内外トランスラインのニュース
内外トランスライン、2023年は運賃下落等により減収減益も、2024年はフォワーディング取引拡大等により増収増益を計画
連結実績
小嶋佳宏氏(以下、小嶋):これより2023年12月期の決算説明会を開催させていただきます。代表取締役社長の小嶋です。本日はたくさんの投資家の方々にご参加いただき、ありがとうございます。
まず、2023年12月期の決算概要についてご説明します。2023年の連結売上高は322億8,000万円、営業利益は42億300万円、経常利益は44億4,600万円、親会社株主帰属当期純利益は30億4,100万円でした。
対前年の増減率は、売上高は31.8パーセント減、営業利益は37.1パーセント減、経常利益は35.3パーセント減、親会社株主帰属当期純利益は34.6パーセント減と、減収減益となりました。
また、昨年9月29日に業績見通しの下方修正を行っています。そのため、今回の実績と修正予想との乖離率は、いずれも約1パーセントで着地しました。
セグメント別売上高・営業利益
セグメント別の売上高と営業利益です。当社は、親会社と2つの子会社からなる日本セグメントと、海外現地法人11社からなる海外セグメントに分けています。
売上高については、日本セグメントは前期比36.9パーセント減の223億8,100万円、海外セグメントは前期比16.4パーセント減の98億9,800万円となりました。営業利益については、日本セグメントは前期比37.5パーセント減の29億4,600万円、海外セグメントは前期比36.1パーセント減の12億5,900万円となりました。
当社グループ売上高の割合
スライドの図は、2022年と2023年の当社グループ売上高の割合を、単体、国内子会社と、海外子会社は5つの地域に分けて示しています。個々の数値は記載していませんが、2023年の全体の売上高は2022年の473億円から31.8パーセント減の322億円となり、特に単体の売上高が減少しました。
グループ業績ハイライト
2023年12月期のグループ業績ハイライトです。単体は、運賃の下落や取扱数量の減少が響き、減収減益となりました。こちらについては後ほど詳しくご説明します。
国内子会社については、航空貨物を取扱うユーシーアイエアフレイトジャパンにおいて、主力となる航空輸送における運賃の下落が要因となり、減収減益となりました。
フライングフィッシュにおいても、運賃の下落の影響により減収となりましたが、利益の確保に努めた結果、売上総利益は前期比で増益となっています。しかし、新システムの投資等により販管費が膨らみ、営業利益は前期比で減益となりました。
海外子会社については、運賃の下落及び日本からの混載貨物減少の影響を受け、減収減益となりました。
北米航路月別海上運賃の推移(横浜/20ft)
運賃の動向です。スライドのグラフは、北米航路の20フィートコンテナ運賃の推移を示しています。
2020年8月頃から運賃の上昇が始まり、2022年4月をピークに下落し始め、2023年7月にはピーク時の7分の1程度まで下落しました。その後は一進一退の状態が続いています。
今後の変動要因としては、中米におけるパナマ運河の水位低下による運航制限、エジプトにあるスエズ運河付近での紛争による航路の迂回が挙げられます。そのため、長距離航路への変更によって運賃が上昇する可能性があります。
単体混載売上数量・単価推移
グループの売上減少に最も影響のあった混載についてご説明します。スライドのグラフはそれぞれ、当社単体の2023年12月期の混載数量と売上単価の推移です。2019年を100としています。
まず、左上の輸出混載数量についてです。コロナ禍の2021年以降、世界的なコンテナ不足により、フルコンテナ貨物に仕立てることのできなかった貨物が混載に流れていました。2022年秋頃からコンテナ不足が緩和したため、再びフルコンテナ貨物として輸送することができるようになり、混載貨物の数量は前期比で約19パーセント減となりました。
左下の輸出混載売上単価については、2022年は運賃が大幅に上昇しましたが、2023年は前期比で約34パーセント下落しています。
また、右上の輸入混載数量は前期比で約11パーセント減少しましたが、右下の輸入混載売上単価は約9パーセント上昇しました。これは、輸入の場合は海上運賃が現地で支払われるケースが大半となるため海上運賃が下落した影響が限定的であることと、2022年後半のCFSチャージの値上げ等によるものです。
単体混載売上高推移
単体の混載の売上高です。輸出混載は数量と単価が前期比で減少した結果、売上高は前期比で約46パーセント減少しました。輸入混載は輸出ほどではありませんが、前期比約3パーセントの売上減少となっています。
連結貸借対照表の概要(前期末比)
スライドには、連結の貸借対照表の概要を記載しています。当社グループの自己資本は総資産の8割強を占めます。これまでに蓄積してきた利益のほとんどが現預金で、強固な財務基盤となっています。
連結キャッシュフロー計算書の概要
連結キャッシュフロー計算書の概要です。現金及び現金同等物が前期末より約4億800万円減少し、12月末時点の現金残高は138億8,500万円となりました。
現金及び現金同等物の変動要因としては、営業キャッシュフローが26億4,400万円のプラスとなっています。
一方、投資キャッシュフローは24億6,000万円のマイナスとなりました。このうち18億円が昨年5月の韓国における物流倉庫の取得代金の支払いによるものです。この物流倉庫の投資が主な要因となり、現金及び現金同等物が減少しています。
当社の投資の推移
当社の投資の推移です。スライドの棒グラフは、上場以降の単体の貸借対照表上の「投資その他資産」、折れ線グラフは連結当期純利益から単体の当期純利益を差し引いた金額を子会社利益として表しています。
「投資その他資産」を見ると、関係会社株式と関係会社貸付金で、当社がこれまでにどの程度投資してきたかがわかると思います。具体的には、これまでに国内子会社2社とミャンマーを含む海外子会社12社を買収・設立しました。加えて、韓国での倉庫ビジネスを拡大するために26億円を韓国子会社に出資したため、2023年の棒グラフが大きく伸びています。
折れ線グラフは基本的には子会社利益と考えることができます。直近の2023年は2022年より少し下がっていますが、長期的には右肩上がりで、当社がこれまでに行ってきた投資は順調に実を結んでいると思っています。今後も積極的に投資を行っていく所存です。
第5次中期経営計画(2023年〜2027年)
2023年からスタートした中期経営計画の現在の進捗状況をご説明します。まず、昨年2月に発表した2023年12月期から2027年12月期までの5年間の第5次中期経営計画についてです。
当社グループがめざす姿として、「国際物流における最高のソリューションプロバイダーでありたい!」という目標を掲げています。この目標を達成するために、今回の中期経営計画の基本方針として、本業の混載で国内シェアトップの維持拡大を図りつつ、第2の本業としてフォワーディングを徹底的に拡大し、真の国際総合フレイトフォワーダーをめざします。
そして、2027年12月期のグループ売上高700億円、当期純利益50億円を目標に掲げました。なお、この中期経営計画での当期純利益とは、親会社株主に帰属する当期純利益を指します。
中期経営計画 施策と進捗状況①
中期経営計画の各施策の進捗状況についてご説明します。国内の施策として、混載事業ではこれまでに培ったノウハウやネットワークを活かして業界地位を堅持し、安定的な収益確保を実現することをめざしています。
そのために、2023年4月に大阪本社と東京本社の「二本社制」としました。これは、首都圏におけるより一層の営業推進や、情報収集の機能強化、さらなる事業成長のための優秀な人材を獲得することなどが目的です。また、「東京本社営業部」を再編して営業体制を強化するとともに、「品質管理担当」を配置し、海上混載サービスの商品全体の品質を高めています。
フォワーディング事業ではグループ間の最適な組織編成により売上と利益の増加をめざします。そのために、インドネシア現地法人の経営トップに、フォワーディングを強みとする国内グループ会社であるフライングフィッシュから人材を起用しました。
また、「ロジスティックソリューションチーム」を神戸から大阪本社に移管し、体制を強化しています。さらに、事業拡大を図るべく、専門要員を単体と国内子会社であわせて9名採用しました。
中期経営計画 施策と進捗状況②
海外の施策として、代理店ではさらなる関係強化を図るとともに、再編を視野に入れた効率的な運用を行っています。バングラデシュで新たな代理店との契約を行うなど、代理店の拡大等新サービスの拡充に取組んでいるところです。
また、新規拠点設立として、今後の成長が期待できるエリアでの現地法人や駐在員事務所の設立を検討しています。昨年9月にはインドネシアの現地法人にてスラバヤ支店を開設しました。これによってお客さまの利便性が向上し、付加価値の高いサービスを提供できる体制となっています。
さらに、既存拠点の業務拡大として、現地スタッフによる地場企業向けの輸出営業のインフラを構築しています。日本以外への輸出の獲得をめざすため、先ほどご説明したとおり、昨年5月に韓国の連結子会社において物流倉庫を取得しました。
中期経営計画 投資戦略と進捗状況
ここまでご説明してきた施策を達成するための5つの投資戦略についてです。
1つ目として、M&A、資本提携、業務提携により、既存事業の規模拡大やシナジー効果を生み出します。そのために、M&Aの案件の発掘からクロージングまで分業できる体制を構築しました。この体制のもと、現在検討中の案件を含め、成約に向け取組んでいます。
2つ目の人材・教育については、国内外ともに新規事業や営業スタッフ拡充に向け、人材投資や社員能力向上のための教育研修投資を行います。これらの人事制度改革はコンサルティング会社に業務を委託しています。また、マネジメント支援や生産性向上のため、組織効果性サーベイやエンゲージメントサーベイも実施しています。
3つ目のDXについては、営業支援、業務効率化、顧客サービスの充実を図るため、RPAツールを取入れ、業務の効率化を進め、一層のDX推進を行います。また、子会社であるフライングフィッシュでは、物流可視化のプラットフォームを導入しました。
4つ目のアセット事業については、海外を中心に倉庫などのアセットを取得し、事業領域の拡大を図ります。具体的には、繰り返しになりますが、韓国にて物流倉庫を取得しました。
5つ目のESG・SDGsについては、CGコードに則って対応し、特に環境分野においては温室効果ガスの削減対策を講じます。サステナビリティ経営のコンサルタントと契約を結び、CDPの気候変動スコアリングの格付けを取得しました。また、社内にサステナビリティ委員会を立ち上げ、環境問題など当社として取組むべき課題を挙げ、その解決に向け動いています。
連結売上高・営業利益業績予想
今期の業績予想についてご説明します。スライドのグラフは、今期の連結売上高と営業利益の業績予想です。ご覧のとおり、売上高は340億円、営業利益は46億円と増収増益を見込んでいます。
業績予想の背景には、外部環境として、ウクライナや中東の紛争により世界情勢が不安定となり、インフレによる物価の高止まりが影響することを織り込んでいます。また、景気の先行き不透明等により、不確実な状況が続くと予測しています。
しかし、先ほどご説明したとおり、昨年から取組んでいる組織編成による効率的な営業体制の成果が徐々に現れていることに加え、2023年後半からユーシーアイエアフレイトジャパン及びフライングフィッシュの貨物の取扱いが増加傾向にあります。そのため、2024年度はさらにフォワーディングの取引が拡大し、当社グループの業績に寄与するものと思われます。
海外においては、韓国での倉庫事業を含むグループ間の連携をさらに深め、活性化させることにより、当社グループの業績は2024年下半期以降、再び成長へ向かうことができると見込んでいます。
SDGsへの取組み
SDGsへの取組みについてです。スライド左上に記載のとおり、「当社は経営理念のもと SDGsと行動規範を関連付け グループ経営を推進」していきます。
配当金の実績と予想
配当金の実績と予想です。2024年度は2023年同様、中間で40円、期末で45円、合わせて85円の配当を予定しています。当社は株主のみなさまに安定した配当を実施することを剰余金処分の基本方針としており、今後も当社の業績推移や投資案件、市場の情勢などの指標に目を配りながら、バランスのとれた運営を行っていきたいと考えています。
当社株価の推移
スライドのグラフは、当社株価と日経平均の推移です。当社の株価は浮き沈みがあるものの、長期で見れば、概ね堅調に推移しています。
私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
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