木下 晃伸さんのブログ
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リスクマネーが膨張しようとしている
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●【本日のニュース】/
マレーシア系カジノ大手ゲンティン、増資で1056億円調達
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マレーシア系のカジノ大手、ゲンティン・シンガポールは9日、増資で16億3000万シンガポールドル(1056億円)を調達すると発表した。調達した資金のうち、6割は娯楽、カジノ、ホテルなど中核事業の将来の拡大資金とし、4割は運転資本にあてる。
(2009/09/10付日経速報ニュースより一部抜粋)
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【ニュースの深層】リスクマネーが膨張しようとしている
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■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。
経済アナリスト、木下晃伸です。
■昨年5月に訪問取材したマレーシア系カジノ大手ゲンティン。カジノ昨今の世界同時不況によって壊滅的ダメージを受けていましたが、ここにきて復調の兆しが見えてきています。
実際、カジノでラスベガスを超えたマカオのカジノ収入が急増しています。
2日付マカオ日報によると、8月は112億マカオパタカ(約1,300億円)に達し、単月での過去最高を記録しているのです。
これをチャンスと見ている金融関係者は多いのです。それが今回のゲンティン増資成功の背景にあると考えるべきでしょう。
■今回の増資に参加する金融機関の一覧を見ると、増資はDBS銀行、CIMB銀行シンガポール支店が共同主幹事で、DBS銀行、CIMB─GK証券、JPモルガン(東南アジア)、ABNアムロ銀行シンガポール支店、CLSAマーチャント・バンカーズ、ドイツ銀行シンガポール支店、香港上海銀行シンガポール支店、UBSの8金融機関。
ほんの少し前まで青息吐息であった金融機関の名前が並んでいることに違和感を感じる読者の方も多いことでしょう。
これも金融という業界がいかに儲けるチャンスを虎視眈々と狙っているかを表していると思います。
■この1年、ウォール街は死んだとか、金融資本主義の崩壊とか色々な声が聞こえてきました。
しかし、金融の歴史を紐解けば、これまで何度も金融業界は崩壊の憂き目にあいながらも逞しく復活していることがハッキリしています。
公的資金を投入された金融機関に対して感情的な気持ちを持つことも分からないではありません。しかし、それは、投資家にとっては役立つ感情とは言えない。
投資家は冷静に、公的資金という後ろ盾がある中で、積極的な融資姿勢に転換している金融機関の復活は、リスクマネーを膨張させる大きな要因になると考えたいところです。
もちろん、リスクマネーの膨張は、株高を引き起こす可能性が高い。それは、日本株も含めてのことになると考えています。
(文責:木下晃伸 きのしたてるのぶ)
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