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ステップのニュース
*13:56JST ステップ Research Memo(6):4月以降も入塾状況は良好、2024年9月期業績は会社計画を上回る公算大
■ステップ<9795>の今後の見通し
1. 2024年9月期の業績見通し
2024年9月期は、売上高が前期比3.1%増の14,892百万円、営業利益が同4.6%増の3,338百万円、経常利益が同5.4%増の3,398百万円、当期純利益が同0.2%増の2,409百万円と期初計画を据え置いた。下期に人件費や教材費の一部がずれこんだものの、費用面では期初計画どおりとなる見通しだ。人件費や賃借料は対売上比率で上昇するが、前期に投資した備品費が2億円ほど減少するほか、その他費用も抑制することで通期の営業利益率は同0.3ポイント上昇し、各利益段階で2期ぶりの増益に転じる見通しだ。当期純利益については賃上げ促進税制による税額控除分が前期の150百万円から80百万円に減少する想定としているため、経常利益の伸び率よりも低い増益率となる。
下期の滑り出しは順調のようで、4月末の全生徒数は前年同期末比4.7%増と1年前の2.9%増から再加速しており、計画を上回るペースとなっている。授業料を値上げする学習塾が多いなかで、同社は2024年度も据え置いたほか、高校並びに大学受験で高い合格実績を上げ続けていることが生徒数増加の要因と見られる。このため、通期業績についても生徒数の増加により会社計画を上回る公算が大きいと弊社では見ている。
(1) 生徒数の動向
2024年4月末の全生徒数※は前年同期末比4.7%増の33,475人となった。このうち小中学生部門は同4.2%増の26,433人で、なかでも小学生が同8.3%増と好調に推移している。私立中学受験が過熱化しているものの、一方で「楽しく学ぶ」「勉強が好きになる」ということを目的とした通塾ニーズも拡大しているものと見られる。中学生についても同3.4%増の21,793人と増加した。中学生については少子化による高校入試の環境変化により、生徒数を減らす学習塾が多いなか、増加基調を続けていることは特筆される。県西部や横須賀方面では少子化の影響が出始めているものの、横浜・川崎エリアでスクール数の増加とともに生徒数が順調に増加していることが要因だ。ゴールデンウィーク明けの5月7日時点における小中学生のクラスすべての充席率(募集定員に対する生徒数の割合)で見ても、前年の75.9%(1,798クラス)に対して、2024年は76.5%(1,846クラス)と若干上昇していることからも、堅調に推移していることが窺え、下期についても同様の傾向が続くと予想される。
※学童保育、ステップジュニアラボ及び中高一貫コースの受講生含む。
高校生部門の生徒数は前年同期末比5.7%増の6,449人と順調に増加している。学年別で見れば売上単価の高い3年生が同12.2%増と大きく伸びていることから、下期も生徒数の伸び以上に売上高が伸長する見通しだ。1年生は同4.7%増、2年生は同横ばい水準に留まったが、全教科満席の校舎が増加したためで、収容能力さえあればさらに伸びていたと考えられる。特に1年生では15校中5校で全教科満席となっており、その多くは募集開始から1週間以内で満席となるほどだった。3年生についてはステップ中学部を卒塾した生徒以外の入会申込も増加傾向にあり、公立高校に通いながら現役で難関大学合格を目指す生徒に対してブランド力が一段と高まっていると言える。
高校生部門については、満席となっている校舎について鋭意、近隣に増床できる物件の探索を行っている。とりわけ、1~3年生すべてで満席(約520名)となっている横浜校については、2024年中に増床すべく準備を進めている。既に物件は見つかっているようで、100名程度の増員が可能となる。また、同物件は4月末現在約270名が在籍するHi-STEP横浜校にも活用する予定で、将来の生徒数増加も期待できる。
(2) 学童保育の展開について
2016年から開始した学童保育部門については、まだ業績に与える影響は軽微なものの着実に成長し利益貢献し始めている。安心・安全で有意義な放課後ライフの実現、知的な成長の場をコンセプトに、知的好奇心を育む各種教育プログラム※を提供していることが特徴であり、生徒や保護者からも高い評価を受けている。口コミ効果もあって、生徒数は2024年4月末時点で前年同期末比17.6%増の501名と2ケタペースで伸長している。学年別構成比では、小学1年生が34.3%、2年生が27.5%、3年生が22.4%、4年生が15.8%となっており、低学年ほど順調に生徒数を伸ばしている。とりわけ、本社のある「湘南教室」に関しては地域で抜群の人気となっており、既に5月から2025年度の予約が埋まりつつある。
※楽しく学ぶ「探求プログラム」として、サイエンス、プログラミング、はば広教養、ことば、英語、英検講座、英会話、算数、算数(思考)の9種類があり、「エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)」として手話、将棋、百人一首、音楽、ダンス、体育の6種類を用意している。
「湘南教室」「辻堂教室」は既に収益貢献しており、「茅ヶ崎教室」も2024年9月期より収益化が見込まれている。2023年春に横浜市で初めて開設した「白楽教室」についても1~2年生が主体となるが、2024年4月末で38名とおおむね過去の教室と同じペースの立ち上がりを見せている。横浜市の各学校には無料で利用できる学童サービスがあるため当初は苦戦するかと思われたが、STEPキッズの特徴である知的好奇心を育む多彩なプログラムを受けさせたいという保護者のニーズは強く、遅くとも開設4年目となる2026年9月期に収益化することを目指している。1人当たりの平均売上単価は50万円超と見られ、2024年9月期は2.5億円前後の売上が見込まれる。
今後は横浜市内でもドミナント展開で教室数を増やす計画だが、課題としてはブランドが浸透している藤沢市内と比較して収益化までの期間に多少時間がかかる可能性があること(無料で利用できる学童サービスの存在)、プログラムの共通化・標準化をどのレベルまで持っていくか、の2点がある。特に、プログラムの共通化・標準化については先生ごとに差が出やすい部分でもあり、ある程度の標準化は必要になってくると思われる。
(3) 採用状況
成長の源泉となる人材の採用について、2024年春の新卒採用は40名程度と2023年から若干減少したが、中途採用を含めた全体では50名程度とほぼ予定どおりの採用数になった。同社では採用力強化に向けてリファラル採用に加えて、採用イベントへの出展やYoutubeの公式チャンネルにインターンシップや教師研修の様子、教師の一日の流れといった動画をアップするなど仕事内容をアピールすることで認知度の向上に取り組んでいる。これらの取り組みや同社の教育理念に共感して、最近は遠方でも入社を希望する人材が増えており、優秀な人材を獲得し新たな教室を開設していくことで安定成長を目指す。なお、2025年春の新卒採用については50~60名程度を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2024年9月期の業績見通し
2024年9月期は、売上高が前期比3.1%増の14,892百万円、営業利益が同4.6%増の3,338百万円、経常利益が同5.4%増の3,398百万円、当期純利益が同0.2%増の2,409百万円と期初計画を据え置いた。下期に人件費や教材費の一部がずれこんだものの、費用面では期初計画どおりとなる見通しだ。人件費や賃借料は対売上比率で上昇するが、前期に投資した備品費が2億円ほど減少するほか、その他費用も抑制することで通期の営業利益率は同0.3ポイント上昇し、各利益段階で2期ぶりの増益に転じる見通しだ。当期純利益については賃上げ促進税制による税額控除分が前期の150百万円から80百万円に減少する想定としているため、経常利益の伸び率よりも低い増益率となる。
下期の滑り出しは順調のようで、4月末の全生徒数は前年同期末比4.7%増と1年前の2.9%増から再加速しており、計画を上回るペースとなっている。授業料を値上げする学習塾が多いなかで、同社は2024年度も据え置いたほか、高校並びに大学受験で高い合格実績を上げ続けていることが生徒数増加の要因と見られる。このため、通期業績についても生徒数の増加により会社計画を上回る公算が大きいと弊社では見ている。
(1) 生徒数の動向
2024年4月末の全生徒数※は前年同期末比4.7%増の33,475人となった。このうち小中学生部門は同4.2%増の26,433人で、なかでも小学生が同8.3%増と好調に推移している。私立中学受験が過熱化しているものの、一方で「楽しく学ぶ」「勉強が好きになる」ということを目的とした通塾ニーズも拡大しているものと見られる。中学生についても同3.4%増の21,793人と増加した。中学生については少子化による高校入試の環境変化により、生徒数を減らす学習塾が多いなか、増加基調を続けていることは特筆される。県西部や横須賀方面では少子化の影響が出始めているものの、横浜・川崎エリアでスクール数の増加とともに生徒数が順調に増加していることが要因だ。ゴールデンウィーク明けの5月7日時点における小中学生のクラスすべての充席率(募集定員に対する生徒数の割合)で見ても、前年の75.9%(1,798クラス)に対して、2024年は76.5%(1,846クラス)と若干上昇していることからも、堅調に推移していることが窺え、下期についても同様の傾向が続くと予想される。
※学童保育、ステップジュニアラボ及び中高一貫コースの受講生含む。
高校生部門の生徒数は前年同期末比5.7%増の6,449人と順調に増加している。学年別で見れば売上単価の高い3年生が同12.2%増と大きく伸びていることから、下期も生徒数の伸び以上に売上高が伸長する見通しだ。1年生は同4.7%増、2年生は同横ばい水準に留まったが、全教科満席の校舎が増加したためで、収容能力さえあればさらに伸びていたと考えられる。特に1年生では15校中5校で全教科満席となっており、その多くは募集開始から1週間以内で満席となるほどだった。3年生についてはステップ中学部を卒塾した生徒以外の入会申込も増加傾向にあり、公立高校に通いながら現役で難関大学合格を目指す生徒に対してブランド力が一段と高まっていると言える。
高校生部門については、満席となっている校舎について鋭意、近隣に増床できる物件の探索を行っている。とりわけ、1~3年生すべてで満席(約520名)となっている横浜校については、2024年中に増床すべく準備を進めている。既に物件は見つかっているようで、100名程度の増員が可能となる。また、同物件は4月末現在約270名が在籍するHi-STEP横浜校にも活用する予定で、将来の生徒数増加も期待できる。
(2) 学童保育の展開について
2016年から開始した学童保育部門については、まだ業績に与える影響は軽微なものの着実に成長し利益貢献し始めている。安心・安全で有意義な放課後ライフの実現、知的な成長の場をコンセプトに、知的好奇心を育む各種教育プログラム※を提供していることが特徴であり、生徒や保護者からも高い評価を受けている。口コミ効果もあって、生徒数は2024年4月末時点で前年同期末比17.6%増の501名と2ケタペースで伸長している。学年別構成比では、小学1年生が34.3%、2年生が27.5%、3年生が22.4%、4年生が15.8%となっており、低学年ほど順調に生徒数を伸ばしている。とりわけ、本社のある「湘南教室」に関しては地域で抜群の人気となっており、既に5月から2025年度の予約が埋まりつつある。
※楽しく学ぶ「探求プログラム」として、サイエンス、プログラミング、はば広教養、ことば、英語、英検講座、英会話、算数、算数(思考)の9種類があり、「エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)」として手話、将棋、百人一首、音楽、ダンス、体育の6種類を用意している。
「湘南教室」「辻堂教室」は既に収益貢献しており、「茅ヶ崎教室」も2024年9月期より収益化が見込まれている。2023年春に横浜市で初めて開設した「白楽教室」についても1~2年生が主体となるが、2024年4月末で38名とおおむね過去の教室と同じペースの立ち上がりを見せている。横浜市の各学校には無料で利用できる学童サービスがあるため当初は苦戦するかと思われたが、STEPキッズの特徴である知的好奇心を育む多彩なプログラムを受けさせたいという保護者のニーズは強く、遅くとも開設4年目となる2026年9月期に収益化することを目指している。1人当たりの平均売上単価は50万円超と見られ、2024年9月期は2.5億円前後の売上が見込まれる。
今後は横浜市内でもドミナント展開で教室数を増やす計画だが、課題としてはブランドが浸透している藤沢市内と比較して収益化までの期間に多少時間がかかる可能性があること(無料で利用できる学童サービスの存在)、プログラムの共通化・標準化をどのレベルまで持っていくか、の2点がある。特に、プログラムの共通化・標準化については先生ごとに差が出やすい部分でもあり、ある程度の標準化は必要になってくると思われる。
(3) 採用状況
成長の源泉となる人材の採用について、2024年春の新卒採用は40名程度と2023年から若干減少したが、中途採用を含めた全体では50名程度とほぼ予定どおりの採用数になった。同社では採用力強化に向けてリファラル採用に加えて、採用イベントへの出展やYoutubeの公式チャンネルにインターンシップや教師研修の様子、教師の一日の流れといった動画をアップするなど仕事内容をアピールすることで認知度の向上に取り組んでいる。これらの取り組みや同社の教育理念に共感して、最近は遠方でも入社を希望する人材が増えており、優秀な人材を獲得し新たな教室を開設していくことで安定成長を目指す。なお、2025年春の新卒採用については50~60名程度を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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