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ステップのニュース
■業績動向
1. 2019年9月期の業績動向
ステップ<9795>の2019年9月期業績は、売上高で前期比5.1%増の11,592百万円、営業利益で同0.3%増の2,689百万円、経常利益で同0.8%減の2,738百万円、当期純利益で同4.3%増の1,943百万円となり、経常利益を除いて過去最高を更新した。当期は「横浜プロジェクト」等の目標達成を最優先に取り組むため、期初会社計画は売上高のみを開示していた。結果として、2019年春の高校受験において目標としていた「横浜プロジェクト」を達成したほか、「翠嵐プロジェクト」についても1年前倒しで達成することができ、売上高については会社計画を若干上回って着地した。
利益面では、プロジェクト達成に伴う特別賞与金として184百万円を支給したほか、プロジェクト推進のための学習環境の整備を目的にプロジェクターやパソコン、加湿器等の導入を促進したことで、備品費が前期比87百万円増加したこと等により、営業利益が微増益にとどまり、経常利益は微減益となった。また、特別賞与の支給等により、賃上げ税制が適用となったことで62百万円の税額控除が認められ、実効税率が低下したことにより当期純利益は4.3%の増益となった。
(1) 横浜プロジェクト、翠嵐プロジェクトについて
同社は、中長期的な成長を続けていくためには、今後も学生人口の増加が見込まれる横浜東部及び北部エリア、川崎エリアで教室展開を進め、同地域内で生徒数を増やしていくことが最も重要であると考えている。既に、神奈川県西部及び南部エリアでは盤石のブランド力と高いシェアを獲得しているためで、今後は激戦区で業界シェアが相対的に低い横浜東部及び北部エリア、川崎エリアでブランド力向上を図るための取り組みとして、「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」の2つのプロジェクトを打ち出した。
「横浜プロジェクト」は、横浜市内公立トップ校9校の合格者数合計で業界トップを獲るプロジェクトで、2018年は湘南ゼミナールと僅差で2番手だったが、2019年春の合格者数は湘南ゼミナールが673名と前年から減少したのに対して、同社は899名(前年比168名増)と大幅に躍進、大差を付けてのトップに躍り出た。また、「翠嵐プロジェクト」は、県内最難関公立校である横浜翠嵐高校の合格者数でトップを獲得するプロジェクトとなる。従来は湘南ゼミナール、臨海セミナーに次ぐ3番手であったが、2019年は競合2塾が合格者数を減少させるなか、同社は123名(前年比46名増)と大きく躍進し、僅差ながらトップを獲得した。また、合格率で見てもSTEP生が82.0%(合格者数123名/受験者数150名)と高い合格率を達成したのに対して、その他の受験生の合格率は46.2%(合格者数235名/受験者数509名)と大きな開きが出ており、横浜翠嵐高校を志望する生徒や保護者からの評価は確実に高まったものと思われる。
期初に打ち立てた「横浜プロジェクト」を予定通り達成し、加えて「翠嵐プロジェクト」も前倒しで実現した同社であるが、重要なのは2年、3年と同取り組みを継続していくことであり、3年連続で両プロジェクトとも目標を達成すれば、横浜東部・北部、川崎エリアにおいても盤石のブランド力を構築できるものと考えている。当然ながら、競合塾も巻き返しを図るため、今まで以上に入試での得点力競争、生徒獲得競争が激しくなると予想されるが、2019年春の新規生徒募集においてはマイナスの影響は出ておらず、むしろ当該エリアからの問い合わせ件数が増えるなど、両プロジェクトを達成したことによるプラスの効果が出ていると見られる。
具体例を挙げれば、2018年春に激戦区の1つである小田急線沿線の新百合ヶ丘(川崎市麻生区)に開校した教室は、オープン2年目で中学1〜3年生すべてのクラスで定員に達した。川崎市は同社の中で最も遅くに進出したエリアとなり、教室数もまだ5校と少なくブランド力も醸成されていないなかでは、異例のスピードと言える。同エリアが教育に熱心な地域であることや、指導力がある教室長や教師を地域特性に合わせて上手く配置できたことが要因と考えられ、今後の川崎エリア進出に当たっての成功事例となる。
(2) 新規開校、生徒数の動向について
2019年9月期における新規開校は小中学生部門で2スクール、高校生部門で1スクールとなり、いずれも3月に開校した。小中学生部門では、藤沢駅南口スクール(藤沢市)と犬蔵スクール(川崎市宮前区)を開校した。このうち地盤である藤沢駅南口スクールについては、標準的なスクールでは2〜3年目に相当する生徒が既に集まるなど好調な滑り出しとなっている。また、犬蔵スクールは駅から離れた中学校を対象とした内陸型のため立ち上がりの生徒募集はやや鈍かったが、徐々に増え始めている。一方、高校生部門では4年ぶりとなる横須賀校(横須賀市)を開校した。生徒数は予想通りのペースで順調に増加している。
期中平均生徒数は、小中学生部門で前期比2.7%増、高校生部門で同6.4%増、全体で同3.4%増と増加傾向が続いた。売上高の内訳を見ると、小中学生部門で同4.6%増の9,396百万円、高校生部門で同6.9%増の2,196百万円となり、生徒当たり売上単価についてもそれぞれ上昇した。特に、小中学生部門は1.9%上昇しているが、これは主に中学2~3年生向けに実施している特色検査対策講座等の特別講座の受講者数が増加したことが要因と見られる。
なお、従来は小中学生部門の営業利益率が高校生部門と比較して数ポイント上回っていたが、2019年9月期は小中学生部門で横浜プロジェクトに関連した費用が増加し利益率が一時的に低下したこと、高校生部門は1教室当たり生徒数の増加による利益率の上昇トレンドが続いたことから、両部門の営業利益率はほぼ同水準となった。
(3) 費用の増減要因
費用の増減要因を見ると、売上原価率が前期の69.2%から70.4%に上昇し、金額ベースでは前期比523百万円の増加となった。内訳を見ると、教師の増員や前述した2つのプロジェクトの目標を達成したことによる特別賞与の支給で人件費が前期比6.4%増、347百万円増加したほか、備品費が同137.7%増、87百万円増加したことが原価率の上昇要因となっている。備品については、最新型プロジェクターを全スクールに完備したほか、全校舎のパソコンの大量入れ替えや、加湿器の全教室及び自習室への設置を行った。
一方、販管費率は前期の6.5%から6.4%と若干低下し、金額ベースでは前期比26百万円の増加となった。人件費が特別賞与の支給等により同9.0%増、25百万円の増加となったほか、求人費が同50.8%増、11百万円の増加となった。一方で、広告宣伝費は同10.3%減、20百万円の減少となった。新規開校スクールが前期の5校から3校に減少したことや、折り込みチラシの効率化に取り組んだこと等が奏効した。広告宣伝費率は1.5%の水準まで低下したことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2019年9月期の業績動向
ステップ<9795>の2019年9月期業績は、売上高で前期比5.1%増の11,592百万円、営業利益で同0.3%増の2,689百万円、経常利益で同0.8%減の2,738百万円、当期純利益で同4.3%増の1,943百万円となり、経常利益を除いて過去最高を更新した。当期は「横浜プロジェクト」等の目標達成を最優先に取り組むため、期初会社計画は売上高のみを開示していた。結果として、2019年春の高校受験において目標としていた「横浜プロジェクト」を達成したほか、「翠嵐プロジェクト」についても1年前倒しで達成することができ、売上高については会社計画を若干上回って着地した。
利益面では、プロジェクト達成に伴う特別賞与金として184百万円を支給したほか、プロジェクト推進のための学習環境の整備を目的にプロジェクターやパソコン、加湿器等の導入を促進したことで、備品費が前期比87百万円増加したこと等により、営業利益が微増益にとどまり、経常利益は微減益となった。また、特別賞与の支給等により、賃上げ税制が適用となったことで62百万円の税額控除が認められ、実効税率が低下したことにより当期純利益は4.3%の増益となった。
(1) 横浜プロジェクト、翠嵐プロジェクトについて
同社は、中長期的な成長を続けていくためには、今後も学生人口の増加が見込まれる横浜東部及び北部エリア、川崎エリアで教室展開を進め、同地域内で生徒数を増やしていくことが最も重要であると考えている。既に、神奈川県西部及び南部エリアでは盤石のブランド力と高いシェアを獲得しているためで、今後は激戦区で業界シェアが相対的に低い横浜東部及び北部エリア、川崎エリアでブランド力向上を図るための取り組みとして、「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」の2つのプロジェクトを打ち出した。
「横浜プロジェクト」は、横浜市内公立トップ校9校の合格者数合計で業界トップを獲るプロジェクトで、2018年は湘南ゼミナールと僅差で2番手だったが、2019年春の合格者数は湘南ゼミナールが673名と前年から減少したのに対して、同社は899名(前年比168名増)と大幅に躍進、大差を付けてのトップに躍り出た。また、「翠嵐プロジェクト」は、県内最難関公立校である横浜翠嵐高校の合格者数でトップを獲得するプロジェクトとなる。従来は湘南ゼミナール、臨海セミナーに次ぐ3番手であったが、2019年は競合2塾が合格者数を減少させるなか、同社は123名(前年比46名増)と大きく躍進し、僅差ながらトップを獲得した。また、合格率で見てもSTEP生が82.0%(合格者数123名/受験者数150名)と高い合格率を達成したのに対して、その他の受験生の合格率は46.2%(合格者数235名/受験者数509名)と大きな開きが出ており、横浜翠嵐高校を志望する生徒や保護者からの評価は確実に高まったものと思われる。
期初に打ち立てた「横浜プロジェクト」を予定通り達成し、加えて「翠嵐プロジェクト」も前倒しで実現した同社であるが、重要なのは2年、3年と同取り組みを継続していくことであり、3年連続で両プロジェクトとも目標を達成すれば、横浜東部・北部、川崎エリアにおいても盤石のブランド力を構築できるものと考えている。当然ながら、競合塾も巻き返しを図るため、今まで以上に入試での得点力競争、生徒獲得競争が激しくなると予想されるが、2019年春の新規生徒募集においてはマイナスの影響は出ておらず、むしろ当該エリアからの問い合わせ件数が増えるなど、両プロジェクトを達成したことによるプラスの効果が出ていると見られる。
具体例を挙げれば、2018年春に激戦区の1つである小田急線沿線の新百合ヶ丘(川崎市麻生区)に開校した教室は、オープン2年目で中学1〜3年生すべてのクラスで定員に達した。川崎市は同社の中で最も遅くに進出したエリアとなり、教室数もまだ5校と少なくブランド力も醸成されていないなかでは、異例のスピードと言える。同エリアが教育に熱心な地域であることや、指導力がある教室長や教師を地域特性に合わせて上手く配置できたことが要因と考えられ、今後の川崎エリア進出に当たっての成功事例となる。
(2) 新規開校、生徒数の動向について
2019年9月期における新規開校は小中学生部門で2スクール、高校生部門で1スクールとなり、いずれも3月に開校した。小中学生部門では、藤沢駅南口スクール(藤沢市)と犬蔵スクール(川崎市宮前区)を開校した。このうち地盤である藤沢駅南口スクールについては、標準的なスクールでは2〜3年目に相当する生徒が既に集まるなど好調な滑り出しとなっている。また、犬蔵スクールは駅から離れた中学校を対象とした内陸型のため立ち上がりの生徒募集はやや鈍かったが、徐々に増え始めている。一方、高校生部門では4年ぶりとなる横須賀校(横須賀市)を開校した。生徒数は予想通りのペースで順調に増加している。
期中平均生徒数は、小中学生部門で前期比2.7%増、高校生部門で同6.4%増、全体で同3.4%増と増加傾向が続いた。売上高の内訳を見ると、小中学生部門で同4.6%増の9,396百万円、高校生部門で同6.9%増の2,196百万円となり、生徒当たり売上単価についてもそれぞれ上昇した。特に、小中学生部門は1.9%上昇しているが、これは主に中学2~3年生向けに実施している特色検査対策講座等の特別講座の受講者数が増加したことが要因と見られる。
なお、従来は小中学生部門の営業利益率が高校生部門と比較して数ポイント上回っていたが、2019年9月期は小中学生部門で横浜プロジェクトに関連した費用が増加し利益率が一時的に低下したこと、高校生部門は1教室当たり生徒数の増加による利益率の上昇トレンドが続いたことから、両部門の営業利益率はほぼ同水準となった。
(3) 費用の増減要因
費用の増減要因を見ると、売上原価率が前期の69.2%から70.4%に上昇し、金額ベースでは前期比523百万円の増加となった。内訳を見ると、教師の増員や前述した2つのプロジェクトの目標を達成したことによる特別賞与の支給で人件費が前期比6.4%増、347百万円増加したほか、備品費が同137.7%増、87百万円増加したことが原価率の上昇要因となっている。備品については、最新型プロジェクターを全スクールに完備したほか、全校舎のパソコンの大量入れ替えや、加湿器の全教室及び自習室への設置を行った。
一方、販管費率は前期の6.5%から6.4%と若干低下し、金額ベースでは前期比26百万円の増加となった。人件費が特別賞与の支給等により同9.0%増、25百万円の増加となったほか、求人費が同50.8%増、11百万円の増加となった。一方で、広告宣伝費は同10.3%減、20百万円の減少となった。新規開校スクールが前期の5校から3校に減少したことや、折り込みチラシの効率化に取り組んだこと等が奏効した。広告宣伝費率は1.5%の水準まで低下したことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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