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ケーユーホールディングスのニュース
■中長期の成長戦略と進捗状況
4. ROE分析
(1) 現在の状況
ウイルプラスホールディングス<3538>は経営評価指標としてROEを採用し、業績面(売上高、利益)の成長と同様に、高ROE経営の実現を目指している。ROEの目標値としては10%を最低限クリアすべき数値とし、できる限り高いROEを実現することを目指している。2019年6月期実績の同社のROEは14.3%だった。2018年6月期の18.2%から低下したものの、同社と同じく輸入車の正規ディーラー事業を手掛けているVTホールディングス<7593>やケーユーホールディングス<9856>と比較して、それらを上回る高い水準を維持している。
ROEの他社比較では依然優位性を維持しているが、同社自身の趨勢を見ると、ROEは低下方向にある。以下では低下の要因について分析を試みる。
ROEはROA(総資産経常利益率)と財務レバレッジ(総資産/自己資本)から成り立っている(厳密にはリターン(R)を経常利益から当期純利益に変換するために、“当期純利益/経常利益”という要素も加わり、3つの要素で構成される)。2019年6月期実績についてみると、ROE14.3%は、ROA8.6%と財務レバレッジ2.54倍、及び当期純利益/経常利益比率65.5から成り立っている。
注目はROAだ。2018年6月期の12.1%から29%低下した。他方、財務レバレッジは2.31倍から2.54倍に10%上昇した(ROEにとっては押し上げ要因になる)が、ROA低下の影響が大きくROEが前期から22%低下したという構図だ。
ROAは売上高経常利益率と総資産回転率に分解することができる。2018年6月期から2019年6月期への変化を見ると、売上高経常利益率は4.9%から3.7%に低下し、総資産回転率も2.49回から2.30回に低下している。度合いとしては売上高経常利益率の低下の影響が大きい。
改めて2019年6月期を振り返ると、売上高は期初の会社予想を上回った。その意味では売上高について問題はなかったと評価ができるだろう。一方総資産の増加要因を探ると、有形固定資産の増加(前期末比67.5%、2,107百万円の増加)が総資産の増加(前期末比29.7%、3,361百万円の増加)の63%を占め、総資産増加の主因だったことが明白だ。有形固定資産増加の中身をさらに詳しく見ると、「建物及び構築物」や「機械装置及び運搬具」の増加が大きかったことがわかる。自社出店に際して、かつての居抜き物件での出店から店舗建屋を新規に建設しての出店へと形態が変化していることがここに表れている。
売上高経常利益率の低下については、業績動向の項で述べたように、デモカー増加及び店舗設備等の新規取得に伴う減価償却費の増加や、店舗数増加に伴う人件費の増加、新規出店・改装等に伴う諸費用の増加等が利益を圧迫したことが原因だ。
(2) M&A戦略と高ROE経営
前述したように、今後の店舗展開においては、M&Aの比重が高くなると考えられる。M&Aによる店舗獲得と自社出店とで、高ROEの実現に向けてどちらがどうとは一概には言えない。しかしながら、金額次第ではM&Aによる店舗は初年度から利益を出すことも可能と述べたように、M&Aによる店舗獲得が、当面は高ROE実現の点でもポジティブに働くと弊社では考えている(前述したように、現在の同社の場合には“売上高経常利益率上昇⇒ROA改善⇒ROE改善”の流れが最も影響度が大きいことに留意)。
M&Aに際しては資金調達も重要なポイントだ。資金需要は自社出店でも発生するが、自社出店は出店ペースと投資金額を自社でコントロールできるのに対し、M&Aは(割安か割高かとは別に)相手方の規模によっては一時的な必要資金額が一気に膨らむ可能性がある。
2019年6月期の同社の財務レバレッジ(総資産÷自己資本。ただし期首期末平均値を使用)は2.54倍と2018年6月期の2.31倍から拡大した。ROEとの関係では財務レバレッジの拡大はROEを押し上げる方向にあるため必ずしも悪いことではない。しかしながら財務レバレッジは自己資本比率の逆数であることを思い起こせば、野放図に拡大させるわけにもいかないことが理解できるだろう。他社比較では、同社の財務レバレッジの水準はVTホールディングスとケーユーホールディングスのちょうど中間にある。
以上の結論として、同社が成長戦略の一環でM&A戦略を実行に移すことは、ROEに対してもポジティブに働くことが期待される(あくまで案件の価格次第ではあるが)。ただしその規模については注意が必要だ。過度な財務レバレッジ(すなわち自己資本比率の急激な悪化)を招くようなことは避けるべきであり、同業他社との比較で中間に位置する現状のポジションをキープすることを1つの目安に、その範囲で実現可能なM&A案件を探っていくことが妥当だと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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4. ROE分析
(1) 現在の状況
ウイルプラスホールディングス<3538>は経営評価指標としてROEを採用し、業績面(売上高、利益)の成長と同様に、高ROE経営の実現を目指している。ROEの目標値としては10%を最低限クリアすべき数値とし、できる限り高いROEを実現することを目指している。2019年6月期実績の同社のROEは14.3%だった。2018年6月期の18.2%から低下したものの、同社と同じく輸入車の正規ディーラー事業を手掛けているVTホールディングス<7593>やケーユーホールディングス<9856>と比較して、それらを上回る高い水準を維持している。
ROEの他社比較では依然優位性を維持しているが、同社自身の趨勢を見ると、ROEは低下方向にある。以下では低下の要因について分析を試みる。
ROEはROA(総資産経常利益率)と財務レバレッジ(総資産/自己資本)から成り立っている(厳密にはリターン(R)を経常利益から当期純利益に変換するために、“当期純利益/経常利益”という要素も加わり、3つの要素で構成される)。2019年6月期実績についてみると、ROE14.3%は、ROA8.6%と財務レバレッジ2.54倍、及び当期純利益/経常利益比率65.5から成り立っている。
注目はROAだ。2018年6月期の12.1%から29%低下した。他方、財務レバレッジは2.31倍から2.54倍に10%上昇した(ROEにとっては押し上げ要因になる)が、ROA低下の影響が大きくROEが前期から22%低下したという構図だ。
ROAは売上高経常利益率と総資産回転率に分解することができる。2018年6月期から2019年6月期への変化を見ると、売上高経常利益率は4.9%から3.7%に低下し、総資産回転率も2.49回から2.30回に低下している。度合いとしては売上高経常利益率の低下の影響が大きい。
改めて2019年6月期を振り返ると、売上高は期初の会社予想を上回った。その意味では売上高について問題はなかったと評価ができるだろう。一方総資産の増加要因を探ると、有形固定資産の増加(前期末比67.5%、2,107百万円の増加)が総資産の増加(前期末比29.7%、3,361百万円の増加)の63%を占め、総資産増加の主因だったことが明白だ。有形固定資産増加の中身をさらに詳しく見ると、「建物及び構築物」や「機械装置及び運搬具」の増加が大きかったことがわかる。自社出店に際して、かつての居抜き物件での出店から店舗建屋を新規に建設しての出店へと形態が変化していることがここに表れている。
売上高経常利益率の低下については、業績動向の項で述べたように、デモカー増加及び店舗設備等の新規取得に伴う減価償却費の増加や、店舗数増加に伴う人件費の増加、新規出店・改装等に伴う諸費用の増加等が利益を圧迫したことが原因だ。
(2) M&A戦略と高ROE経営
前述したように、今後の店舗展開においては、M&Aの比重が高くなると考えられる。M&Aによる店舗獲得と自社出店とで、高ROEの実現に向けてどちらがどうとは一概には言えない。しかしながら、金額次第ではM&Aによる店舗は初年度から利益を出すことも可能と述べたように、M&Aによる店舗獲得が、当面は高ROE実現の点でもポジティブに働くと弊社では考えている(前述したように、現在の同社の場合には“売上高経常利益率上昇⇒ROA改善⇒ROE改善”の流れが最も影響度が大きいことに留意)。
M&Aに際しては資金調達も重要なポイントだ。資金需要は自社出店でも発生するが、自社出店は出店ペースと投資金額を自社でコントロールできるのに対し、M&Aは(割安か割高かとは別に)相手方の規模によっては一時的な必要資金額が一気に膨らむ可能性がある。
2019年6月期の同社の財務レバレッジ(総資産÷自己資本。ただし期首期末平均値を使用)は2.54倍と2018年6月期の2.31倍から拡大した。ROEとの関係では財務レバレッジの拡大はROEを押し上げる方向にあるため必ずしも悪いことではない。しかしながら財務レバレッジは自己資本比率の逆数であることを思い起こせば、野放図に拡大させるわけにもいかないことが理解できるだろう。他社比較では、同社の財務レバレッジの水準はVTホールディングスとケーユーホールディングスのちょうど中間にある。
以上の結論として、同社が成長戦略の一環でM&A戦略を実行に移すことは、ROEに対してもポジティブに働くことが期待される(あくまで案件の価格次第ではあるが)。ただしその規模については注意が必要だ。過度な財務レバレッジ(すなわち自己資本比率の急激な悪化)を招くようなことは避けるべきであり、同業他社との比較で中間に位置する現状のポジションをキープすることを1つの目安に、その範囲で実現可能なM&A案件を探っていくことが妥当だと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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