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―1-3月好スタートの業績上振れ候補をピックアップ―
12月期決算企業の中間決算発表が7月下旬から本格化してくる。決算発表シーズンに向けてマーケットの関心が高まるのが業績予想の修正だ。業績上方修正が期待される銘柄には、決算発表の接近につれて先回り買いの動きが出る傾向があり、シーズン前のこの時期に高進捗銘柄を見直しておきたいところだ。そこで今回は、20年12月期第1四半期(1-3月)の業績が好スタートを切り、通期計画に対する進捗率が高水準で業績上振れする可能性が高く、かつ株価上昇も期待できる中小型株を探った。
●逆風下で上方修正する銘柄は人気化必至
20年12月期の第1四半期にあたる1-3月期決算は、 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が幅広い業種に重くのしかかり、全体のおよそ6割が経常利益ベースで前年割れに沈んだ。また、直近で決算発表を終えたばかりの2-4月期決算では、7割近くの企業が減益または赤字となっており、新型コロナウイルスの影響が本格的に出てくるとみられる4-6月期は、更なる苦戦を強いられることが予想される。一方、こうした猛烈な逆風が吹き荒れる中で、業績予想の上方修正に踏み切る企業は一段の注目を集めそうだ。
以下では、12月期決算企業を対象に、(1)時価総額が50億円以上1000億円未満、(2)第1四半期(1-3月)経常利益の通期計画に対する進捗率が40%を超え、かつ同進捗率が過去5年平均を10ポイント超上回っている、(3)第1四半期の経常利益が前年同期比で20%以上増益、といった条件を満たす銘柄を、上方修正先回り候補として6社リストアップした。買い一巡後に利益確定売りに押されている銘柄もあるが、目先の押し目は拾い場としてマークしておきたい。
●SBSHDは物流、不動産両事業の業績が拡大
総合物流会社のSBSホールディングス <2384> は18年にリコーロジスティクスを買収したほか、先月には東芝ロジスティクスの連結子会社化を発表するなど、M&Aによる事業規模拡大に積極姿勢をみせている。直近3カ月の第1四半期(1-3月)は主力の物流事業でEC向けの即日配送ニーズなどを取り込んだうえ、物流不動産の流動化部門では長津田物流センターの信託受益権譲渡益が発生し、経常利益は50億6400万円(前年同期比35.8%増)に伸びて着地。通期計画に対する進捗率は46%に達しており、業績上振れ期待が高まっている。
●アイエスビーは旺盛なIT投資ニーズ捉え最高益
アイ・エス・ビー <9702> は企業の旺盛なIT投資関連ニーズを追い風に、情報サービス事業で車載・医療・デバイス関連の組み込みソフト開発案件や業務効率化システムの受注が増勢だったうえ、稼働率向上や事業見直し効果などで採算も改善し、第1四半期(1-3月)は売上高63億3500万円(前年同期比11.2%増)、経常利益6億2100万円(同26.7%増)といずれも四半期ベースの過去最高を達成した。経常利益は上期計画の6億400万円を既に超過し、業績上方修正が期待される。また、20年12月期の配当は設立50周年記念配当10円を含む50円(前期比12円増)を計画しており、株主還元の切り口でも注目したい。
●セレスは巣ごもり消費が追い風に
セレス <3696> の第1四半期(1-3月)業績は、売上高46億500万円(前年同期比13.4%増)、経常利益5億1100万円(同2.7倍)と業績高変化を遂げた。巣ごもり需要やポイントを貯める“ポイ活”の拡大を背景に、ポイントサイト「モッピー」を中心とするポイントメディアが2ケタ増収を達成したほか、成果報酬型のアフィリエイト広告が主力クライアントのD2Cやデジタルコンテンツ向けに好調だった。また、人材への先行投資が一巡した連結子会社ゆめみが黒字化したことに加え、関連会社ビットバンクの業績が改善したことも収益拡大の要因となった。第1四半期経常利益の通期計画(10億円)に対する進捗率は5割を超えており、業績上振れは有力とみられる。
●ビーグリーは「まんが王国」好調で中間期計画オーバー
コミック配信サービス「まんが王国」を運営するビーグリー <3981> は、強みとするオリジナル作品の品揃えを拡充する一方で、ゲーム分野への参入など業容拡大を進めている。第1四半期(1-3月)は電子書籍市場の拡大が続くなか、「まんが王国」で累計93作品となるオリジナルコンテンツや独占先行配信作品を含んだオリジナルレーベルを配信し、課金収入が伸びた。経常利益は4億100万円(前年同期比2.5倍)に膨らみ、上期計画の3億7100万円を上回る好調ぶりを示している。指標面では予想PER18倍台と同業他社に比べ割高感はなく、業績見直しによる株価上昇が期待できそうだ。
●コスモバイオは前期上方修正の実績に注目
コスモ・バイオ <3386> [JQ]の第1四半期(1-3月)業績は、売上高24億2000万円(前年同期比12.7%増)、経常利益3億5500万円(同56.4%増)と2ケタ増収増益を達成した。主力とするライフサイエンス領域の研究用試薬が大きく伸びたほか、機器の販売も増加した。また、研究開発投資などを積極的に行う一方、販管費を抑制したことも利益を押し上げた。第1四半期経常利益は上期計画2億9000万円を大幅に超過し、通期計画に対しても進捗率72%と高水準で、業績上振れする確度は高いとみられる。昨年も第1四半期実績が上期計画を上回り、中間決算発表前に増額修正した経緯があることも要注目だ。
●A&Tの第1四半期経常利益は4倍化
エイアンドティー <6722> [JQ]はトクヤマ <4043> の子会社で病院の血液検査が行われる臨床検査室向けの機器システムや試薬の開発・販売を手掛ける。第1四半期(1-3月)業績は売上高31億9400万円(前年同期比32.5%増)、経常利益5億2200万円(同4.1倍)に急拡大して着地。臨床検査情報システムの新規・更新需要が旺盛だったほか、検体検査自動化システムの販売も好調だった。また、自社製品販売比率が上昇したことに加え、販売費の計上が後ずれしたことも収益拡大につながった。経常利益段階で上期計画4億7000万円を超過しており、業績上振れは濃厚とみられる。
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