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ステップのニュース
■今後の見通し
1. 2020年9月期の見通し
ステップ<9795>の2020年9月期の業績見通しについては、期初計画の増収増益予想を一旦取り下げ、未定とした。4月7日付で神奈川県を含めた主要都府県で、新型コロナウイルス感染拡大を防止するための緊急事態宣言が発令されたことを受け、同社は小中学生部門、高校生部門ともに集団ライブ授業を停止し、オンライン授業に全面移行した。こうした状況下で、2020年9月期の業績予想を合理的に見積もることは困難と判断したためである。緊急事態宣言の解除に伴い6月1日よりライブ授業を再開し、夏期講習も例年とは異なるスタイルながら、ほぼ前年並みの授業時間数を確保している。新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況が見通せないため、引き続き業績見通しも未定となっているが、入会の問い合わせは順調に増えており、6月以降は生徒数の回復が期待できるであろう。
(1) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
4月の授業体制については、小中学生部門、高校生部門ともオンライン授業に切り替えて実施した。スクールごとに各教科の教師が「自スクールに通う生徒のための授業」を撮影し、e-STEP(ステップの映像授業システム)を使用して配信すると共に、Web会議ソフトを使ったオンライン上でのホームルームや授業、質問対応など、双方向の交流を進めた。また、ガイダンスなどのイベントのライブ配信も実施している。ただし、入会当初に約束している通常の対面授業が実施できなかったこと、またオンライン授業の部門では同社は後発で、未だノウハウが十全とは言い難いことなどから、4月、5月の授業料については、小中学生部門、高校生部門共に、通常よりも大幅に値下げした特別授業料(学年により異なるが、おおむね60〜80%の値下げ)に変更した。この変更による売上高の影響額は1ヶ月当たり4〜5億円程度と見られ、5月末まで続いたため9億円程度の減収要因と試算される。なお、同社によると、2ヶ月間で約4万本の動画配信と毎日のWeb会議ソフトを使ったホームルーム、解説授業、そして在宅模試の実施などに全社を挙げて取り組んだ結果、オンライン授業のノウハウのレベルアップが急速に進み、塾生及び保護者では好意的な反響があったとのことである。
通常のライブ授業は、県内の小中学校及び高校の授業再開を受けて、6月1日より再開した。授業料は6月分から通常料金に戻すこととしている。なお、新型コロナウイルス感染防止のため、授業を分割するなど座席は間隔を十分に保ち、換気を行う。また、教師・生徒ともマスク着用、検温、手指の消毒を徹底し、さらに教師はフェイスシールドとマスクをつける。一方、学童部門に関しては、感染防止対策を徹底したうえで、通常どおりの運営を行っている。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響は、新規入塾生徒数の状況にも表れている。通常、3月、4月が新規生徒獲得のシーズンとなるが、4月末の在籍生徒数の状況を見ると、小学生が前年同期比で5.5%減、高校生が同2.0%減とそれぞれ減少に転じており、唯一、中学生が2.0%増と増加基調を維持し、全体では0.5%増と若干の増加にとどまった。当第2四半期累計の期中平均伸び率が4.1%増だったことを考えると、急ブレーキがかかったとも言える。
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかで、2月末に全国の小中学校や高校への休校要請が出され、同社も3月2日から2週間休講とした。募集が好調だった中学生はその時点ですでに前年同期を上回っていたが、3月が入会のピークである小学生と高校1年生は事実上、募集が休止状態となったため、大きな影響を受けた。高校生に関しては、2年生、3年生は前年度からの進級による継続によって増加基調が続いた。注目すべきは、3月上旬に募集が事実上休止状態になったにもかかわらず、中学生が1年生も含めてすべての学年で前年同期比で増加となったことである。これは、「翠嵐プロジェクト」「横浜プロジェクト」を2年連続で達成したことにより、神奈川県内の公立トップ高校を目指す学習塾としてのブランド力が一段と向上したことによって、新年度募集の早期化が進んでいたためと思われる。なお、小学生や高校1年生についても通常の集団ライブ授業の再開を待って入塾を希望している生徒が一定数以上いることから、通常授業が再開されれば生徒数の増加ペースも以前のペースに戻るものと同社では予想している。
以上の状況から、当第3四半期(2020年4月-6月)の業績については、一時的に売上高が大きく落ち込み、営業利益ベースでは数億円程度の損失となる可能性がある。また、例年、四半期ベースで利益のピークとなる第4四半期については、学校の夏休み期間の短縮が想定されるなか、夏期講習スケジュールの全面的見直しによる講習の運営を公表しており、前年同四半期を上回るまでに回復できるか注目される。
(2) 学童保育の状況
学童保育部門については、新たに2校を3月に開校したことで、4月末の生徒数は前年同期比66名増の229名となっている。2016年に開校した「湘南教室」については既に黒字化しているものの、新設の「辻堂教室」「茅ヶ崎教室」は小学1~2年生のみの募集であり(3年目で小学4年生までをカバー)、初年度は先行投資費用もあって損失となり、学童保育部門全体でも若干の損失を見込んでいる。
同社の学童保育「STEPキッズ」のコンセプトは、「安全・安心で楽しく有意義な放課後、知的な成長の場」となる教室づくりを目指しており、知的好奇心を育むプログラム※も多く用意されていることが特徴で、生徒・保護者からの評価も高い。生徒当たり平均売上単価は年間40万円台で、同社のなかでは中学3年生に次いで高い水準となっている。教室展開については、近隣に「STEP」の教室がある地域に開校していく戦略となる。学習プログラムの運営では「STEP」の教師や教師経験者がサポートに入っているためだ。このため教室展開については、教室の立地場所の確保に加えて担当する先生のリソースを確保できるかが条件となる。これら条件が整えば順次、教室を展開していくことになる。2021年以降の具体的なスケジュールはまだないが、教室数として将来的に県内に20~30教室を展開することは十分可能と会社側では見ている。
※プログラムとしては、キッズプログラム(学習系の習い事)としてサイエンス、プログラミング、英語、英会話、算数、ことば(国語)、はば広教養の7種類、エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)として百人一首、将棋、ダンス、体育、音楽の5種類のプログラムを用意している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 2020年9月期の見通し
ステップ<9795>の2020年9月期の業績見通しについては、期初計画の増収増益予想を一旦取り下げ、未定とした。4月7日付で神奈川県を含めた主要都府県で、新型コロナウイルス感染拡大を防止するための緊急事態宣言が発令されたことを受け、同社は小中学生部門、高校生部門ともに集団ライブ授業を停止し、オンライン授業に全面移行した。こうした状況下で、2020年9月期の業績予想を合理的に見積もることは困難と判断したためである。緊急事態宣言の解除に伴い6月1日よりライブ授業を再開し、夏期講習も例年とは異なるスタイルながら、ほぼ前年並みの授業時間数を確保している。新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況が見通せないため、引き続き業績見通しも未定となっているが、入会の問い合わせは順調に増えており、6月以降は生徒数の回復が期待できるであろう。
(1) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
4月の授業体制については、小中学生部門、高校生部門ともオンライン授業に切り替えて実施した。スクールごとに各教科の教師が「自スクールに通う生徒のための授業」を撮影し、e-STEP(ステップの映像授業システム)を使用して配信すると共に、Web会議ソフトを使ったオンライン上でのホームルームや授業、質問対応など、双方向の交流を進めた。また、ガイダンスなどのイベントのライブ配信も実施している。ただし、入会当初に約束している通常の対面授業が実施できなかったこと、またオンライン授業の部門では同社は後発で、未だノウハウが十全とは言い難いことなどから、4月、5月の授業料については、小中学生部門、高校生部門共に、通常よりも大幅に値下げした特別授業料(学年により異なるが、おおむね60〜80%の値下げ)に変更した。この変更による売上高の影響額は1ヶ月当たり4〜5億円程度と見られ、5月末まで続いたため9億円程度の減収要因と試算される。なお、同社によると、2ヶ月間で約4万本の動画配信と毎日のWeb会議ソフトを使ったホームルーム、解説授業、そして在宅模試の実施などに全社を挙げて取り組んだ結果、オンライン授業のノウハウのレベルアップが急速に進み、塾生及び保護者では好意的な反響があったとのことである。
通常のライブ授業は、県内の小中学校及び高校の授業再開を受けて、6月1日より再開した。授業料は6月分から通常料金に戻すこととしている。なお、新型コロナウイルス感染防止のため、授業を分割するなど座席は間隔を十分に保ち、換気を行う。また、教師・生徒ともマスク着用、検温、手指の消毒を徹底し、さらに教師はフェイスシールドとマスクをつける。一方、学童部門に関しては、感染防止対策を徹底したうえで、通常どおりの運営を行っている。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響は、新規入塾生徒数の状況にも表れている。通常、3月、4月が新規生徒獲得のシーズンとなるが、4月末の在籍生徒数の状況を見ると、小学生が前年同期比で5.5%減、高校生が同2.0%減とそれぞれ減少に転じており、唯一、中学生が2.0%増と増加基調を維持し、全体では0.5%増と若干の増加にとどまった。当第2四半期累計の期中平均伸び率が4.1%増だったことを考えると、急ブレーキがかかったとも言える。
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかで、2月末に全国の小中学校や高校への休校要請が出され、同社も3月2日から2週間休講とした。募集が好調だった中学生はその時点ですでに前年同期を上回っていたが、3月が入会のピークである小学生と高校1年生は事実上、募集が休止状態となったため、大きな影響を受けた。高校生に関しては、2年生、3年生は前年度からの進級による継続によって増加基調が続いた。注目すべきは、3月上旬に募集が事実上休止状態になったにもかかわらず、中学生が1年生も含めてすべての学年で前年同期比で増加となったことである。これは、「翠嵐プロジェクト」「横浜プロジェクト」を2年連続で達成したことにより、神奈川県内の公立トップ高校を目指す学習塾としてのブランド力が一段と向上したことによって、新年度募集の早期化が進んでいたためと思われる。なお、小学生や高校1年生についても通常の集団ライブ授業の再開を待って入塾を希望している生徒が一定数以上いることから、通常授業が再開されれば生徒数の増加ペースも以前のペースに戻るものと同社では予想している。
以上の状況から、当第3四半期(2020年4月-6月)の業績については、一時的に売上高が大きく落ち込み、営業利益ベースでは数億円程度の損失となる可能性がある。また、例年、四半期ベースで利益のピークとなる第4四半期については、学校の夏休み期間の短縮が想定されるなか、夏期講習スケジュールの全面的見直しによる講習の運営を公表しており、前年同四半期を上回るまでに回復できるか注目される。
(2) 学童保育の状況
学童保育部門については、新たに2校を3月に開校したことで、4月末の生徒数は前年同期比66名増の229名となっている。2016年に開校した「湘南教室」については既に黒字化しているものの、新設の「辻堂教室」「茅ヶ崎教室」は小学1~2年生のみの募集であり(3年目で小学4年生までをカバー)、初年度は先行投資費用もあって損失となり、学童保育部門全体でも若干の損失を見込んでいる。
同社の学童保育「STEPキッズ」のコンセプトは、「安全・安心で楽しく有意義な放課後、知的な成長の場」となる教室づくりを目指しており、知的好奇心を育むプログラム※も多く用意されていることが特徴で、生徒・保護者からの評価も高い。生徒当たり平均売上単価は年間40万円台で、同社のなかでは中学3年生に次いで高い水準となっている。教室展開については、近隣に「STEP」の教室がある地域に開校していく戦略となる。学習プログラムの運営では「STEP」の教師や教師経験者がサポートに入っているためだ。このため教室展開については、教室の立地場所の確保に加えて担当する先生のリソースを確保できるかが条件となる。これら条件が整えば順次、教室を展開していくことになる。2021年以降の具体的なスケジュールはまだないが、教室数として将来的に県内に20~30教室を展開することは十分可能と会社側では見ている。
※プログラムとしては、キッズプログラム(学習系の習い事)としてサイエンス、プログラミング、英語、英会話、算数、ことば(国語)、はば広教養の7種類、エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)として百人一首、将棋、ダンス、体育、音楽の5種類のプログラムを用意している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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