5日前場の日経平均株価は前週末比57円19銭高の1万1343円28銭と3日続伸。円安進行を好感し、輸出関連株を中心に買いが先行。上げ幅を150円超に拡大し、取引時間中に1万1400円台を回復した。ただ、追加の買い材料に乏しく、高値警戒感もあって次第に上げ幅を縮小。個別で、既存店売上高の2ケタ減を嫌気されて急落したファーストリテ も相場の重しになった。前引けでファーストリテのマイナス寄与度は81円と、日経平均の上げ幅をほぼ半減させた格好。東証1部の出来高は8億7176万株。売買代金は6030億円。騰落銘柄数は値上がり1016銘柄、値下がり479銘柄、変わらず174銘柄。
大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所・投資戦略部部長の高橋和宏氏は「日経平均についてはファーストリテが下押し要因になったが、利益確定売りによる影響も大きい。1ドル=94円台後半を付けたドル・円の勢いがやや衰えたことも手控え要因になった。米雇用統計は強気のセンチメントの方向性を変えるものではないが、加速させるようなものでもない。短期的な過熱感もあるため、日柄調整などが懸念される。とは言え、下値も限定的だろう。信用リスクの再燃や、今晩発表のISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景気指数が下ブレない限り、メドは1万1000円程度」と指摘している。
業種別では、シャープ などハイテク株が堅調。三菱地所 など不動産株や、住友倉 など倉庫株も買いが先行した。日曹達 など化学セクターも上昇。オークマ 、井関農 など機械株も引き締まった。帝人 など繊維株もしっかり。ベトナムで事業投資ライセンスを取得した神戸鋼 など鉄鋼株や、10年3月期連結業績予想を上方修正した三菱マテリアル など非鉄金属株も物色された。個別では、メリル日本証が投資判断を引き上げたサンリオ 、3月既存店で増収を確保したUアローズ 、大和証券CMが投資判断を引き上げたメイテック などが高い。
半面、JX など石油株はさえない。Jパワー 、東ガス など電力・ガス株も下落した。レンゴー 、日本紙 などパルプ・紙株の上値も重い。個別では、ファーストリテ が値下がり率トップ。第三者割当増資などを発表したヤマハ発 も売りが先行した。10年2月期連結業績予想を下方修正したポケットカード も軟調。「SIMロックフリー」の思惑で、ソフトバンク なども安い。なお、東証業種別株価指数は、全33業種中、26業種が上昇した。
提供:モーニングスター社