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なぜリストラで株価が上昇するのか?

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 今朝の日経新聞に興味深い記事がありました。投資入門のコーナーで、タイトルは「3月期決算発表のポイント」、そしてサブタイトルは「短信にヒントあり」。役に立つ情報が満載です。

 興味を引いたのは、リストラ報道とPBRの関係の記述です。リストラが株価を上昇させるというのです。どうして、リストラを余儀なくされるまでに追い詰められた企業の株が上がるのか?リストラでPBRが上昇するのが理由と指摘しています。



 ところで、なぜリストラがPBRを上昇させるのか? これについては十分な説明が無かったように思います。そこで、理屈っぽくなってしまうのですが、記事の行間を埋めてみようと考えます。

 まずPBRの定義から。Pは株価、BPSは一株当たり純資産です。

 次に、PBRを分解してみます。EPSはご承知のように一株当たり利益です。EPS/BPSは利益/純資産(≒自己資本)ですからROE(自己資本利益率)であるというところがミソ。

 それでは、ROEをさらに分解してみます。利益率と資産回転率と財務レバレッジを掛け合わせたものです。財務レバレッジとは聞きなれない名前かもしれませんが、自己資本比率の逆数でファイナンス理論ではよく使われます。この分解式は「デュポン・モデル」として広く知られています。

 そこで、いままでの話をまとめると次のようになります。

 リストラがなぜ株価を上昇させるのか?

 (1)人件費などの固定費を削減して利益率を高める。

 (2)無駄な資産を廃棄して資産回転率、つまり資産効率を高める。

 この2つがROEを上昇させるために、PERに変化がないことを前提として、株価は上昇するということになります。

 大きな景気後退の局面では、リストラや再編により、資産回転率が大きく改善する企業の株価上昇が著しいため、この理屈を頭に入れておくと役に立つことがありそうです。

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