周囲の同僚が恋人や家族に安否確認の電話をかけ続けるなか、H美さん(32)は鳴らない自分の携帯電話を見つめていた。結局、異性からの連絡は震災3日後に届いた昔の恋人からのメールだけだった。
恋人と別れて4年。30歳を境に合コンの誘いはパタリとやんだ。「最近、いい話ある?」と聞いてくる友人とはついつい疎遠になりがち。週末は「一日中パジャマのまま過ごせる」生活を楽しんでいた。
しかし、遠距離恋愛をしていた親友が震災後に結婚を決めたことがダメ押しした。「このままでは取り残される」という思いが強まり、以前知り合った男性と会ってみることにした。人づてにH美さんのことを心配していると聞いたからだ。「前に会った時は印象に残らなかったけど、私のことを気遣ってくれる人が身近にいるということが何よりもうれしい」とH美さんは感じている。
結婚情報サービスのオーネット(東京都品川区)によると、入会資料の請求件数が4月は前年比約1割増、5月は約3割増で推移しているという。特に「関東地方の伸びが突出している」(同社)。
ワタベウェディングではスタジオで撮影する結婚写真サービスの4月の売り上げが前年より2割増えた。結婚式は「ジミ婚」にしたとしても、ちゃんと写真を撮って2人の思い出を刻んでおきたいというカップルが増えている。
シングル生活を謳歌していた男女にとって、震災はモラトリアムに踏ん切りをつけるきっかけにもなったようだ。
「親に会いに行く?」。保険会社営業の男性(30)は4月下旬、交際して1年半の恋人にこう聞いた。2人の間では、親に会うのは結婚を決めたときという暗黙の了解があった。「事実上のプロポーズ」に恋人は何度も、「ありがとう」と繰り返した。
余震がくるたび、恋人はおびえた。「仕事の後に会えない?」と何度も届くメール。「一緒に住めたらなあ」とつぶやく姿を見るうち、「貯金がたまったら」と先延ばしにしてきた結婚が現実味を帯びてきた。
「フリーランスのまま女一人で生きていけるのか不安になった」。ライターの女性(39)は震災後、結婚を決意した。5月に婚姻届を出し、一緒に暮らす。
「結婚願望はまったくなかったが、震災で180度変わった。同居すれば非常時も安心できるし、家賃も節約できる」。新婚にもかかわらず、浮かれた様子はない。経済的な不安が結婚の後押しをするという現実的な側面もある。
電通総研が4月11~12日にインターネットで行った「震災一カ月後の生活者意識」に関する調査によると、「家族の絆や身近な人々との絆を今まで以上に重要にしようと思う」と答えた人の割合は女性が約72%、男性が約56%になった。男女間で多少、「温度差」が見える結果になった。
「本当に大事な人と笑顔で暮らしたいという“家族回帰”の傾向が強まっている」と電通総研は分析する。特に女性のほうに強く、「絆志向」が高まっているといえそうだ。
「もしかしたら、この人となら人生を共にできるかもしれない」
K子さん(32)は震災後の恋人の言動を見て、恋人を「家族」として意識し始めた。実は、過去に3回、結婚の話が出た。しかし、K子さんは仕事を辞めたくないのに恋人はK子さんに家庭に入ることを望むなど、お互いの将来設計が食い違い、よくけんかになった。
震災後、恋人は布団にくるまって震えていたK子さんに「その気持ちは分かるよ」と声を掛け続けてくれた。K子さんが「ボランティアに行きたい」と希望すると、5月には一緒に岩手県に行ってくれた。
家族を気遣う気持ちが別れの原因になったカップルもいる。
都内に住むI子さん(29)は「恋人が同居する私の家族のことを心配してくれなかった」ことが許せなかった。震災数日後、我慢できずに「家族の心配はしてくれないの?」と問いただしたが、恋人から返ってきたのは、「東京はそんなに被害なかったじゃない」という素っ気ない言葉だった。
「もうあなたを信じられない。独りになって人生を考えたい」。その2週間後に別れを告げた。「被災地の被害とは比べものにならないが、家族や恋人とは温かい言葉を掛け合いたい」と思うからだ。
同僚の既婚男性と「不倫」を続けていた会社員のY恵さん(33)は震災後、関係に終止符を打った。
震災当日、高層階にあるオフィスは地震で大きく揺れた。社内がパニック状態になるなか、階段を駆け下りてくる交際相手の男性とすれ違った。が、社内では言葉を交わすことはできなかった。その後も、彼から気遣う言葉は出なかった。
「非常時に声も掛けられない仲なんだ」。Y恵さんは改めて思い知った。「結局、家族のもとに帰っていくこの人を本当に頼りにすることはできない」と感じた。
恋愛カウンセラーの安藤房子さんは「結婚か別れか、震災を機に悩みに結論を出す人が増えた」と感じている。震災が投げかけたものは大きい。