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澁澤倉庫のニュース
*16:53JST 澁澤倉庫 Research Memo(3):内外ロジスティクスなど物流事業と不動産事業を展開(1)
■事業概要
2. 事業内容
澁澤倉庫<9304>は倉庫業を祖業とする総合物流企業であり、現在の事業は物流事業と不動産事業に大別される。物流事業はさらに、国内ロジスティクス(物流拠点運営、陸上運送、港湾運送、その他の物流)と国際ロジスティクス(輸出入・フォワーディング、BPO、海外事業)、情報システムに分けられ、同社及び各地の関連会社が有機的に連携しながらそれぞれの業務を展開している。取引先は、飲料・日用品を主力に、アパレルから家電まで多岐にわたっている。不動産事業では、保有不動産を生かした不動産開発賃貸、不動産管理などを行っている。2024年3月期の営業収益は物流事業92%、不動産事業8%と例年通りの構成比であった。営業利益の構成比も例年およそ半々とバランスの取れた構成となっているが、近年は物流事業の構成比が高まってきている。
(1) 国内ロジスティクス
(a) 物流拠点運営
物流拠点運営は、国内主要都市をカバーするネットワークを構築、倉庫保管、流通加工、輸配送機能と多様な商品の取り扱いノウハウを融合した、顧客に最適な物流サービスを提供している。倉庫保管では、一般貨物向けの常温倉庫をはじめ可動式ラック倉庫や定湿・定温倉庫、危険物倉庫など万全の態勢で最適な保管環境を提供するとともに、顧客の商品特性に応じた多様な荷役機器を有し、サプライチェーンマネジメントの戦略拠点として倉庫・配送センター機能を提供している。また、自社開発した倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)によるリアルタイムな在庫照会やEDI(電子データ交換)連携のほか、物流データ分析に基づいて調達計画・在庫配置計画を立案するなどDX・イノベーションを活用した物流ソリューションを提供し、労働力不足への対応やCO2排出削減などの社会課題の解決にも取り組んでいる。
さらに、製造ラインや輸出地で処理できない加工や生産工程を物流と連動してワンストップで行うサービスを提供している。流通加工では日用品やアパレル、食品などを対象に検品・詰め替え・ラベル貼付などを、生産受託では自動車部品向けなどに部材の集約や組み立て機能を提供している。輸配送では、倉庫・配送センターのスケールメリットと全国をカバーする集車ネットワークで、顧客に納期・製品・輸送ロットに最適な輸送モードを提供、特に首都圏でのECや店舗向け配送では、自社軽貨物サービスによる即日配送やリバースロジスティクス、店舗間在庫移動などにも対応している。
(b) 陸上運送
陸上運送では、東名阪や千葉地区といったドミナントエリアを基盤に、全国で長距離輸送・地場輸送、共同配送などのサービスを提供している。陸上運送サービスの最大の特徴は、トレーラーや大型車など豊富な車両と全国ネットの営業網を生かした大量ラウンド運行※による「幹線輸送」、自社開発の輸配送システムなどによる「地域内の地場配送」の連携にある。共同配送では、日用品・飲料・アパレル・食品といった商品をカテゴリーごとに物流拠点に集約して同一配送先に届けており、配送のローコスト化、配送先の荷受け作業の効率化、積載効率向上によるGHG(温室効果ガス)の排出や待機時間の削減、乗務員不足など社会課題の解決に貢献する輸送手段といえる。
※ラウンド運行:複数の輸送ルートを組み合わせて空車区間を減らし、効率的に輸送する手法。
そのほか、平ボディ車両やバルク車両、セキュリティ車両などを使った特殊車両輸送や、輸出入手続きとワンストップサービスになった海上コンテナ輸送、複数の工場や配送センターから出荷される商品を同社の施設で目的地ごとに組み合わせて配送するクロスドック輸送も行っている。また、フェリー輸送を事業の柱とする日正運輸(株)と鉄道輸送を柱とする大宮通運(株)をグループ内に有しており、モーダルシフト※1として注目を集めている鉄道輸送やフェリー輸送とのワンストップサービスも提供している。モーダルシフトは安全・確実なうえ、2024年問題への対応を含めた乗務員の労働環境改善、環境負荷低減や自然災害発生時のBCP※2対策といった社会課題解決の一助になることから、今後、同社にとって大きな強みになっていくと弊社では見ている。このように同社は、これまで蓄積してきた豊富な経験・ノウハウを生かし、あらゆるニーズに対応する輸送方法と輸送ネットワークを構築している。
※1 トラックなどによる自動車貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶へと転換すること。
※2 BCP(Business Continuity Planning):自然災害やテロ、システム障害などの緊急事態における事業継続計画。
(c) 港湾運送事業
船舶代理店として船舶が効率的に入港できるように、パイロット(水先案内人)やタグボートの手配から、海上保安庁、税関、検疫所、関係省庁等への諸手続き、B/L発行に至るまで広範囲にわたるサービスを提供することで、船会社をサポートしている。また、船内荷役やはしけ運送などの港湾運送業務でも多くの実績がある。特に在来船の船内荷役では、主要港での長年にわたる経験やノウハウを生かして、鋼材などの長尺物や穀物、重機、プラント貨物の積み卸しや積み付け、ラッシング(固縛)などの作業を安全かつ丁寧に行っている。
(d) その他の物流
その他の物流として、文書保管・トランクルームサービスや引越し・家財保管サービスも提供している。文書保管・トランクルームサービスでは、都市部近隣の強固なセキュリティの施設で、顧客のオフィス文書などを保管するほか、集配専用車による輸送サービスや機密文書の廃棄処理といったサービスを提供している。引越し・家財保管サービスでは、オフィスの移転作業や社員の引越サービス、リフォーム・建替えといったサービスのほか、海外転勤時などの家財保管サービスも提供している。同社は国土交通省の「優良トランクルーム」、全日本トラック協会の「引越優良事業者」、EMS国内規格である「エコステージ2」といった認定・認証を受けており、安心・確実な作業が評価されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<AS>
2. 事業内容
澁澤倉庫<9304>は倉庫業を祖業とする総合物流企業であり、現在の事業は物流事業と不動産事業に大別される。物流事業はさらに、国内ロジスティクス(物流拠点運営、陸上運送、港湾運送、その他の物流)と国際ロジスティクス(輸出入・フォワーディング、BPO、海外事業)、情報システムに分けられ、同社及び各地の関連会社が有機的に連携しながらそれぞれの業務を展開している。取引先は、飲料・日用品を主力に、アパレルから家電まで多岐にわたっている。不動産事業では、保有不動産を生かした不動産開発賃貸、不動産管理などを行っている。2024年3月期の営業収益は物流事業92%、不動産事業8%と例年通りの構成比であった。営業利益の構成比も例年およそ半々とバランスの取れた構成となっているが、近年は物流事業の構成比が高まってきている。
(1) 国内ロジスティクス
(a) 物流拠点運営
物流拠点運営は、国内主要都市をカバーするネットワークを構築、倉庫保管、流通加工、輸配送機能と多様な商品の取り扱いノウハウを融合した、顧客に最適な物流サービスを提供している。倉庫保管では、一般貨物向けの常温倉庫をはじめ可動式ラック倉庫や定湿・定温倉庫、危険物倉庫など万全の態勢で最適な保管環境を提供するとともに、顧客の商品特性に応じた多様な荷役機器を有し、サプライチェーンマネジメントの戦略拠点として倉庫・配送センター機能を提供している。また、自社開発した倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)によるリアルタイムな在庫照会やEDI(電子データ交換)連携のほか、物流データ分析に基づいて調達計画・在庫配置計画を立案するなどDX・イノベーションを活用した物流ソリューションを提供し、労働力不足への対応やCO2排出削減などの社会課題の解決にも取り組んでいる。
さらに、製造ラインや輸出地で処理できない加工や生産工程を物流と連動してワンストップで行うサービスを提供している。流通加工では日用品やアパレル、食品などを対象に検品・詰め替え・ラベル貼付などを、生産受託では自動車部品向けなどに部材の集約や組み立て機能を提供している。輸配送では、倉庫・配送センターのスケールメリットと全国をカバーする集車ネットワークで、顧客に納期・製品・輸送ロットに最適な輸送モードを提供、特に首都圏でのECや店舗向け配送では、自社軽貨物サービスによる即日配送やリバースロジスティクス、店舗間在庫移動などにも対応している。
(b) 陸上運送
陸上運送では、東名阪や千葉地区といったドミナントエリアを基盤に、全国で長距離輸送・地場輸送、共同配送などのサービスを提供している。陸上運送サービスの最大の特徴は、トレーラーや大型車など豊富な車両と全国ネットの営業網を生かした大量ラウンド運行※による「幹線輸送」、自社開発の輸配送システムなどによる「地域内の地場配送」の連携にある。共同配送では、日用品・飲料・アパレル・食品といった商品をカテゴリーごとに物流拠点に集約して同一配送先に届けており、配送のローコスト化、配送先の荷受け作業の効率化、積載効率向上によるGHG(温室効果ガス)の排出や待機時間の削減、乗務員不足など社会課題の解決に貢献する輸送手段といえる。
※ラウンド運行:複数の輸送ルートを組み合わせて空車区間を減らし、効率的に輸送する手法。
そのほか、平ボディ車両やバルク車両、セキュリティ車両などを使った特殊車両輸送や、輸出入手続きとワンストップサービスになった海上コンテナ輸送、複数の工場や配送センターから出荷される商品を同社の施設で目的地ごとに組み合わせて配送するクロスドック輸送も行っている。また、フェリー輸送を事業の柱とする日正運輸(株)と鉄道輸送を柱とする大宮通運(株)をグループ内に有しており、モーダルシフト※1として注目を集めている鉄道輸送やフェリー輸送とのワンストップサービスも提供している。モーダルシフトは安全・確実なうえ、2024年問題への対応を含めた乗務員の労働環境改善、環境負荷低減や自然災害発生時のBCP※2対策といった社会課題解決の一助になることから、今後、同社にとって大きな強みになっていくと弊社では見ている。このように同社は、これまで蓄積してきた豊富な経験・ノウハウを生かし、あらゆるニーズに対応する輸送方法と輸送ネットワークを構築している。
※1 トラックなどによる自動車貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶へと転換すること。
※2 BCP(Business Continuity Planning):自然災害やテロ、システム障害などの緊急事態における事業継続計画。
(c) 港湾運送事業
船舶代理店として船舶が効率的に入港できるように、パイロット(水先案内人)やタグボートの手配から、海上保安庁、税関、検疫所、関係省庁等への諸手続き、B/L発行に至るまで広範囲にわたるサービスを提供することで、船会社をサポートしている。また、船内荷役やはしけ運送などの港湾運送業務でも多くの実績がある。特に在来船の船内荷役では、主要港での長年にわたる経験やノウハウを生かして、鋼材などの長尺物や穀物、重機、プラント貨物の積み卸しや積み付け、ラッシング(固縛)などの作業を安全かつ丁寧に行っている。
(d) その他の物流
その他の物流として、文書保管・トランクルームサービスや引越し・家財保管サービスも提供している。文書保管・トランクルームサービスでは、都市部近隣の強固なセキュリティの施設で、顧客のオフィス文書などを保管するほか、集配専用車による輸送サービスや機密文書の廃棄処理といったサービスを提供している。引越し・家財保管サービスでは、オフィスの移転作業や社員の引越サービス、リフォーム・建替えといったサービスのほか、海外転勤時などの家財保管サービスも提供している。同社は国土交通省の「優良トランクルーム」、全日本トラック協会の「引越優良事業者」、EMS国内規格である「エコステージ2」といった認定・認証を受けており、安心・確実な作業が評価されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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