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●09年香港株式市場見通し:政策効果、香港ドル高で上昇へ

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毎年、年末年始になると、決まってその年の株価予想が紙面を賑わすことになるが、残念なことに、あまりあたらない。専門家たちの能力に問題があるからではなく、株価はいろいろな要因で決定され、その決定メカニズムが不安定だからである。とはいえ、予想が無意味だとは思わない。予想が当たらなければキャピタルゲインは得られない。決定メカニズムが不安定なら予想も不安定。臨機応変に修正させながらも、絶えず予想していかなければならないと考えている。株価を予想する際、“資金の流れ”を軸に考えると分かりやすい。香港市場のメインプレーヤーである欧米機関投資家が、資金を“どういった資産に、またどの国の資産に、どれだけ配分するのか”の見通しが、そのまま株価動向の予想に繋がっていく。 株式市場にはリスクが伴う。投資家のリスク許容度はどうなるのだろうか。世界同時不況は今後深刻さを増していくであろう。金融危機への対応の必要もあり、各国政府は大胆な金融緩和政策を打ち出している。金融緩和状態は当分の間、続きそうである。いわゆる“不況下の株高”、“過剰流動性相場”となる必要条件は満たしている。重要なポイントは、投資家のマインド。株式といったリスクのある資産に資金を投じても、そのリスク以上にリターンが得られるだろうという確信を投資家が持てるかどうかである。積極財政により、政府が需要を喚起する。それに触発され企業家が投資に積極的になる。そして、消費者は将来の所得見通しに楽観的になり、消費を増やす。世界経済、とりわけアメリカ経済に、こうした好循環の兆しが少しでも見えるならば、将来の企業業績見通しの改善とともに投資家たちは、株式市場に資金を投じるはずである。現在の欧米市場は悲観を織り込み、こうした好循環を意識し始めている。 非常に悲しむべきことではあるが、国際的に政情が不安定であり、特需発生の可能性がある。原油先物市場が活発化することになれば、歴史的な金融緩和状態の下で、それは株式市場にもポジティブな要因となりそうだ。金融危機、世界同時不況で資産が安全資産に留まり続けることを意識するのではなく、世界全体として株式市場などのリスク資産に資金が溢れ出すことをより強く意識したほうがよさそうである。 こうしたリスク許容度のある程度高い資金が香港市場に流れる可能性はあるだろうか。ここでポイントになるのは、中国経済の見通しである。中国はすでに政策全開の状態。国務院が先頭に立って強力に経済を支える体制が整っている。政府は効果が現れるまで、経済への積極的な関与を止めないであろう。 “社会主義の優位性が試される”局面に、中国共産党は立たされている。政府の危機感は強い。中国はある程度経済をコントロールする力があると考えており、年前半にも経済回復の兆しは現れるだろう。中国のほうがアメリカよりも早く政策の効果が現れる。年内に、8%程度の安定した経済成長軌道に乗る見通しがたつ。人民元ドルレートは極端な元安にはならないが、元高にもならず、ドルとペッグしている香港ドルは信頼を回復させる。こうした予想を根拠に、今年の香港市場の見通しは“強気”としたい。(執筆者:田代尚機 TS・チャイナ・リサーチ(株)代表取締役)
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