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サクシードのニュース
■事業概要
4. 人材サービス
人材サービスは、学校や自治体、他社学習塾など教育機関向けと、保育園や介護施設など福祉業界向けに分けられる。学校や自治体は教員の過重労働問題やDX対応できる人員の不足、他社学習塾は講師の確保、福祉業界は慢性的な人手不足による待機児童や介護離職といった課題を抱えており、サクシード<9256>が紹介や派遣などの形態で人材を供給することは課題解決の一助となっている。なお、福祉業界の人材サービスは既にレッドオーシャン化が進んでいるが、教育機関周辺でシナジーやスケールメリットが期待できることから、他社に比べて収益化しやすいといえる。ただし、今後は利益率が高いが安定感には若干欠ける人材紹介から、売上の安定している人材派遣へも注力していく考えだ。
(1) 教育機関向け人材サービス
教育人材支援事業(家庭教師紹介事業を除く)では、ICT支援員※1や学校教員、部活動指導員、日本語教師など教育に携わる人材を学校や自治体に紹介・派遣している。ほかに、他社学習塾・予備校に対して、塾講師や教室長などの紹介・派遣や業務受託を行うサービスも展開している。特に学校教員は、生徒指導のほか部活動指導や英語必修化、プログラミングの教科化など負担が激増しており、海外の教員と比較して労働時間は1.4倍程度長くなっている。このため、教員人気は低下傾向が続いており、公立小学校教員採用倍率は2016年の3.6倍から2020年には2.7倍へと大きく減った。しかも、今後35人学級が始まると、5年間で新たに13,000人の教員が不足するとの試算もある。閉鎖的だった学校や自治体も重い腰を上げ、教員の業務負担軽減などを目的に、ICT支援員や外部の部活動指導員、ALT※2などの人材を有効活用するようになってきている。以下は、同社の代表的な教育機関向け人材サービスである。
※1 ICTを活用した授業や校務、教員研修などを教員がスムーズに行うための支援員。
※2 Assistant Language Teacherの略。グローバル化に対応した英語教育を実践するために、小学校、中学校、高等学校に配置する外国語指導助手。
1) ICT支援員
日本では、オンラインやタブレットなどICTを授業で利用する教員の割合が諸外国に比べ少ないため、文部科学省は教育現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進している。このため、コロナ禍の影響も重なって「GIGAスクール構想※」の実現年度を前倒し、児童1人につき1台の情報端末を整備すること、及び4校に1人のICT支援員を配置するという目標が設定されるなど、国主導で教育分野のDX推進が加速している。このため、自治体はICT支援員の確保に迫られており、同社はこれに対して、2022年3月期に新たにICT支援員を紹介・派遣する人材サービスを開始した。これにより学校・教員の負担軽減と学校授業の質向上という教育現場の課題解決が、徐々にではあるが進むと予想されている。ICT支援員の紹介・派遣は始まったばかりであり、需要は当面の間全国的に継続することが見込まれている。同社は体制を充実・強化し、ICT支援員の人材サービスを全国の自治体に拡大して提供する考えである。
※1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークによって、多様な子どもたちを誰1人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現すること。
2) 学校教員
全国の私立小・中・高校に対して、常勤・非常勤の教員を紹介・派遣するサービスを展開している。かつて教員は人気職種だったが、現在では厳しい職場環境にある。このため、教職志望の学生の減少が続いているうえ、大量に採用された世代の教員が定年を迎えていることもあり、教員が不足する時代が間もなく来ると言われている。35人学級ともなればなおさらなうえ、教員の採用倍率低下に伴う質の低下も懸念されている。同社の特徴は教育関連の人材を多く抱えているところにあるが、なかでも教員の人材紹介サービスのニーズの高まりを受け、教員の転職をサポートするための求人サイトなどを強化しており、今後も数多い教員の登録者のなかから適材を各校に紹介・派遣していく方針である。
3) 部活動指導員・部活動の運営受託
学校現場において、部活動の負担が増えることで教員本来の業務である授業に集中できなくなっていることや、部活動の指導に割く教員の時間外労働の多さ、部活に対するノウハウや責任のあり方など、部活動も社会的な課題となっている。同社は、全国の学校に対して、部活動の運営を受託するサービスを展開している。部活動の運営を外部に委託することで様々な課題が解消され、教員の働き方改革の実現につながっているが、さらに、ハイレベルな競技実績や理論を有する外部コーチの指導により、生徒の満足度も向上する。このため現在、同社の部活動運営受託は私立学校において人気となっている。今後は公立学校でも、教員の働き方改革を進める必要から急速に増えていく見通しである。さらに、アスリートのセカンドキャリアとしても有効な職業であると思われる。
4) 日本語教師・ALT
少子高齢化に伴う人材不足を背景に日本企業では外国人材の採用ニーズが高まっており、それに伴い人材が定着するための語学支援が必要となってきた。同社は、外国人材を雇用する企業に対し、日本語教師の派遣やオンライン授業の配信、日本語教室の運営受託など様々な語学支援サービスを展開している。現状、コロナ禍で需要が落ちていると言われるが、2030年には国内で600万人を超える人手不足に陥ると予想されており、また、インバウンドの復活も見込まれていることから、中長期的に人材サービスのなかでも大きく伸びる分野と考えられる。一方、グローバル化に伴って日本人の語学力の向上が求められている。このため、小中学校や高等学校にALTを配置することになっており、こうしたニーズを捉えて同社ではALTの紹介・派遣も行っている。
5) 学内塾の運営受託
同社は、私立中高一貫校、公立中学・高校に対して、学内塾の運営を受託するサービスを展開している。長年学習塾を運営してきたノウハウを生かし、放課後や土日、または早朝に、学校の教室において多彩なカリキュラムの課外授業をサポートしている。また、生徒の学習支援を行うチューター※や、進路相談を担当するカウンセラーによるサポートも行っている。少子化に伴い特に私立学校の生徒獲得競争は激化しており、多くの学校は生き残りをかけて進学実績など特徴作りを急いでいるが、同社の学内塾は各学校が生き残りのために差別化を図る上で大きな特徴となっている。
※塾内で学生への学習補助を行う講師。
6) 塾講師
学習塾の講師は、供給の偏在性や雇用の季節性から採用難易度が高いと言われており、学習塾業界は慢性的な講師不足にある。同社は、そうした課題を持つ他社学習塾や予備校に対して、専任講師やアルバイト講師を紹介・派遣するサービスを展開している。同社は「教えるシゴト」など自社媒体や一部「indeed」といった有料媒体を通じて講師を集めている。講師に対しては専任のコーディネーターがカウンセリングによる希望や状況のヒアリングを行い、1人ひとりの細かなニーズを汲み取る。一方、求人企業である学習塾の求人内容の詳細や個別の事情を予め聴取している。これにより、直接応募と比較して、講師と学習塾双方のニーズにマッチした人材の採用が可能となる。競合する他社学習塾が顧客にもなるというユニークなサービスで、学習塾業界全体に流入する教育費が同社売上のターゲットと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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4. 人材サービス
人材サービスは、学校や自治体、他社学習塾など教育機関向けと、保育園や介護施設など福祉業界向けに分けられる。学校や自治体は教員の過重労働問題やDX対応できる人員の不足、他社学習塾は講師の確保、福祉業界は慢性的な人手不足による待機児童や介護離職といった課題を抱えており、サクシード<9256>が紹介や派遣などの形態で人材を供給することは課題解決の一助となっている。なお、福祉業界の人材サービスは既にレッドオーシャン化が進んでいるが、教育機関周辺でシナジーやスケールメリットが期待できることから、他社に比べて収益化しやすいといえる。ただし、今後は利益率が高いが安定感には若干欠ける人材紹介から、売上の安定している人材派遣へも注力していく考えだ。
(1) 教育機関向け人材サービス
教育人材支援事業(家庭教師紹介事業を除く)では、ICT支援員※1や学校教員、部活動指導員、日本語教師など教育に携わる人材を学校や自治体に紹介・派遣している。ほかに、他社学習塾・予備校に対して、塾講師や教室長などの紹介・派遣や業務受託を行うサービスも展開している。特に学校教員は、生徒指導のほか部活動指導や英語必修化、プログラミングの教科化など負担が激増しており、海外の教員と比較して労働時間は1.4倍程度長くなっている。このため、教員人気は低下傾向が続いており、公立小学校教員採用倍率は2016年の3.6倍から2020年には2.7倍へと大きく減った。しかも、今後35人学級が始まると、5年間で新たに13,000人の教員が不足するとの試算もある。閉鎖的だった学校や自治体も重い腰を上げ、教員の業務負担軽減などを目的に、ICT支援員や外部の部活動指導員、ALT※2などの人材を有効活用するようになってきている。以下は、同社の代表的な教育機関向け人材サービスである。
※1 ICTを活用した授業や校務、教員研修などを教員がスムーズに行うための支援員。
※2 Assistant Language Teacherの略。グローバル化に対応した英語教育を実践するために、小学校、中学校、高等学校に配置する外国語指導助手。
1) ICT支援員
日本では、オンラインやタブレットなどICTを授業で利用する教員の割合が諸外国に比べ少ないため、文部科学省は教育現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進している。このため、コロナ禍の影響も重なって「GIGAスクール構想※」の実現年度を前倒し、児童1人につき1台の情報端末を整備すること、及び4校に1人のICT支援員を配置するという目標が設定されるなど、国主導で教育分野のDX推進が加速している。このため、自治体はICT支援員の確保に迫られており、同社はこれに対して、2022年3月期に新たにICT支援員を紹介・派遣する人材サービスを開始した。これにより学校・教員の負担軽減と学校授業の質向上という教育現場の課題解決が、徐々にではあるが進むと予想されている。ICT支援員の紹介・派遣は始まったばかりであり、需要は当面の間全国的に継続することが見込まれている。同社は体制を充実・強化し、ICT支援員の人材サービスを全国の自治体に拡大して提供する考えである。
※1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークによって、多様な子どもたちを誰1人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現すること。
2) 学校教員
全国の私立小・中・高校に対して、常勤・非常勤の教員を紹介・派遣するサービスを展開している。かつて教員は人気職種だったが、現在では厳しい職場環境にある。このため、教職志望の学生の減少が続いているうえ、大量に採用された世代の教員が定年を迎えていることもあり、教員が不足する時代が間もなく来ると言われている。35人学級ともなればなおさらなうえ、教員の採用倍率低下に伴う質の低下も懸念されている。同社の特徴は教育関連の人材を多く抱えているところにあるが、なかでも教員の人材紹介サービスのニーズの高まりを受け、教員の転職をサポートするための求人サイトなどを強化しており、今後も数多い教員の登録者のなかから適材を各校に紹介・派遣していく方針である。
3) 部活動指導員・部活動の運営受託
学校現場において、部活動の負担が増えることで教員本来の業務である授業に集中できなくなっていることや、部活動の指導に割く教員の時間外労働の多さ、部活に対するノウハウや責任のあり方など、部活動も社会的な課題となっている。同社は、全国の学校に対して、部活動の運営を受託するサービスを展開している。部活動の運営を外部に委託することで様々な課題が解消され、教員の働き方改革の実現につながっているが、さらに、ハイレベルな競技実績や理論を有する外部コーチの指導により、生徒の満足度も向上する。このため現在、同社の部活動運営受託は私立学校において人気となっている。今後は公立学校でも、教員の働き方改革を進める必要から急速に増えていく見通しである。さらに、アスリートのセカンドキャリアとしても有効な職業であると思われる。
4) 日本語教師・ALT
少子高齢化に伴う人材不足を背景に日本企業では外国人材の採用ニーズが高まっており、それに伴い人材が定着するための語学支援が必要となってきた。同社は、外国人材を雇用する企業に対し、日本語教師の派遣やオンライン授業の配信、日本語教室の運営受託など様々な語学支援サービスを展開している。現状、コロナ禍で需要が落ちていると言われるが、2030年には国内で600万人を超える人手不足に陥ると予想されており、また、インバウンドの復活も見込まれていることから、中長期的に人材サービスのなかでも大きく伸びる分野と考えられる。一方、グローバル化に伴って日本人の語学力の向上が求められている。このため、小中学校や高等学校にALTを配置することになっており、こうしたニーズを捉えて同社ではALTの紹介・派遣も行っている。
5) 学内塾の運営受託
同社は、私立中高一貫校、公立中学・高校に対して、学内塾の運営を受託するサービスを展開している。長年学習塾を運営してきたノウハウを生かし、放課後や土日、または早朝に、学校の教室において多彩なカリキュラムの課外授業をサポートしている。また、生徒の学習支援を行うチューター※や、進路相談を担当するカウンセラーによるサポートも行っている。少子化に伴い特に私立学校の生徒獲得競争は激化しており、多くの学校は生き残りをかけて進学実績など特徴作りを急いでいるが、同社の学内塾は各学校が生き残りのために差別化を図る上で大きな特徴となっている。
※塾内で学生への学習補助を行う講師。
6) 塾講師
学習塾の講師は、供給の偏在性や雇用の季節性から採用難易度が高いと言われており、学習塾業界は慢性的な講師不足にある。同社は、そうした課題を持つ他社学習塾や予備校に対して、専任講師やアルバイト講師を紹介・派遣するサービスを展開している。同社は「教えるシゴト」など自社媒体や一部「indeed」といった有料媒体を通じて講師を集めている。講師に対しては専任のコーディネーターがカウンセリングによる希望や状況のヒアリングを行い、1人ひとりの細かなニーズを汲み取る。一方、求人企業である学習塾の求人内容の詳細や個別の事情を予め聴取している。これにより、直接応募と比較して、講師と学習塾双方のニーズにマッチした人材の採用が可能となる。競合する他社学習塾が顧客にもなるというユニークなサービスで、学習塾業界全体に流入する教育費が同社売上のターゲットと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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