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任天堂とゲーム、モバイル、ソーシャルゲーム業界

自分はこれまでマクロの視点から投資対象を分析することが不十分だった気がします。

そこで、決算を受けて下落した任天堂について軽くメモがわりに業界に関する情報をまとめて置きたいと思います。

 

 [東京 26日 ロイター] 任天堂(7974.OS: 株価, ニュース, レポート)は売り先行。25日、2012年3月期の連結営業利益が前期比2.3%増の1750億円になるとの見通しを発表したが、東日本大震災発生後に予想を修正した主要アナリスト8人の予測平均値2158億円を下回り嫌気されている。

 

勝手に高く予想しておいて届かなかったら売るとはなんとも身勝手だといつも思いますが、

最近振るっていない主な理由はやはり、

 

①世界的な景気低迷

②東日本大震災を受けた消費自粛

③ソーシャルゲームなどの台頭

 

となると思いますが、①、②に関しては景気循環と一時的なネガティブイベントによる影響なので

長期的には解消されていくと考えることにします。今回考えたいのは③についてです。

 

以下は日本国内に関してですが、

軽く調べてみましたがゲーム業界の市場規模は過去5年間で年率平均15%で成長しており、

2009年のサブプライムからは市場規模が3.7兆円から3兆円に縮小しています。

不況の影響を無視するとやはりモバイルゲームとそれに続くソーシャルゲームの台頭によって市場シェアを奪われているということだと思います。

 

モバイルゲーム市場は約900億円で頭打ち、ソーシャルゲーム市場は2011年には1100億円まで拡大するとの見通しもあるようですが、モバイル→ソーシャルの移行も含んでのことのようです。

 

そもそもMixi、DeNA、グリーなどの企業はモバイルゲームでもありソーシャルゲームでもあるという二面性を持っているので、PCゲームを含んだソーシャルゲーム市場の拡大の中に、モバイルゲームの市場拡大も含まれている、という見方の方が正しいように思います。

 

次に海外についてです。

任天堂は売上の7割以上が海外で、国内よりも海外の比率のほうが高いのですが、2009年の時点でポータブルゲーム市場で70%のシェアを誇っていたニンテンドーDSが2010年には57%まで低下したようです。これはAppleのiOSとGoogleのAndroidにシェアを奪われたもので、これらのシェアは19→34%に増加したようです。

 

これらスマートフォンアプリは当初有料でダウンロードする方式だったものが無料にし、シェアウェアや広告収入などで利益を上げる方法に変えたところ利用が急増したということが背景にあると見られています。既に売上高ではPCゲーム市場を超えた模様です。

 

任天堂はゲーム市場において46%という非常に高いシェアを持っています。

このシェアは通常時においては大きな優位性となりますが、スマートフォンの急速な普及や、Facebookに代表されるSNSの拡大、それに伴うソーシャルゲームの流行などの急激な変化には小回りの効く小さな企業より素早い対応は難しいでしょう。

 

DSやWiiの次世代機を一旦生産ラインに乗せてしまえば、しばらくはそれを売り続けるしかないですが、PCやスマートフォンが新しくなっても、ソーシャルゲームやアプリは入れ物が変わるだけですからコストは殆どかからないでしょう。

 

不況時だと高いゲーム機やゲームソフトは売れにくく、逆に広告収入などがあるモバイルゲームやスマートフォンアプリは売れやすいでしょう。

 

日韓のあるアンケートではゲームをしない理由について、

それぞれ回答者の4割の人が、

「他にやりたいことがある」「ゲームをやる時間がない」「ゲームに興味がない」

と答えたそうです。

 

任天堂の昨今の取り組みは「ゲームに興味がない」という層の中から新しくゲームプレイヤーを見つけていく、という方針であったと思います。

 

現在は「他のやりたいゲーム(モバイル、ソーシャルゲーム)」に「ゲームをやる時間を奪われている」という状況なのではないかと思います。

 

 

ただしこれは、モバイル、ソーシャルゲームの側に立っても言えることです。

業界が拡大していくときにはその拡大に沿って成長していけるし、競合相手も自分と同等の規模の企業ですが、その業界自体が別の既存の業界と事実上競合する状態になると、一気に競争相手の量も質も増えてしまいます。

 

その中でも優位性を維持していくことは決して容易ではないでしょう。

以前DeNAの会社説明の動画を見たときに、社長が「今アメリカ進出を計画している。アメリカにはFacebookなどSNSとして大きい会社はあるし、ゲーム企業としても大きい会社があるが、SNS+ゲームというソーシャルゲームとしてDeNAに匹敵する規模とノウハウをもつところはないから優位性を持てる」といっていました。

 

私はその時に、しかしDeNAは時価総額としてはそこまで大きいわけではない、アメリカ企業がソーシャルゲーム市場に算入しようとしてその時の最大の敵がDeNAという想定になるとしたら、もし明日マイクロソフトのように時価総額の大きい会社がSNS会社とゲーム会社に出資するか子会社化するかして、DeNAと同規模のソーシャルゲーム会社を作ったらどうするのか?と思っていたところ、本当に偶然私がその動画を見た翌日にマイクロソフトがソーシャルゲームへの参入を計画しているというニュースが流れました!

 

今はソーシャルゲームにしろスマートフォンアプリにしろ、市場が拡大期にあるわけですから相対的にシェアを奪えるのは当然です。

 

今任天堂が持っているようなシェアをコモバイル、ソーシャル、スマートフォンアプリなどの企業が業界拡大期を経た後も、長期的に奪っていけるのか?競争が激化するなかで成長を維持できるのか?というところが問題だと思います。

 

価格以外にも商品に添加できる優位性があるかどうかが問題です。

どれだけ不況になろうとマリオやポケモンなら買ってくれる人はいるでしょうが、もし数年後景気が好転したときに限られた時間をどちらかに使うとして、スマートフォンアプリをやるでしょうか、任天堂ハードのゲームをやるでしょうか?もし価格だけにしか優位性がないのなら、価格で勝負できなくなったときに、最終的には市場シェアによって不利に立たされるでしょう。

 

モバイル、ソーシャルゲームの中にも既に2年以上続いているゲームがあるそうです。

そういったゲームは既にブランドを確立しているのかもしれません。

 

数年後に人々は何に優先して時間を使い、金を使っているんでしょうか?

私には予想はつきませんが、たぶんその時も任天堂という会社はあるだろうし、利益を挙げているでしょう。

 

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