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システム ディ Research Memo(6):公会計ソリューションを除くすべての事業部門で増収を達成(1)

配信元:フィスコ
投稿:2024/02/20 16:26
*16:26JST システム ディ Research Memo(6):公会計ソリューションを除くすべての事業部門で増収を達成(1) ■業績動向

2. 事業部門別の動向
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業では、学園運営をトータルに支援する学園情報統合管理システム「キャンパスプラン」を提供している。学校運営を支える情報システムは、学務系(対学生・生徒業務)と法人系(学校法人の内部管理業務)の大きく2系統に分けられるが、「キャンパスプラン」はこれらの業務をトータルで支援するソフトウェアとなっていることが特長であり、強みである。対象は国公立大学と私立学校法人(大学・短期大学・高校・専門学校等)向けで、システム ディ<3804>の製品は全国の国公私立大学(短大含む)1,113校のうち約350校に導入され、業界トップクラスのシェアを確立している※。大学以外にも私立の専門学校や高校で導入が進んでおり、2023年10月末の累計導入学園数は前期末比10校増の1,027校となった(現役ユーザー数は531校)。

※ 競合は日本システム技術<4323>で、導入実績は2023年9月末で444校。2023年3月期売上高で3,615百万円。


2023年10月期の売上高は前期比18.7%増の1,468百万円と3期ぶりに増収に転じた。2021年10月期以降、コロナ禍の影響で商談が長期化したため売上の低迷が続いていたが、2023年10月期は慶應義塾大学や高知大学、北陸先端科学技術大学院大学、大阪産業大学等の大型案件の受注・導入が進んだことにより増収となり、営業利益も2ケタ増益となった。

また、2022年10月期に全機能の開発・リリースを完了したクラウド型の次世代学園総合情報システム「CampusPlan Smart」についても、展示会への出展など営業活動を本格的に開始したことで、新規導入を検討する学校からの引き合いが増加しており、2024年10月期以降の導入拡大が期待できる状況となっている。今後も製品のブラッシュアップを図りながら新規顧客の開拓、並びに既存顧客の「キャンパスプラン」からのリプレイスを進める方針だ。

(2) ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業では、フィットネスクラブ・スポーツ施設向け会員管理システム「Hello EX」、アミューズメント施設向け運営管理システム「Hello Fun」に加えて、2020年11月にリリースした次世代クラウド型会員管理システム「Smart Hello」、2022年11月にリリースした次世代クラウド型チケット管理システム「Smart Helloチケット」等を展開している。同事業については、情報機器や入退場ゲート等のハードウェア製品を含めて販売するケースがあるため、売上総利益率は他の事業と比較して相対的に低い。

2023年10月末の累計顧客数は前期末比153施設増の1,477施設となった(現役ユーザー数は795施設)。会員管理システムの競合大手としては(株)hacomono(導入実績約5,000施設)や(株)ネスティ(同1,000施設以上)などが挙げられ、アミューズメント施設向け運営管理システムでは(株)グッドフェローズ(同350施設以上)が挙げられる。

2023年10月期の売上高は前期比29.2%増の833百万円と6期ぶりの増収に転じた。増収要因の大半は主力ユーザーであるカーブス向けの情報端末の更新による仕入販売の増加によるものとなっており、利益ベースでは若干の増益にとどまった。ただ、コロナ禍の収束によりウェルネス業界やアミューズメント業界の投資マインドが回復傾向となるなか、小規模事業者向けをターゲットに提供している「Smart Hello」については、24時間ジムやゴルフスクール等を中心に引き合いが好調で180施設への導入が新たに進み(前期末の累計導入施設数は約100施設)、ストック売上の積み上げに貢献した。「Smart Hello」は、月額1~3万円と低廉な料金で運営に必要な機能が揃っていることが評価されているようで、Webプロモーションなどを活用しながら顧客数を拡大している。

一方、新サービスの「Smart Helloチケット」は初期導入費用(ハードウェア費用除く)が無料で、Webチケット販売やモバイル着券機能を備えているため施設の省人化・無人化が実現可能なこと、クラウドサービスでの提供により、常に最新の機能が利用できることなどが特長となっている。料金プランは機能により3プラン(月額3万円、6万円、10万円)※を用意しており、小規模から大規模施設まで幅広いアミューズメント施設への導入を見込んでいる。2023年10月期は公共博物館施設をはじめ複数の施設向けに導入した。今後インバウンドの回復が見込まれるなか、初期コストを抑えての導入がクラウドサービスによって可能となり、従来チケット管理システムの導入を見送っていたようなアミューズメント施設にも展開する。

※ スモールプラン(月額3万円)は窓口発券、Webチケット販売、プレイガイド連携(2024年4月リリース予定)、モバイル着券、決済端末連携機能が利用可。ライトプラン(月額6万円)は追加機能として、自動釣銭機連携、セルフ発券、年間パスポート、団体予約機能を付加。スタンダードプラン(月額10万円)はさらに、団体予約Web申込、スマートフォンアプリ、ゲート連携(2024年4月リリース予定)、券売機連携(同)機能を付加。各プランとも電話サポートあり(月額1万円)。別途、オンプレミス・カスタマイズ対応可。


(3) 公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業は公立の小・中・高校向けに統合型校務支援システム「School Engine」※をクラウドサービスで提供している。同じ学校向けでも、私立学校法人や独立行政法人である国公立大学を対象とする学園ソリューション事業とは事業環境が大きく異なる。違いの1つは自治体予算制度というものだ。公立学校は各自治体の教育委員会の管理下にあり、エリア内で共通予算で運営されている。このため、1校当たりの予算は私立学校と比較すると小さく、こうした状況に適合するため、同社は「School Engine」を初期投資負担の少ないクラウドサービスで提供することでシェアを拡大してきた。

※ 統合型校務支援システムとは、教務系(成績処理、出欠管理、時数管理等)・保健系(健康診断票、保健室来室管理等)、学籍系(指導要録等)、学校事務系などを統合した機能を有するシステムのこと。同社の「School Engine」はこれらの機能のほかに生徒や保護者とのメール連絡網、グループウェア機能などがオプションで用意されている。


営業先も学園ソリューション事業とは異なり、高校は各都道府県、小・中学校は各市町村の教育委員会が窓口となる。案件を落札できれば当該教育委員会の管轄下にある学校すべてに導入されるケースが多い※。入札公示時期は自治体によって異なるが、7~8月公示の場合は9~10月に落札事業者が決まり、翌年4月までに導入して運用開始となる。

※ 高校については、自治体によって市立、県・府立、特別支援学校など導入対象を細分化して決めているところもある。例えば、同社が導入実績のある京都府では市立高校のみ、滋賀県では特別支援学校のみの導入となっている。


2023年10月期末の累計導入校数は前期末比32校増加の3,997校(現役ユーザー数は3,573校)。このうち、公立高校の導入校数は1,700校を超え市場シェアで約5割※1とトップの地位を盤石なものとしている。公立高校で高シェアを確立した背景としては、約10年前に業界で初めてクラウド型校務支援システムの開発・提供を行ったことが大きい。ほかの自治体は導入実績を見て製品の採用可否を判断する傾向にあり、同社製品の利便性の良さやコストパフォーマンスが評価され採用が広がったものと考えられる。一方、小・中学校向けに関しては後発だったこともあり、市場シェアは約6%と業界3~4番手となる※2。

※1 文部科学省「学校基本調査」(令和5年度)によると、全国の公立高校数は3,455校、小・中学校数は27,764校。競合はSATT(株)、(株)エフワン、テクノコーポレーション(株)等。
※2 小・中学校向けは(株)EDUCOMが約36%とトップシェアを握り(約1万校、2023年12月)、スズキ教育ソフト(株)が約23%と2番手に続く。そのほか文溪堂<9471>、(株)両備システムズなどがある。


2023年10月期の売上高は前期比13.7%増の1,390百万円と過去最高を連続更新した。新規導入校数は少なかったが、前期に稼働を開始した大型案件(北海道、新潟、愛知、富山)のストック売上がフル寄与したことにより2ケタ増収となり、利益面でも増収効果により2ケタ増益となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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