隆タオルさんのブログ
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明日への懸念
去年の終わりごろからスプレッド競争が続いていますね。
今のところドル/円0.4が最も狭いスプレッドですが、これは序の口で、
おそらくいったん0.1までいくでしょう。もちろんスプ競争はそれで終わりません。
禁断の領域である、下4桁までのクォートがあるからです。
現在の主流は、例えばドル円なら80.001とか下3桁まで提示しているわけですが、
これが4桁解禁になると80.0015とかできるわけです。こうなるとスプレッドはさらに
縮めることができるわけで(0.0001とか)スキャルパの方々にとっては夢のような
話になるでしょう。
個人的な考えを述べるならば、これは破滅への道です。
なぜなら、業者の収益性が落ちるからです。
業者はカバー取引で収益を得ていますが、スプレッドをナローにすればするほど
収益性が落ちます。0.4などという銀行よりも狭いプライスを出しているのですから、
カバーが困難を極めるのは当然ですね。FX業者ってカバーしてないんだから別にいいだろ?
と思う方、それは間違いです。カバーはしていますが、しなくても収益性は落ちます。
スプレッドをナローにすればするほど、店内マリーで損が出続けるからです。
唯一の道は月単位、年単位で莫大なポジションを呑みつづけ、年に数回の間隔で発生する
セリングクライマックスで何百億と儲ける方法ですが、「すみやかにカバーしろ」と指導する
金融庁の監査が入ればそこで終了ですし、クライマックスが起こるまでは何億という評価損を
抱えるのですから、そんな企業が会計的に存続を許されるわけがありません。
(そういえば増資を繰り返す業者もありますね)
そして業者の業績が悪化すれば、最悪はたんすることになり、
保有しているポジションは切らざるを得ません。合併されてポジションが移管されれば
いいのですが、合併されない場合はそのまま強制カットとなります。
おそらく、FX専業はほとんど合併されるか、潰れるかするでしょう。
上にも書いたとおり、儲からないからです。バイナリオプションとかCFDとかやっている
業者もありますが、本格的に大手証券会社が乗り込んできたら資金力預かり資産顧客数信用力
どれをとっても勝てないので、顧客を奪われて終わりです。
私は数年前まで、レバ規制によって業者が淘汰されるな、しかし健全化が進むなと思っていましたが、
なんのことはない、規制するまでもなく、自分たちで自分たちの首をしめているのです。
それだけならまだしも、客に潜在的な信用リスクも負わせているのです。
この状況はいったいなんなんでしょうか。
これはひとえに、顧客育成ができていないこと、顧客層の選定が誤っていることの現われ
だと思います。顧客はなにもしなければほとんど死んでいきます(見立てでは2年以内)。
それは業者が育てる意欲がないからと、零細ばかり集めているため、顧客にもともとの
資力が少ないからです。ほとんど死ぬから、というか死なせているから新たな顧客を
獲得せざるをえず、新規をとるにはスプレッドナローしかない、という安易なプロモーションが
今のスプレッド競争につながっているのだと思います。どの業者もナロー化にしている現状をみると、
どこもマーケティング的に有効な戦略が打ち出せておらず、ブランディングがなされていない
ともいえます。
スプレッドナロー化のオチは、金融庁の一斉検査で、カバーしてない業者はつぶれ、
カバーしていた業者は収益性の悪化からどこぞの証券会社に合併されるか、スプレッド
ナローのままほそぼそと営業を続けていく、という展開を予想しています。
(昨今のレバレッジ規制は景気悪化からくる信用収縮の現われだと個人的に思っていますが、
本格的な規制である「スプレッド規制」もあるかもしれませんね)
その未来はすぐそばまで来ている、と私は思っています。
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