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【QAあり】INFORICH、モバイルバッテリーシェアリングサービス「ChargeSPOT」を展開 災害時のバッテリー不足問題にも貢献

投稿:2024/04/16 15:00

目次

秋山広宣氏(以下、秋山):本日はお時間をいただきありがとうございます。株式会社INFORICH代表取締役社長兼執行役員CEOの秋山です。本日は取締役兼執行役員CFOの橋本と2名で進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

本日はスライドに記載のとおり、会社・サービスの紹介と中期経営計画、決算説明資料のサマリーについてお話しします。今、我々はサイレントピリオドに入っており、直近のご質問に関しては回答を控えざるを得ない内容もあることをご理解ください。

会社・サービス紹介: 会社概要

秋山:会社概要です。INFORICHは2015年に立ち上がり、2022年12月に東京証券取引所グロース市場に上場しました。国内の従業員数は約130名、香港と広州を合わせた連結では約240名です。

Mission Statement

秋山:INFORICHは、「INFORMATION」と「RICH」を組み合わせた造語です。Mission Statement は「Bridging Beyond Borders」で、日本語では「垣根を越えて、世界をつなぐ。」ことを目的としています。人、モノ、コトの可能性を見い出し、それらをブリッジしていくということです。

日本にはさまざまな匠技や技術、サービス、IP、コンテンツがあります。私は父が香港出身で、20年間を香港で、20年間を日本で過ごしています。その中で、「日本にあって海外にないもの、海外にあって日本にないもの」を見てきました。その1点目として今、INFORICHでは「ChargeSPOT」に取り組んでいます。

会社・サービス紹介: 事業概要

秋山:続いてサービスについてご説明します。「ChargeSPOT」は、我々がモバイルバッテリーシェアリングサービスとして展開しているサービスです。こちらは「どこでも借りられて、どこでも返せる」というキャッチフレーズで展開してきました。

2018年4月にサービスを開始して、今、国内では47都道府県、そのほか香港、中国本土、台湾、タイ、シンガポール、マカオでもご利用いただけます。日本で借りて香港で返す、香港で借りて台湾で返すといったことも可能です。

会社・サービス紹介 : 設置実績 1/2

秋山:設置場所についてです。設置台数は現在4万2,400台で、コンビニのセブンイレブンやファミリーマート、ローソンなどに設置しています。ほかにもさまざまな場所に順次拡大しているところです。

鉄道駅構内では東京メトロをはじめとする各駅、その他にも空港や球場、コンベンション施設にも設置しています。

会社・サービス紹介 : 設置実績 2/2

秋山:夕方からバッテリーがなくなるケースが多いため、カラオケなども非常に利用率が高くなっています。ようやくコロナ禍が明け、居酒屋等にも設置を拡大しています。インバウンドにおいてはホテルでの需要が非常に高まっているところです。

そのほか、各自治体などと防災協定の連携を行い、展開しています。

会社・サービス紹介: 災害時無料貸出サービス

秋山:ただいま各地域との防災協定を締結しているとお話ししましたが、今年はじめにあった地震でも、微力ながら活躍できたのではないかと思っています。当社では、地震が一定の震度を超えた際には、該当エリア内において48時間無料でお貸し出しをするようにしています。

もう1つ便利な点として、大きな災害があった場合に「今日は物資を運ぶのはやめてほしい」「明日は大丈夫」「物資が今足りていない」というような議論になりがちです。しかし我々の「ChargeSPOT」はすでにその場にあるため、震災があったエリアですぐにお使いいただけます。使い終わったらそれを戻して、また次の方に使っていただくという具合です。

実際に、初期の頃に被災地にバッテリースタンドを持っていったことがあったのですが、みなさまたこ足でコンセントを使用しており、連絡を取りたくても、なかなかその場から離れられないという状況が見受けられました。そのような意味でも、「ChargeSPOT」は持ってチャージしながらその場を離れることができるため、便利にご利用いただいていると思っています。

会社・サービス紹介: 国内マーケットシェア

秋山:現在のマーケットシェアです。国内モバイルバッテリーシェアリングサービスとしては、台数ベースで83パーセントの市場シェアとなっています。ユーザーベースでは9割近くを占めています。

会社・サービス紹介: 設置プロトコル

秋山:我々が設置台数を順調に伸ばしている背景として、スライドに記載の設置プロトコルによる展開があります。コロナ禍でもデータを細かく分析できたことから、重点エリアや人流の多い駅周辺、土日祝日に営業しているエリアなど具体的な審査基準を作りました。

これをもとに現在、約90パーセントのバッテリースタンドが動いている状況です。また稼働の少ない台は随時、再設置しています。

会社・サービス紹介: シェアリングビジネスのフライホイール効果

秋山:「ChargeSPOT」は2018年からスタートしました。我々のサービスの本質は、返せる安心感がなければ誰も借りないということです。そのため、当初はユニットエコノミクスを度外視して、まず47都道府県への設置を進めました。そこでみなさまにある程度認知していただき、利用が拡大しました。我々は約5年で、それまで日本市場になかったものを習慣化できたことを、強みの1つとして自負しています。

そして、今まさにシナジー波及期に入ろうとしています。バッテリー自体がしっかりリクープして利益を出している上で、プライムロケーションを活かして「次に何をするか?」という段階に入っています。

中期経営計画: グローバル展開実績

秋山:グローバル展開です。スライドの濃い青の部分が直営展開している国で、香港と中国本土のほかに、オーストラリアが新しく加わりました。オーストラリアについては先月、「Ezycharge」という会社がグループインし、これから進めていくところです。

薄い青の部分はフランチャイズ展開している国で、台湾、タイ、シンガポールに加え、今年は新たにベトナム、マカオ、そしてフランスでの展開を予定しています。

FY2023 4Q 業績ハイライト:【連結】台あたりエコノミクスの推移

橋本祐樹氏(以下、橋本):スライドはバッテリースタンド1台あたりのP/Lです。バッテリー1個ではなく、バッテリーが挿さっているスタンド1台あたりのエコノミクスを表示しています。直接コスト、全社共通費といったコストをしっかり抑えたままで1台あたりの売上が順調に伸び、どんどん利益が良くなっている状況です。

FY2023 4Q 業績ハイライト:【連結】台あたりエコノミクスの内訳推移

橋本:スライドの表の項目はかなり細かいためご説明は割愛しますが、ユーザーが増えていくことにより1台あたりの稼働率が上がっています。1台あたりのコストはそれほど変動していないため、どんどん利益率が良くなっているという状況です。

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):稼働率についてうかがいます。特定のスポット、例えばカフェなど、もともと高い稼働があるところがさらに上がっているというような特徴はありますか?

橋本:基本的に人が多いところで稼働率が高いというデモグラフィックはあります。スポットとしては全体的に伸びてきており、結果として全体の売上も伸びています。

Ken:スマホの消費電力について、今後どのような要因で消費電力が増加すると考えられていますか?

秋山:バッテリーの進化とスマホの消費電力は、実はどんどん乖離してきている状況です。今は5Gですが、新たに6Gや、直近ではAI搭載のスマホや、いろいろなメタバース系の位置情報を使うゲームもあります。

このようなものに関しては消費電力が非常に大きくなり、バッテリーの進化との乖離に拍車をかけていると思っています。したがって、我々の活躍はまだ続くと考えています。

中期経営計画:VISION 2030

秋山:中期経営計画についてです。昨年「VISION 2030」と題して7年先の構想を発表しました。中計の発表から1年経っていないことから、目標とする数字は変わっていません。

ターゲットとして連結EBITDA150億円を掲げ、国内で100億円、海外で30億円、そしてプラットフォームビジネスで20億円としています。

中期経営計画: FY2026売上/EBITDA計画

秋山:スライドは2026年の数字です。連結の売上高は190億円、EBITDAは60億円を目指しています。

スライド右側にあるセグメントごとの見通しについてご説明します。2026年の売上は143億円を目指しています。海外については39億円で、そのうちの26億円が、現在展開している香港、中国、台湾、タイなどの既存エリアになります。

一方、新しくスタートしたシンガポール、ベトナム、オーストラリアなどで13億円と考えています。

デジタルサイネージを活用した広告などのプラットフォームでは、8億円の売上を計画しています。

FY2024 通期業績予想:通期業績予想

橋本:中期経営計画の2024年の数字に関してです。スライド左側の表に記載のとおり、売上高が約100億円、YoYで30パーセントの増加、EBITDAが約25.7億円で、YoYで83パーセントの増加と予想しています。

営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、それぞれ約16億円、約15億円、約15億円ということで、およそ2.5倍近い増加を目指しています。

FY2024 通期業績予想:業績予想の前提

橋本:業績予想の細かい前提についてご説明します。スライドに記載のとおり、国内の設置台数について、今年は2023年度と同程度の増加ペースで、およそ5,000台を見込んでいます。レンタル回数については、2024年度末時点で209万回レンタルされる想定です。アクティブユーザーについては24万人増加して月108万人に使っていただくという状態を見込んでいます。

海外も同様に伸長していき、レンタル回数で69万回、ユーザー数で42万人を見込んでいます。

先ほど秋山の説明にもありましたが、海外のフランチャイズ向けの販売については、四半期に直すとかなり変動するものの、年度では売上がYoYで1.3億円程度の増加を見込んでいます。

中期経営計画:ChargeSPOT国内ポテンシャル

秋山:スマートフォンの利用者で、外出時間中に充電を必要としている、かつ「ChargeSPOT」の利用傾向がある人の数を「ユーザー数」と呼んでいます。そのユーザー数の2024年度の見込みは488万人ですが、市場ポテンシャルについては2,587万人と考えています。

中期経営計画:プラットフォームサービスへの進化

秋山:スライドは、2024年3月に更新した今後の成長戦略をイメージしたものです。スライド左下にある矢印は、我々の設置パートナーさま、または地域パートナーさまを示しています。そして、右下の矢印はユーザーさまを示しています。

ブロックが積み重なっている部分は、スライド右上に4つの記載があるとおり、当社主力のビジネス「ChargeSPOT」の可能性を示しています。

1つ目がマーケティングソリューション、2つ目が「ShareSPOT」、3つ目がゲーミフィケーション、4つ目がクロスボーダーです。

我々は「ChargeSPOT」とは別の「ShareSPOT」というアプリを持っています。そのアプリには、ドコモ・バイクシェア、アイカサ、そして新たにEVカーの充電のスタンドを提供しているプラゴに加わっていただいています。これは「ChargeSPOT」を置いたネットワークをプラットフォームにして、他のサービスも提供することにより、そこでまた利益化していくアプリになります。

ゲーミフィケーションに関しては、過去に「Pokémon GO」と連携していました。具体的には、「Pokémon GO」の中に「ChargeSPOT」のデジタルクーポンがあり、それを手に入れることによって、バッテリーがなくなったら無料で借りられるというものです。

当社には、このようなオンラインtoオフラインのゲームのロジスティックができ上がっています。現在は他のゲーム会社とも、そのようなオンラインとオフラインで遊べるようなゲーム展開を進めているところです。

中期経営計画:プラットフォームサービスのグローバル展開

秋山:クロスボーダーにおいては、先ほど冒頭にもお話しした、我々の「日本にまだないものを。そして日本にあって、海外にまだないものを」という考えを、我々のネットワークを通じて展開していきたいと考えています。

前スライドの4つのキーワードを軸に、INFORICHの「ChargeSPOT」のネットワークを生かして、今後展開していく予定です。

決算説明資料サマリー:KPI・取り組みハイライト

橋本:当社は12月期決算で、スライドは2023年度の振り返りを記載しています。一番大きかった出来事は、黒字化したことです。「いつまで赤字なのか?」と、よく個人投資家さまからもお声をいただいていましたが、第2四半期で黒字化をして以来、順調に黒字が伸びている状況です。

スライド左側の数字からもわかるとおり、大きく伸長した1年だったと思っています。右側の定性的な取り組みのハイライトに関しては、説明済みのため割愛します。

FY2024 通期業績予想:FY2024の事業方針

秋山:2024年度は「ACT GLOBAL」というスローガンを掲げて、現在展開しています。スライド右側に事業方針の詳細についての記載がありますが、「ShareSPOT」の拡大やBPRはすでに社内で展開しています。

自動販売機モデルなどは、すでに羽田空港の駅などに数台設置しています。実証実験をしながら、拡大に向けて新たなアイデアを募り、日本だけでなく海外でも展開しているという状況です。

FY2024 業績予想:資本政策等

橋本:資本政策についてです。昨年もご質問いただきましたが、あらためて方針として出しました。2023年は黒字化した1年になりましたが、まだ収益増加余地があるものと思っています。したがって、基本的には資本を既存事業の拡大、もしくは新規エリアの開拓の投資に振り分けていきたいと思っています。

先ほど「ACT GLOBAL」とありましたが、3月に発表したオーストラリアの新規展開のようなかたちで、しっかりとエリアを開拓していくための投資配分にしていくことと、国内においても自動販売機モデルなどのさらなる設置拡大といったところに投資を優先していきたいと考えています。

いくつかの投資領域へ投資をした結果、まだお金が余るという時には、資本還元についても十分に検討していきたいと思っています。

質疑応答:市場規模の展望について

質問者:御社のビジネスはニッチ市場であると思います。そのニッチ市場の市場規模に不安を感じています。御社はユーザー数がすでに100万人で、今年の見込みは約500万人であるというご説明でした。

日本のサラリーマン世帯は500万世帯といわれています。したがって、もうそろそろピークなのではないかと思っているのですが、そのあたりについて教えてください。

秋山:ニッチ市場であるとは思っていません。年齢層としては15歳から40歳の方々がメインであり、したがってまだ届いていない層もあると思います。

我々も上場前から、特に使われたことがない方からは、「本当にこんなの使うの?」というご質問をよくいただきました。実際に毎月獲得している人数は、1台につきおよそ5名から6名であり、新規ユーザーは増えています。

したがって、先ほど国内の設置台数が4万2,000台と申し上げましたが、毎月およそ21万人が新規ユーザーで入ってきているという状況です。スライドに記載のとおり、まだまだ伸びると考えています。

質疑応答:市場の飽和とモバイルバッテリーとの競合について

質問者:御社の一番のライバルはモバイルバッテリーであると思います。私もモバイルバッテリーを使うのですが、おそらく使う人は使う、使わない人は使わないと思います。

また繰り返しますが、一番心配しているのは、やはり市場規模です。市場規模の飽和を感じているため、例えば、別のビジネスモデルやより新しいモデルにする必要があると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか?

橋本:こちらのスライドは2023年3月に電通と行ったサーベイになります。Q1の「ChargeSPOTを利用したいですか?」という問いに対して66パーセントが「はい」と回答しています。

Q2の「マイバッテリーを所有していながらChargeSPOTを利用したいと考える理由はなんですか?」という問いに対しては、女性のみなさまはバックがどんどん小さくなっている傾向があるため、「物を持っていくのが面倒くさい」といった回答が40パーセントを占めています。

また、マイバッテリーや充電器をお持ちの方にうかがったところ、Q3の「マイバッテリーを持ち歩きますか?」という問いに対して、7割の方は「はい」という回答になっています。しかし「満タンに充電したバッテリーを持っていますか?」という問いに対しては、実は5人中4人の方は手が下がります。「持っているが家にある」「充電されていない」といったケースも多くあります。

Q4の「マイバッテリーを購入した際にChargeSPOTをご存知でしたか?」という問いに対しては、我々がこのビジネスを始めてからまだ4年から5年ということもあり「知りませんでした」という回答が85パーセントになっています。

実は、マイバッテリーをお持ちの方は我々の市場だと考えています。モバイルバッテリーの買い替えサイクルはおよそ2年から3年です。それは、リチウムの特性上どうしても劣化してしまうためです。その買い替えのタイミングで「『ChargeSPOT』を知っているのであれば、使いますか?」と聞くと約70パーセントの方が「使います」と回答されます。

その理由として、Q2に戻りますが「持ち歩くのが面倒くさい」などが挙げられます。統計として参考までにご覧ください。

質疑応答:技術の進歩とバッテリー使用期間について

質問者:今はかなり技術が進歩し、機能も向上しています。バッテリーの持ちもよく、昔よりも携帯端末の寿命なども延びています。例えば私自身は、東京に住んでいることもあるかもしれませんが、今はほとんど外出中にバッテリーの充電が切れたりすることがありません。たいていは夜に充電して、朝家を出るときに使います。

このようにバッテリーの寿命が長くなっているという観点で、使用期間についてはどのようにお考えですか?

橋本:スライドはスマホの充電に関するアンケートの結果です。スライド右側は充電回数についての回答ですが、この結果から一度家を出てから帰宅するまでに、1回以上は充電が必要だという人が、4,000万人程度いると推察しています。そのうちの約1,600万人は、「2回以上充電しなければならない」と回答しています。それだけ外出中の充電ニーズがあるということです。

スマホユーザーが1億人いるとすると、約4,000万人が充電を必要としていると考えると、ご質問者の方はおそらく充電を必要としない6,000万人側に入るかと思います。

橋本:ではなぜそのように充電が必要になるのかというと、先ほど秋山がご説明したスマホの買い替えサイクルが関係しています。今は平均5年ぐらいのサイクルになっています。ガラケー時代は2年に1回は必ず買い替えられていましたが、今や1台15万円以上するスマホを、すべての方が2年に1回買い替えられるような状況ではないという産業背景がありますので、長くスマホを使っている方がかなり多くなっています。

また、リチウムイオンはどれだけうまく使ってもやはり2年で数パーセント、5年も使っているともともとの能力から30パーセントぐらいは落ちてしまいます。そのため劣化したバッテリーのスマホを使っている方も増えています。

橋本:このようなことが起きている理由です。スライド左側のグラフは、過去28年までさかのぼって、スマホ内蔵電池の容量、つまりバッテリーの容量の進化を示したものです。28年前から現在では、22倍まで容量が増えています。確かにバッテリーは進化しているのですが、スライド中央のグラフのようにスマホの消費電力量の成長が大幅に増加しています。

バッテリーの容量はリチウムという物的価格の中での技術革新なのですが、スマホの消費電力量はいわゆる技術革新で、ムーアの法則どおりにどんどん増えています。28年前と比較すると102倍にまで増えているといわれています。

スライド右側のグラフは、その2つのグラフを重ね合わせたものです。28年の累計で5倍も乖離しています。我々はこれをパワーギャップと呼んでいますが、このギャップがどんどん広がってきてしまっているため、外出中にも充電が必要な状況になっています。

オフィスで充電したり、マイバッテリーを持ったりとさまざまな対策がある中で、必ずしもすべての方に我々のサービスを使っていただけるとは思っていません。しかし、先ほどのアンケート結果にもあったように、マイバッテリーを持っていてもやはり「借りるサービスがあるなら使いたい」など、外出中の充電ニーズがあります。

また、今後5Gが本格化したり6Gが出てきたりすると、スマホ消費電力量は増え、その電波を受電するだけでもバッテリーの消費量も増えていきます。それに伴い外出中の充電ニーズはおそらくどんどん広がっていくだろうと思いますし、外でバッテリーが足りなくなるという追い風はむしろ強まるのではないかと思っています。

橋本:以上のことから、我々は約2,600万人のポテンシャルユーザーがいると考えています。

質疑応答:需要と供給の理想的なバランスについて

質問者:今日、日本橋付近で借りられる場所がどのぐらいあるのかを見てみましたが、おそらく日曜日だということもあり、ほとんどの場所で借りられる状況でした。一方、渋谷では3分の1ぐらいで借りられなくなっていました。

ガラガラの空きではビジネスとして成り立たず、しかし借りられなければサービスとしていまひとつだということがあると思います。このバランスはどの程度が理想なのでしょうか? また地方で新しく展開する場合、どのぐらいのバランスであればビジネスとして成り立つのか、損失にならないのかについて教えていただけますか?

橋本:「ChargeSPOT」に関してはバッテリースタンドの台数とスロット数、バッテリーのそれぞれで見ています。そのエリアでどのぐらいの需要があるか、どのぐらいの人数に使っていただけるかのバランスを見ながら配置をしています。

1台のスロット数に対して、だいたい半分から6割ぐらい装填した状態で市場に出しています。もちろんそれがぐるぐる回っていきますので、必ずしも全エリアで全スロットが6割埋まっているという状態ではありません。

そのためラウンダーという、バッテリーの偏在を解消する部隊が動いています。よく借りられるエリアとよく返されるエリアには傾向があるため、よく借りられるエリアからはバッテリーがどんどん逃げていってしまいます。そこでよく返されるエリア、つまりよくバッテリーが溜まっていくエリアから、よく借りられるエリアにどんどん返していきます。

このようにバッテリーの偏在を解消することで、需要に対して必要なバッテリーがあるようにタイムリーに動かしています。

「どのぐらいが適切なのか?」というご質問については「そのエリアでどのぐらいのユーザーが使ってくれるのか?」「どのぐらいの需要があるか?」を見て決めています。そのため「このエリアならば何個」ではなく「このエリアの、この曜日の、この時間であれば、何個ぐらい借りられる需要があるだろう、それに対して供給を間に合わせよう」というロジックを組んでラウンダーをしていきます。

基本的には一定の密度にした上で、需要に合わせて供給を調整しているという考え方です。

質問者:例えば今設置しているスポットでは「1日に何台ぐらい借りられるとサービスとして成り立つ」など、ユニットエコノミクスのような観点ではどこで黒字化されるのでしょうか?

橋本:「何台で、稼働率が何パーセントであれば黒字化するか?」と昔から投資家の方からよくご質問を受けています。

これはトレードオフというところもあり、台数が多いケースと少ないケースを比べると、台数が多いケースでは稼働率が低くても、結局利用回数が稼げていることになるため問題ありません。しかし「台数が少ないときに稼働率が高い」、または「台数が多いときに稼働率が低い」という場合は、どのタイミングで黒字化するのかはなかなか難しいところがあります。

我々のサービスでいえば、昔からベンチマークとして見てきたのは稼働率が20パーセントを超えてきたあたりから黒字化するという傾向です。しかし、台数がほとんどないにもかかわらず20パーセントの稼働率で黒字化するかというと、そうはなりませんでした。

「全体として何台置き、稼働率が何パーセントのときに黒字化するか?」というご質問に対しては、以前から「4万台で稼働率30パーセントぐらい、5万台で稼働率20パーセントぐらい」と回答をしてきました。

「設置した1台が黒字化するのは何パーセントの稼働率か?」というご質問であれば、25パーセントぐらいで黒字化することになると思います。母数がバッテリーそのものですので、10個刺さっているとすると、1日に2.5回借りられるという計算です。

質疑応答:空港への設置について

質問者:空港に関してうかがいます。成田空港や羽田空港など、国際線の出国審査後のエリアへの設置についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか?

例えばJALやANAなどのフルサービスキャリアであれば、飛行機の機内にUSBなどが備え付けられていてチャージができますが、LCCやMCCなどでは機内で充電できないこともあります。私は時々、出国審査後にバッテリーを忘れたことに気づき苦労することがあるので、もし設置をされていないのであれば、ぜひ設置していただきたいと思っています。

秋山:羽田空港の国内線では、すでに手荷物検査後のエリアに設置しています。直近ではやはりインバウンドの方も増え始めたということで、国際線での展開も開始しています。

成田空港では、出国審査後のエリアにはまだ設置していないと思いますので、がんばって進めていきたいと思います。

質疑応答:海外における災害時無料貸出サービスについて

質問者:私個人として、御社の強みは災害時無料貸出サービスなど、インフラとしての役割だと思っています。今後他の国でも展開していくにあたり、現地でも同様にインフラとして無料貸し出しを行っているのでしょうか? また、先日台湾で地震が発生しましたが、そのときの対応などについても教えてください。

秋山:現在台湾では、台北を中心に8,800ヶ所で展開し、80パーセント以上のシェアを獲得している状況です。先日の台湾東部での地震は、「ChargeSPOT」がそれほど設置されていないエリアでの発生だったため、フランチャイジーからも無料レンタルのニーズは多くないと報告を受けました。

災害時無料貸出サービスについては、今は日本のみで展開をしています。これには文化的な背景もあります。私は今、香港人としての立場でお話ししますが、香港などの場合、返却されないということもあり得ると思っています。

日本で本当にすばらしいなと思うことは、ほぼ100パーセントの返却率です。過去に100パーセントではなかったことはありません。災害時に貸し出したものが100パーセント戻ってくるという安心感もあるため、現在は日本のみで展開をしています。

また、香港は地震が少ないため、今後は各地の風土も見ながら対応すべき災害を考えていきたいと思っています。

配信元: ログミーファイナンス
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