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グローセル Research Memo(7):ルネサス製半導体の拡販が成長戦略の主軸であるのは不変

配信元:フィスコ
投稿:2021/01/26 15:17
■中長期成長戦略

2. ルネサス製品の売上、デザイン-インの強化・推進
グローセル<9995>はその設立の経緯(イーストンエレクトロニクスとルネサスデバイス販売が合併して誕生)から明らかなように、ルネサスの特約店として成長を遂げてきた。現状では、売上高の約80%弱をルネサス製品が占めているが、ルネサス側から見ても、同社は重要な特約店の1つと言えるだろう。過去数年、ルネサスは特約店の絞り込みを進めてきており、上場企業でも1次特約店から外された企業もあったが、同社は現在でもルネサスにとって有力特約店といえる地位にある。そうした同社にとって、ルネサス製品の拡販を成長戦略のトップ項目として掲げるのは当然のことと言える。

売上拡大における具体的な戦略は「デザイン-イン」の強化・拡大だ。「デザイン-イン」とは、新製品への採用内定を指す。顧客が新製品開発を進める初期段階から計画に参画し、顧客ニーズを満たすようなソリューション提案を行っていく必要があるため、顧客との信頼関係が厚く、期待に応えられるだけの技術力がないと参画はできない。

(1) 2021年3月期の「デザイン-イン」目標は510億円
2020年3月期のルネサス製品のデザイン-イン金額(売上高ではなく、数年間にわたる生涯売上見込の累計額)は、514億円(自動車分野362億円、産業分野ほか152億円)であったが、2021年3月期は510億円(同322億円、同188億円)を目指している。特に「A&P拡販プロジェクト」によるマイコンとのキット拡販や後述する「ウィニング・コンビネーション」を積極的に推進する。

2021年3月期第2四半期の主なデザイン-イン事例としては以下のようなものがあった。

(2) 主要3分野での取り組み強化
同社では、「ADAS/AD」「スマートファクトリー」「スマートインフラ」をデザイン-インの重要分野と定めて取り組んでいる。技術的な課題としては、「コネクティビティ」「センシング」「セキュリティ」「ローパワー」がキーワードとなっている。

(3) 「ウィニング・コンビネーション」を提案
以前のように各商材(部品)を単体で販売するのではなく、ルネサスの補完的な製品ポートフォリオをもとに高競争力・高付加価値なMCU+旧Intersil+旧IDT製品を組み合わせた「ウィニング・コンビネーション」を提案していく。以下のように、「ルネサス+他社製品」及び「ルネサス+他社製品+旧Intersil+旧IDT」の組み合わせによって、顧客が満足する提案を積極的に推進する。

(4) IoTソリューション(生産現場、高効率化)
IoT機器の高性能化に伴い無線化やアナログ製品の増大が進む。具体的な例として、各種ウェアラブル機器の開発やスマート農場センシングなどの開発を進める。

(5) 新型コロナウイルス対応
新型コロナウイルスへの対応策として「マンション・ビル エレベータ向けタッチレス操作(タッチキーソリューション)」を開発。RX130マイコンの近接センサーソリューション提案によるボタン・タッチレス化を実現したもので、タッチレスでエレベータの操作ができる。

(6) 車社会・安全と安心
「安全で安心できる新しい車社会」へ向けて、以下のような様々な開発・提案を行っている。

a) 自動運転レベル3以降
b) 自動運転時代の市場要求への対応策
c) サイバーセキュリティに対するシステム堅牢性への取り組み
顧客システムのセキュリティ確保に向け、デバイス提案+ソフト開発で貢献する。

(7) 環境対策・CO2削減
温室効果ガス削減に向けたxEVソリューションを推進。内燃機関から電動車両開発が加速、航続距離の長距離化への対応、インフラ整備の拡充などが求めれられるなかで、最適なマイコン+デバイスの提案を進める。

3. 新規ビジネス品のシステムソリューション提案
もう1つの重要な施策として、新規ビジネス品のシステムソリューション提案力の強化を掲げている。新規ビジネス品(Consumer Satisfaction Business、CSB製品)とは、ルネサスや日立製作所グループといった同社の歴史的経緯に属さない、同社自身がサードパーティ(外部の第三者)から直接発掘してきた商材を言う。今期(2021年3月期)の新ビジネス品のデザイン-インは、440億円(上期実績220億円、下期目標220億円、2020年3月期実績421億円)を目標としている。

(1) 車載用メモリの用途多様化
新規ビジネス品のなかで注目されるのが、台湾のSMI社製の車載用メモリ事業だ。同社が持つ技術サポート力や自動車メーカーへの対応力が認められ代理店契約を締結。日本を代表するティア1メーカー10社中、取引のあった5社に加え、その後の両社の努力によって今年度新たに5社の商流を獲得した。今後は、このメモリが統合コックピットに採用される可能性が高く、2025年には2020年比5倍の売上高を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


<NB>
配信元: フィスコ
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