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船井総研ホールディングスのニュース
■事業概要
1. 経営コンサルティング事業
(1) 業績推移
船井総研ホールディングス<9757>にとって経営コンサルティング事業は、過去一貫して大黒柱であり、成長及び収益の源泉である。過去4年間の平均成長率は、売上高で年12.0%増、営業利益で年7.4%増と安定している。2019年12月期も第3四半期累計で、売上高14,236百万円(前年同期比15.6%増)、営業利益4,015百万円(同24.1%増)と順調な成長ペースを維持した。
(2) 経営コンサルティング事業のビジネスモデル
(a) 業種・テーマ別経営研究会
同社のビジネスモデルの中核となるアプローチが「業種・テーマ別経営研究会」である。2018年12月末で170を超える研究会に7,000名以上の会員(有料)が参加し、勉強会やモデル企業視察などの活動を行っている。一般的に経営者の集まりは、異業種交流会的なものが多いが、この経営研究会は業種やテーマが絞り込まれており、より実践的なものだ。住宅業界での研究会を例示すると、「分譲住宅ビジネス研究会」「賃貸管理ビジネス・資産管理研究会」「中古+リフォームビジネス研究会」「塗装ビジネス研究会」など、具体的かつ細分化している。既存クライアントも参加しているため、経営コンサルティングの実態や効果も口コミで伝わりやすい。
(b) ズバリソリューション
各経営研究会で討議されるのがズバリソリューションである。ズバリソリューションとは同社オリジナルの言葉であり、「いま、実践すれば、飛躍的な業績向上を狙える、その業界における旬のビジネスモデル」を意味する。一般的な経営コンサルティングでは、経営診断を行った後にカスタマイズされた解決策の提案を行うのが常道だが、同社は逆の発想である。事前に成功するビジネスモデルを準備しておき、そのモデルに賛同するクライアントを集客していく。数あるソリューションの中から例示すれば、住宅業界では「2年目で年80棟を売るコンパクト建売分譲モデル」、介護業界では「脳梗塞リハビリ新規参入」、弁護士業においては「交通事故後遺障害認定を含めたワンストップサービス」など非常に具体的である。若いコンサルタントでも、同じソリューションを何件も担当することで短期に累積経験を積むことができ、早く独り立ちできる。
(c) 業種・テーマ別組織・早期人材育成体制
同社は業種・テーマ別組織を基本としている。新卒採用を中心とした若いコンサルタントが多いなかで、特定の経営研究会、経営セミナー、月次支援を担当し、業種やテーマに特化することで早期にノウハウを吸収し自立することができる。コンサルタントが新卒入社からチームリーダーに昇格するまでの期間は以前7年1ヶ月(2013年)であったが、現在では4年2ヶ月(2018年)であり、早期に“一人前”のコンサルタントを育成する体制に磨きがかかっている。
(d) 現場に密着する「月次支援」が中心
業務別に見ると、「月次支援(コンサルティング)」が3分の2を占め、売上の中心である。「月次支援」は現場に出向き経営者に寄り添いながら、実践的な支援を行う。1年間の契約が多く、継続率も高い。「プロジェクト(コンサルティング)」は、調査、診断やこれらに基づく提案を一定期間でレポートする業務であり、カスタマイズ性が高い。M&A案件などもここに分類される。コンサルティング以外ではWebでの集客を支援する「リスティング」が大きく、伸び率も高い。「経営研究会会費」、「公開型セミナー」は新規顧客の開拓にも貢献しており、同社のビジネスモデルに不可欠な存在だ。「プロジェクト」を除くいずれの業務も2019年12月期第3四半期に成長している。
(3) 業種・テーマ別の動向
経営コンサルティング事業を業種別に見ると、主力2業種である「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」で前期比2ケタ増と順調に業績を伸ばしている。好調の業種にはコンサルタントの増員も図っていくことで、より活性化するという好循環が発生する。結果として同社は「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」「士業」など多くの国内コンサルティング市場でシェアNo.1クラスの地位にある。規模は小さいが成長性が高い業種としては、「人材サービス(前年同期比59.7%増)」「環境・エネルギー関連(同30.0%増)」などがある。逆風が吹く業種としては「フード(同15.1%減)」、「アミューズメント(同13.9%減)」が挙げられる。近年、業界自体が頭打ちとなっており、同社の業績も苦戦する。
支援テーマ別に見ると、従来からの「成長実行支援(業績向上)」が大きな割合を占める傾向は変わらないものの、「人材開発支援(人材採用・育成・評価・組織活性化)」と「価値向上支援(事業承継・M&A・財務支援等)」がその比率を伸ばしている。
2. ロジスティクス事業
ロジスティクス事業では、顧客企業の物流コスト削減等を目的としたコンサルティングサービスである「物流コンサルティング業務」、顧客企業の物流業務の運用等を実行するサービスである「物流オペレーション業務」、顧客企業の購買コスト削減等を共同購買で具現化するサービスである「物流トレーディング業務」の3業務を行っている。売上高の構成としては、約55%を占めるのが「物流オペレーション業務」であり、続く「物流コンサルティング業務」は利益率が高い点に特徴がある。過去4年間の平均成長率は、売上高で年14.7%増、営業利益で年66.2%増であり、安定した成長とともに、大幅に収益性を改善してきた。2019年12月期に入ってからも、物流コンサルティング業務で大型プロジェクトを受注したことで、順調に収益改善が進んでいる。
3. ダイレクトリクルーティング事業
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら積極的に求める人材を探し出して直接アプローチを行う採用活動のことである。従来のような求人掲載サイトや人材紹介会社などを利用して募集をかける「待ち」の採用手法と異なり、企業自らが人材データベースから求める人材を探し、直接連絡を取り採用する「攻め」の採用手法である。同社では大手求人検索エンジン「Indeed」などの認定パートナーとして、顧客企業の求人広告出稿や応募者管理など支援業務を行う。同社の差別化要素は、日本初の「AI採用クラウド」サービスである。蓄積されたビッグデータによる求人キーワード分析により、応募が集まる求人原稿にAIが添削。費用対効果の高い最適な媒体に自動出稿。AIにより24時間365日自動で応募者を一元管理できるため採用担当者の業務効率化が可能となる。国内企業の求人数増加に伴う転職マーケットの活況にも後押しされ、新規顧客数は右肩上がりに増加している。2019年12月期第3四半期の売上高は1,749百万円(前年同期比97.9%増)、セグメント損失は181百万円である。早期の売上拡大に向けて、販促費用やシステム開発費用を中心に先行投資を継続していく方針である。
4. その他事業
その他事業は、同社が「総合経営コンサルティンググループ」を目指すための周辺事業群が含まれる。具体的には、(株)船井総研ITソリューションズ(ITコンサルティング事業)、(株)プロシード(コンタクトセンターコンサルティング事業)、新和コンピュータサービス(システム開発事業)の3事業である。セグメント売上高は2019年12月期第3四半期で834百万円、前年同期比45.3%増となった。この要因としては、前年第3四半期から連結した新和コンピュータサービスの業績がフルで寄与したため。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<SF>
1. 経営コンサルティング事業
(1) 業績推移
船井総研ホールディングス<9757>にとって経営コンサルティング事業は、過去一貫して大黒柱であり、成長及び収益の源泉である。過去4年間の平均成長率は、売上高で年12.0%増、営業利益で年7.4%増と安定している。2019年12月期も第3四半期累計で、売上高14,236百万円(前年同期比15.6%増)、営業利益4,015百万円(同24.1%増)と順調な成長ペースを維持した。
(2) 経営コンサルティング事業のビジネスモデル
(a) 業種・テーマ別経営研究会
同社のビジネスモデルの中核となるアプローチが「業種・テーマ別経営研究会」である。2018年12月末で170を超える研究会に7,000名以上の会員(有料)が参加し、勉強会やモデル企業視察などの活動を行っている。一般的に経営者の集まりは、異業種交流会的なものが多いが、この経営研究会は業種やテーマが絞り込まれており、より実践的なものだ。住宅業界での研究会を例示すると、「分譲住宅ビジネス研究会」「賃貸管理ビジネス・資産管理研究会」「中古+リフォームビジネス研究会」「塗装ビジネス研究会」など、具体的かつ細分化している。既存クライアントも参加しているため、経営コンサルティングの実態や効果も口コミで伝わりやすい。
(b) ズバリソリューション
各経営研究会で討議されるのがズバリソリューションである。ズバリソリューションとは同社オリジナルの言葉であり、「いま、実践すれば、飛躍的な業績向上を狙える、その業界における旬のビジネスモデル」を意味する。一般的な経営コンサルティングでは、経営診断を行った後にカスタマイズされた解決策の提案を行うのが常道だが、同社は逆の発想である。事前に成功するビジネスモデルを準備しておき、そのモデルに賛同するクライアントを集客していく。数あるソリューションの中から例示すれば、住宅業界では「2年目で年80棟を売るコンパクト建売分譲モデル」、介護業界では「脳梗塞リハビリ新規参入」、弁護士業においては「交通事故後遺障害認定を含めたワンストップサービス」など非常に具体的である。若いコンサルタントでも、同じソリューションを何件も担当することで短期に累積経験を積むことができ、早く独り立ちできる。
(c) 業種・テーマ別組織・早期人材育成体制
同社は業種・テーマ別組織を基本としている。新卒採用を中心とした若いコンサルタントが多いなかで、特定の経営研究会、経営セミナー、月次支援を担当し、業種やテーマに特化することで早期にノウハウを吸収し自立することができる。コンサルタントが新卒入社からチームリーダーに昇格するまでの期間は以前7年1ヶ月(2013年)であったが、現在では4年2ヶ月(2018年)であり、早期に“一人前”のコンサルタントを育成する体制に磨きがかかっている。
(d) 現場に密着する「月次支援」が中心
業務別に見ると、「月次支援(コンサルティング)」が3分の2を占め、売上の中心である。「月次支援」は現場に出向き経営者に寄り添いながら、実践的な支援を行う。1年間の契約が多く、継続率も高い。「プロジェクト(コンサルティング)」は、調査、診断やこれらに基づく提案を一定期間でレポートする業務であり、カスタマイズ性が高い。M&A案件などもここに分類される。コンサルティング以外ではWebでの集客を支援する「リスティング」が大きく、伸び率も高い。「経営研究会会費」、「公開型セミナー」は新規顧客の開拓にも貢献しており、同社のビジネスモデルに不可欠な存在だ。「プロジェクト」を除くいずれの業務も2019年12月期第3四半期に成長している。
(3) 業種・テーマ別の動向
経営コンサルティング事業を業種別に見ると、主力2業種である「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」で前期比2ケタ増と順調に業績を伸ばしている。好調の業種にはコンサルタントの増員も図っていくことで、より活性化するという好循環が発生する。結果として同社は「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」「士業」など多くの国内コンサルティング市場でシェアNo.1クラスの地位にある。規模は小さいが成長性が高い業種としては、「人材サービス(前年同期比59.7%増)」「環境・エネルギー関連(同30.0%増)」などがある。逆風が吹く業種としては「フード(同15.1%減)」、「アミューズメント(同13.9%減)」が挙げられる。近年、業界自体が頭打ちとなっており、同社の業績も苦戦する。
支援テーマ別に見ると、従来からの「成長実行支援(業績向上)」が大きな割合を占める傾向は変わらないものの、「人材開発支援(人材採用・育成・評価・組織活性化)」と「価値向上支援(事業承継・M&A・財務支援等)」がその比率を伸ばしている。
2. ロジスティクス事業
ロジスティクス事業では、顧客企業の物流コスト削減等を目的としたコンサルティングサービスである「物流コンサルティング業務」、顧客企業の物流業務の運用等を実行するサービスである「物流オペレーション業務」、顧客企業の購買コスト削減等を共同購買で具現化するサービスである「物流トレーディング業務」の3業務を行っている。売上高の構成としては、約55%を占めるのが「物流オペレーション業務」であり、続く「物流コンサルティング業務」は利益率が高い点に特徴がある。過去4年間の平均成長率は、売上高で年14.7%増、営業利益で年66.2%増であり、安定した成長とともに、大幅に収益性を改善してきた。2019年12月期に入ってからも、物流コンサルティング業務で大型プロジェクトを受注したことで、順調に収益改善が進んでいる。
3. ダイレクトリクルーティング事業
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら積極的に求める人材を探し出して直接アプローチを行う採用活動のことである。従来のような求人掲載サイトや人材紹介会社などを利用して募集をかける「待ち」の採用手法と異なり、企業自らが人材データベースから求める人材を探し、直接連絡を取り採用する「攻め」の採用手法である。同社では大手求人検索エンジン「Indeed」などの認定パートナーとして、顧客企業の求人広告出稿や応募者管理など支援業務を行う。同社の差別化要素は、日本初の「AI採用クラウド」サービスである。蓄積されたビッグデータによる求人キーワード分析により、応募が集まる求人原稿にAIが添削。費用対効果の高い最適な媒体に自動出稿。AIにより24時間365日自動で応募者を一元管理できるため採用担当者の業務効率化が可能となる。国内企業の求人数増加に伴う転職マーケットの活況にも後押しされ、新規顧客数は右肩上がりに増加している。2019年12月期第3四半期の売上高は1,749百万円(前年同期比97.9%増)、セグメント損失は181百万円である。早期の売上拡大に向けて、販促費用やシステム開発費用を中心に先行投資を継続していく方針である。
4. その他事業
その他事業は、同社が「総合経営コンサルティンググループ」を目指すための周辺事業群が含まれる。具体的には、(株)船井総研ITソリューションズ(ITコンサルティング事業)、(株)プロシード(コンタクトセンターコンサルティング事業)、新和コンピュータサービス(システム開発事業)の3事業である。セグメント売上高は2019年12月期第3四半期で834百万円、前年同期比45.3%増となった。この要因としては、前年第3四半期から連結した新和コンピュータサービスの業績がフルで寄与したため。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<SF>
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