Raguelさんのブログ
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ヒストリカルボラティリティから個人投資家の心理を読む
このところくだけたコラムが続いていたので、今日は少し真面目に書きます。
今週は1/16水曜日に一気に13500円まで下げ、ついに破局を迎えたかに見えた東京株式市場でしたが、なんとか週末にかけて踏み止まったようです。ただ、これで本当に打ち止めなのかどうか。
下のグラフでわかるとおり、ヒストリカルボラティリティ(HV)は再び上昇し始めています。
HVは過去の価格変動率を示すものなので、これを単純に将来予測に当てはめることはできませんが、少なくとも足元では投資家の動揺は収まっていないということだけは言えると思います。
日経平均のHVは、昨年8月の大暴落以降5ヶ月間にわたって15%以上の高水準に止まっています。これだけ長い期間、HVが高い水準にあるという状態は、過去2年間にはなかったことです。
HVが低下しない理由は、下げ局面は上昇局面に比べて価格が変動する速度が速いことにあります。いわゆるナイアガラとかフリーフォールと言われる状態です。
これを投資家心理の面から考えてみると、非常にネガティブな、不安な状態が長期間続いているものと理解できます。昨日のAAで「もう疲れたよ・・・」というセリフがありましたが、これは個人投資家全員の率直な感想なのではないでしょうか。
一般的に、暴落後に株価が本格的に上昇するための要因としては、空売りの買戻しと、売り方が買い方に回る(いわゆるドテン買いに転じる)ことが挙げられます。
底打ちの過程で個人投資家が積極的に買い向かうために必要なものは、手元資金は当然として、それ以上に重要なのは積極的な意思、簡単に言えば気力です。
下げ局面が長引くということは、結果として損失が膨らむだけでなく、この「気力」を投資家から奪うという悪影響をもたらすわけです。そして、失った気力は簡単に元に戻るものではありません。
しかし、投資に気力を要する投資家とは個人投資家であって、外国人や機関等のいわゆる大人の人たちは、資金と魅力さえあれば買いに入るはずです。
さて、それではその魅力とは一体なんでしょうか。
昨日の日経CNBCで言われていましたが、ひとつは割安感、そしてもうひとつは将来性です。
前者に関しては、暴落を通じて世界的に見ても十分に割安な状態になっています。しかし後者の将来性については未だ失われたままであると考えるのが妥当だと思われます。
それは、単にサブプライムローン問題に起因する景気失速懸念ということだけではなく、政治不在による日本そのものの将来性に対する失望というべきものです。
これが克服されない限り、日本にとって最も主要な投資家である外国人は、本腰を入れて日本株を買ってくる状況にはならないでしょう。
さらに言えば、政府には日本を希望を持てる国にする義務があるはずです。これは、投資家だけでなく日本国民全員に対する義務です。
その義務を果たさずして、国民が必死になって貯め込んだ金融資産を、株価対策のために投資に回すように仕向けていくような政策は、国民を大人の餌食にするとんでもない発想だと言わざるを得ません。
買っても大丈夫な国であると投資家に確信させる具体的な改革を確実に進めることが、政治に求められる最優先の課題のはずです。
しかし政治には期待できず、従って外国人頼みの日本株式市場としては、当面厳しい環境が続くであろうという考え方がまずベースとしてある。
その上で本格的に買いに入るための個人的な条件としては、まずはHVが20%を下回ること。
15%程度の状態がある程度続けば、投資家心理は安定しつつあると考えて安心して買い向かっていけるでしょうが、それでは遅すぎるでしょうからね。
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