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三井倉庫ホールディングスのニュース
■中期経営計画
日新<9066>は2017年5月に、2022年3月期を最終年度とする第6次中期経営計画を策定した。基本方針として『「グローバル・ロジスティクス・プロバイダー」~世界最高品質の物流企業への更なる進化~』を掲げ、定量目標を設定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による世界経済環境の変化が著しく、達成が困難なものと判断し、2020年11月に取り下げることとした。しかしながら、結果的に2022年3月期営業利益は、当初目標である7,400百万円に対し9,098百万円と大幅に上回って着地した。
第6次中期経営計画の1年目(2018年3月期)は順調に進捗したものの、2年目(2019年3月期)下期より米中摩擦の影響で主に自動車関連貨物の荷動きが弱まり、特に航空貨物の減少が目立ちはじめた。3年目(2020年3月期)に入っても世界経済の減速に回復の動きが見られず、第4四半期には新型コロナウイルスの世界的蔓延が表面化し、物流、旅行ともに収益に大きな影響を受けた。4年目(2021年3月期)もコロナ禍の影響が継続したが、物流事業は2020年7月以降徐々に貨物量の回復がはじまり、下期以降は世界的な海上コンテナ不足による航空需要の拡大などもあり、業績が急回復した。しかしながら旅行事業は、旅客便の減便や各国の入国制限が継続し営業損失が続いた。そして、5年目(2022年3月期)は一転し、物流事業では旺盛な貨物需要の下、同社の専門性とネットワーク力を生かしたスポット案件(代替輸送、緊急輸送)を着実に受注に結びつけ、旅行事業では徹底的な経費削減の努力をした結果、短期間で収益が改善し、過去最高益を達成した。
1. 第6次中期経営計画の振り返り
(1) 重点3分野の進捗状況
同社は第6次中期経営計画で「自動車関連物流」「化学品・危険品物流」「食品物流」を重点3分野として設定し、連結売上においてバランスの取れた売上構成を目指した。なお重点3分野は、それぞれ業界トップの得意先との取引を長年継続しており、安定した市場・顧客構造となっている。
a) 自動車関連物流
第6次中期経営計画3年目(2020年3月期)は米中摩擦やコロナ禍、半導体や自動車部品の供給不足解消は依然先行きの見えない状況であったが、4年目となる2021年3月期下期以降は米国を中心に日本やアジアでも、自動車関連貨物は航空輸出入ともに一転好調に転じた。この結果、当初計画(2022年3月期に454億円)に対し21.6%増の552億円となった。
第6次中期経営計画の実績としては、インドで二輪車用倉庫を拡張したほか、中国で深セン発欧州向け鉄道輸送併用サービスを開始した。また米州では、コロンバス、デトロイト、ナッシュビルの3拠点に自動車部品を対象とした倉庫を開設した。
b) 化学品・危険品物流
コロナ禍の影響が少ないこともあり、当初計画(2022年3月期に195億円)に対し7.7%増の210億円となった。
c) 食品物流
コロナ禍の影響が少ないこともあり、当初計画(2022年3月期に120億円)に対し17.5%増の141億円となった。2022年3月期の実績としては、タイ発メキシコ向け清涼飲料の輸出や米国発日本・アジア向けコーヒー飲料の材料などの輸出などが挙げられる。
(2) 2022年3月期の取り組み
第6次中期経営計画最終年度(2022年3月期)の取り組みは、以下のとおりである。
a) EV・FCV関連市場の開拓
次世代モビリティ関連の部品取扱倉庫建設用地を栃木県に取得した。
b) 化学品・危険品、食品物流の国内外事業強化
平和島冷蔵物流センターの貨物集荷強化のほか、横浜地区危険物倉庫開設に向けた準備を進めている。
c) 物流施設再編による収益拡大
天井クレーンなどの大型重量貨物の荷役設備が整った横浜重量物梱包センターへ重量貨物を集約し、取扱物量が増加した。
d) 新基幹システムの軌道化
同社は2021年7月に、新基幹システムを稼働した。このシステムは事業ごとの収益を明確にアウトプットできる機能を有していることから、同社の事業ポートフォリオを改めて精査し、より効果的な経営資源の投入を目指していく。
e) DXへの積極的な取り組み
同社では以前より「物流商品開発室」にてITを駆使した物流商品の開発や顧客へのシステム提案を活発に行っていたが、2021年4月より新たに機能を充実させた「物流DX推進室」を設立した。今後はデジタルと物流の融合を全面に出した物流商品開発や新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいく。
また、2021年7月には、オンラインで「見積もり」「発注」「作業進捗」の一元管理ができるデジタルフォワーディングサービス「Forward ONE」を開設した。これは、オンラインサイトを通じて複雑な国際物流管理を可視化し、シンプルなフォワーディングを目指したサービスとなる。これにより、顧客が同サイトで見積もりを作成し、同社営業スタッフが顧客訪問を行うなど、営業プロセス改革が見込まれる。
2021年8月には、同社と東京大学協創プラットフォーム開発(株)、三井倉庫ホールディングス<9302>、(株)TW Linkの4社が、貿易情報連携プラットフォーム「TreadeWaltz®」を運営する(株)トレードワルツに共同出資することを発表した。トレードワルツの貿易プラットフォーム基盤を活用することで、フォワーディングサービスのデジタル化を進め、荷主にわかりやすく、よりスピーディな国際物流ポータルサービスの提供を目指す。
f) グループ会社のガバナンス機能強化
同社米国子会社を業務プロセス統制の対象に追加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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日新<9066>は2017年5月に、2022年3月期を最終年度とする第6次中期経営計画を策定した。基本方針として『「グローバル・ロジスティクス・プロバイダー」~世界最高品質の物流企業への更なる進化~』を掲げ、定量目標を設定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による世界経済環境の変化が著しく、達成が困難なものと判断し、2020年11月に取り下げることとした。しかしながら、結果的に2022年3月期営業利益は、当初目標である7,400百万円に対し9,098百万円と大幅に上回って着地した。
第6次中期経営計画の1年目(2018年3月期)は順調に進捗したものの、2年目(2019年3月期)下期より米中摩擦の影響で主に自動車関連貨物の荷動きが弱まり、特に航空貨物の減少が目立ちはじめた。3年目(2020年3月期)に入っても世界経済の減速に回復の動きが見られず、第4四半期には新型コロナウイルスの世界的蔓延が表面化し、物流、旅行ともに収益に大きな影響を受けた。4年目(2021年3月期)もコロナ禍の影響が継続したが、物流事業は2020年7月以降徐々に貨物量の回復がはじまり、下期以降は世界的な海上コンテナ不足による航空需要の拡大などもあり、業績が急回復した。しかしながら旅行事業は、旅客便の減便や各国の入国制限が継続し営業損失が続いた。そして、5年目(2022年3月期)は一転し、物流事業では旺盛な貨物需要の下、同社の専門性とネットワーク力を生かしたスポット案件(代替輸送、緊急輸送)を着実に受注に結びつけ、旅行事業では徹底的な経費削減の努力をした結果、短期間で収益が改善し、過去最高益を達成した。
1. 第6次中期経営計画の振り返り
(1) 重点3分野の進捗状況
同社は第6次中期経営計画で「自動車関連物流」「化学品・危険品物流」「食品物流」を重点3分野として設定し、連結売上においてバランスの取れた売上構成を目指した。なお重点3分野は、それぞれ業界トップの得意先との取引を長年継続しており、安定した市場・顧客構造となっている。
a) 自動車関連物流
第6次中期経営計画3年目(2020年3月期)は米中摩擦やコロナ禍、半導体や自動車部品の供給不足解消は依然先行きの見えない状況であったが、4年目となる2021年3月期下期以降は米国を中心に日本やアジアでも、自動車関連貨物は航空輸出入ともに一転好調に転じた。この結果、当初計画(2022年3月期に454億円)に対し21.6%増の552億円となった。
第6次中期経営計画の実績としては、インドで二輪車用倉庫を拡張したほか、中国で深セン発欧州向け鉄道輸送併用サービスを開始した。また米州では、コロンバス、デトロイト、ナッシュビルの3拠点に自動車部品を対象とした倉庫を開設した。
b) 化学品・危険品物流
コロナ禍の影響が少ないこともあり、当初計画(2022年3月期に195億円)に対し7.7%増の210億円となった。
c) 食品物流
コロナ禍の影響が少ないこともあり、当初計画(2022年3月期に120億円)に対し17.5%増の141億円となった。2022年3月期の実績としては、タイ発メキシコ向け清涼飲料の輸出や米国発日本・アジア向けコーヒー飲料の材料などの輸出などが挙げられる。
(2) 2022年3月期の取り組み
第6次中期経営計画最終年度(2022年3月期)の取り組みは、以下のとおりである。
a) EV・FCV関連市場の開拓
次世代モビリティ関連の部品取扱倉庫建設用地を栃木県に取得した。
b) 化学品・危険品、食品物流の国内外事業強化
平和島冷蔵物流センターの貨物集荷強化のほか、横浜地区危険物倉庫開設に向けた準備を進めている。
c) 物流施設再編による収益拡大
天井クレーンなどの大型重量貨物の荷役設備が整った横浜重量物梱包センターへ重量貨物を集約し、取扱物量が増加した。
d) 新基幹システムの軌道化
同社は2021年7月に、新基幹システムを稼働した。このシステムは事業ごとの収益を明確にアウトプットできる機能を有していることから、同社の事業ポートフォリオを改めて精査し、より効果的な経営資源の投入を目指していく。
e) DXへの積極的な取り組み
同社では以前より「物流商品開発室」にてITを駆使した物流商品の開発や顧客へのシステム提案を活発に行っていたが、2021年4月より新たに機能を充実させた「物流DX推進室」を設立した。今後はデジタルと物流の融合を全面に出した物流商品開発や新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいく。
また、2021年7月には、オンラインで「見積もり」「発注」「作業進捗」の一元管理ができるデジタルフォワーディングサービス「Forward ONE」を開設した。これは、オンラインサイトを通じて複雑な国際物流管理を可視化し、シンプルなフォワーディングを目指したサービスとなる。これにより、顧客が同サイトで見積もりを作成し、同社営業スタッフが顧客訪問を行うなど、営業プロセス改革が見込まれる。
2021年8月には、同社と東京大学協創プラットフォーム開発(株)、三井倉庫ホールディングス<9302>、(株)TW Linkの4社が、貿易情報連携プラットフォーム「TreadeWaltz®」を運営する(株)トレードワルツに共同出資することを発表した。トレードワルツの貿易プラットフォーム基盤を活用することで、フォワーディングサービスのデジタル化を進め、荷主にわかりやすく、よりスピーディな国際物流ポータルサービスの提供を目指す。
f) グループ会社のガバナンス機能強化
同社米国子会社を業務プロセス統制の対象に追加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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