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サンフロンティア不動産のニュース
*15:04JST サンフロ不動産 Research Memo(4):既存不動産の活用等をとおして顧客の資産価値の最大化を実現(2)
■サンフロンティア不動産<8934>の事業概要
3. ホテル・観光事業
ホテル・観光事業では、「ホテル運営事業」「ホテル開発事業」「地域創生事業」を手掛けている。
「ホテル運営事業」は「心温かい楽しいホテル」をテーマに、地域の文化と歴史を大切にした、上質で心地よいプライベート感のあるホテルを目指している。「HIYORI HOTELS & RESORTS」のブランド展開により、「BUDGET」「ECONOMY」「UPPER MIDDLE」「UPPER」「LUXURY」にクラス分けし、3,123室を運営している(2024年8月現在)。
「ホテル開発事業」は、自社開発によるホテル建設、自社ブランドによる既存ホテルのリニューアルといったホテルの最有効活用を企画・提案している。ホテル開発では、顧客が所有する不動産を同社グループが購入し、ホテル建設・運営を行う事業方式や、既存ホテルを購入し同社グループでリニューアル・運営を行う事業方式がある。その他にも、建物賃貸借開発方式や土地賃貸借開発方式、他社運営によるホテル保有事業がある。ホテル開発のほかに再生では、顧客視点の付加価値の創出により高収益ホテルへの再生を行っている。再生工事は、企画立案、建築デザイン、資材調達、工程進捗、引渡しまで、すべて一括して同社グループが行うことで、細部にこだわり、使いやすく清潔感のある高品質な不動産に改修する。ホテルの再生には建物だけではなく運営面での再生も重要である。ホテルに従事するスタッフと併走して再生に向けた取り組みを行っている。
「地域創生事業」は、その地域ならではの魅力や特長をテーマにした事業に取り組んでいる。同事業の背景には、日本が誇る文化・歴史・自然・食事・温泉・おもてなしなどに魅了される訪日外国人旅行者の急増があり、創業者の出身地でもある新潟県・佐渡島より事業を開始した。佐渡島では観光産業を軸に地域創生を進めており、既に100人を超える雇用を創出した。また、ホテル事業の運営を基軸に沖縄県・宮古島にも進出を果たしており、「日本の素晴らしさ」を備える地方に視点を向け、その地方ならではの魅力を生かした地域創生事業に挑戦を続けている。
4. その他事業
その他事業では、「海外開発事業」「建設事業」を手掛けている。
「海外開発事業」は、成長が期待できるベトナムへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発事業を展開している。都市型高層分譲マンション事業では、ベトナム中部に位置するダナン市において高層分譲マンションの開発・販売、運営を行っている。2019年12月には「HIYORI Garden Tower」を竣工し、住居306戸が完売している。また、分譲マンションプロジェクト第2号案件として、2024年8月に「HIYORI Aqua Tower」を着工しており、2026年9月末に竣工予定である。
「建設事業」は、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事及び電気通信工事等を行っている。ビル空間や外観・エントランスのリニューアルをプロデュース、入居テナントにとって魅力的で使いやすい空間を創造することによりテナントの満足度を高め、オーナーが保有するビルの競争力や資産価値の向上につなげている。現状分析・コンサルティング・デザインから設計・施工までをワンストップで提供することで、高い品質とコスト効率を実現している。
5. 同社グループの強み
同社グループの強みとして、不動産再生事業における内製化したワンストップサービスの提供力が挙げられる。ビルの仕入れから、再生・活用企画、建設工事、テナント誘致、管理、販売、販売後のビル経営に至るまでを一貫して内製化し、高い付加価値を創出している。この一連のワンストップサービスは、不動産サービス事業の各部門(リーシングマネジメント、ビルメンテナンス、資産コンサルティング、滞納賃料保証、貸会議室)が協業することで実現している。こうした協業を行えているのは、同社グループがフィロソフィ経営を実践するなか、最上位概念であるクレド「利他」の精神が、従業員同士をしっかりと結び付けているためである。
管理会計の手法においては、「アメーバ経営」システムを導入している。これは、グループの事業を5人~10人の小集団(アメーバ)に分類し、アメーバごとに時間当たりの採算の最大化を図るものである(時間当たり採算=売上総利益÷労働時間)。各アメーバにはリーダーが存在し、期初に設定した年間予算・月次予算(売上総利益と時間当たりアメーバ)に対する進捗管理を行う。アメーバ経営による管理会計手法は、市場に直結した部門別採算制度の確立のみならず、全員参加による従業員の採算意識向上や、経営者人財の育成につながるというメリットがある。小集団であることにより意思決定のスピードアップが図られ、環境変化による市場ニーズの変化などにも柔軟な対応が可能なため、効果的な経営手法であると弊社では考える。
6. 事業環境
マクロ的な事業環境としては、世界経済ではインフレ傾向に鈍化の兆しが見られ、欧米では利下げ局面への軟着陸が期待される中で、IMFはインフレの長期化を懸念しつつも実質成長率予測を3.2%から変更していない。米国ではFRBが利下げ開始のタイミングを計っているが、大統領選の先行きにも注意が必要である。日本経済においては、政策金利引き上げを契機に円急伸と株価急落で金融市場が混乱し先行き不透明であるが、物価上昇が続く中でも賃金と所得の増加によって個人消費は底堅く、日銀は政策金利の0.25%程度の引き上げと国債買い入れの減額を決定し継続的な利上げを示唆している。
同社グループを取り巻く事業環境として、都心オフィスビル市場では、オフィス需要の回復による空室率低下と賃料上昇の継続が期待される。オフィス新規供給量は前年より少なく、空室率は低下しており、賃料は底を打って緩やかな上昇が見込まれる。加えて、金利先高観が強まる中でも不動産への投資意欲は底堅い。ホテル・観光市場では、円安基調を背景にインバウンド需要が堅調なほか、国内の旅行需要も好調であり、2024年4~6月の訪日客の旅行消費額は2兆1,370億円と過去最高を記録した。加えて、訪日客は6月単月で313万人、1月からの半年間で1,777万人と過去最高を更新しコロナ禍前の訪日客数を超えた。訪日客数に関する政府目標は、2025年にコロナ禍前を超えるとしていたが、前倒しでの回復となった。
金融引き締め局面における金利動向は、不動産市場全体に大きな影響を与える要素である。金利上昇による資金調達コストの上昇や投資意欲の減退などが懸念されるため、金利動向に敏感に対応し適切なリスク管理を行うことが重要と言える。このような事業環境のなか、同社グループは顧客ニーズに対する高い適応力により、柔軟なビジネス戦略を展開することで金利動向や市場の変化に適切に対応し、持続可能な事業ポートフォリオの構築をしていると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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3. ホテル・観光事業
ホテル・観光事業では、「ホテル運営事業」「ホテル開発事業」「地域創生事業」を手掛けている。
「ホテル運営事業」は「心温かい楽しいホテル」をテーマに、地域の文化と歴史を大切にした、上質で心地よいプライベート感のあるホテルを目指している。「HIYORI HOTELS & RESORTS」のブランド展開により、「BUDGET」「ECONOMY」「UPPER MIDDLE」「UPPER」「LUXURY」にクラス分けし、3,123室を運営している(2024年8月現在)。
「ホテル開発事業」は、自社開発によるホテル建設、自社ブランドによる既存ホテルのリニューアルといったホテルの最有効活用を企画・提案している。ホテル開発では、顧客が所有する不動産を同社グループが購入し、ホテル建設・運営を行う事業方式や、既存ホテルを購入し同社グループでリニューアル・運営を行う事業方式がある。その他にも、建物賃貸借開発方式や土地賃貸借開発方式、他社運営によるホテル保有事業がある。ホテル開発のほかに再生では、顧客視点の付加価値の創出により高収益ホテルへの再生を行っている。再生工事は、企画立案、建築デザイン、資材調達、工程進捗、引渡しまで、すべて一括して同社グループが行うことで、細部にこだわり、使いやすく清潔感のある高品質な不動産に改修する。ホテルの再生には建物だけではなく運営面での再生も重要である。ホテルに従事するスタッフと併走して再生に向けた取り組みを行っている。
「地域創生事業」は、その地域ならではの魅力や特長をテーマにした事業に取り組んでいる。同事業の背景には、日本が誇る文化・歴史・自然・食事・温泉・おもてなしなどに魅了される訪日外国人旅行者の急増があり、創業者の出身地でもある新潟県・佐渡島より事業を開始した。佐渡島では観光産業を軸に地域創生を進めており、既に100人を超える雇用を創出した。また、ホテル事業の運営を基軸に沖縄県・宮古島にも進出を果たしており、「日本の素晴らしさ」を備える地方に視点を向け、その地方ならではの魅力を生かした地域創生事業に挑戦を続けている。
4. その他事業
その他事業では、「海外開発事業」「建設事業」を手掛けている。
「海外開発事業」は、成長が期待できるベトナムへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発事業を展開している。都市型高層分譲マンション事業では、ベトナム中部に位置するダナン市において高層分譲マンションの開発・販売、運営を行っている。2019年12月には「HIYORI Garden Tower」を竣工し、住居306戸が完売している。また、分譲マンションプロジェクト第2号案件として、2024年8月に「HIYORI Aqua Tower」を着工しており、2026年9月末に竣工予定である。
「建設事業」は、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事及び電気通信工事等を行っている。ビル空間や外観・エントランスのリニューアルをプロデュース、入居テナントにとって魅力的で使いやすい空間を創造することによりテナントの満足度を高め、オーナーが保有するビルの競争力や資産価値の向上につなげている。現状分析・コンサルティング・デザインから設計・施工までをワンストップで提供することで、高い品質とコスト効率を実現している。
5. 同社グループの強み
同社グループの強みとして、不動産再生事業における内製化したワンストップサービスの提供力が挙げられる。ビルの仕入れから、再生・活用企画、建設工事、テナント誘致、管理、販売、販売後のビル経営に至るまでを一貫して内製化し、高い付加価値を創出している。この一連のワンストップサービスは、不動産サービス事業の各部門(リーシングマネジメント、ビルメンテナンス、資産コンサルティング、滞納賃料保証、貸会議室)が協業することで実現している。こうした協業を行えているのは、同社グループがフィロソフィ経営を実践するなか、最上位概念であるクレド「利他」の精神が、従業員同士をしっかりと結び付けているためである。
管理会計の手法においては、「アメーバ経営」システムを導入している。これは、グループの事業を5人~10人の小集団(アメーバ)に分類し、アメーバごとに時間当たりの採算の最大化を図るものである(時間当たり採算=売上総利益÷労働時間)。各アメーバにはリーダーが存在し、期初に設定した年間予算・月次予算(売上総利益と時間当たりアメーバ)に対する進捗管理を行う。アメーバ経営による管理会計手法は、市場に直結した部門別採算制度の確立のみならず、全員参加による従業員の採算意識向上や、経営者人財の育成につながるというメリットがある。小集団であることにより意思決定のスピードアップが図られ、環境変化による市場ニーズの変化などにも柔軟な対応が可能なため、効果的な経営手法であると弊社では考える。
6. 事業環境
マクロ的な事業環境としては、世界経済ではインフレ傾向に鈍化の兆しが見られ、欧米では利下げ局面への軟着陸が期待される中で、IMFはインフレの長期化を懸念しつつも実質成長率予測を3.2%から変更していない。米国ではFRBが利下げ開始のタイミングを計っているが、大統領選の先行きにも注意が必要である。日本経済においては、政策金利引き上げを契機に円急伸と株価急落で金融市場が混乱し先行き不透明であるが、物価上昇が続く中でも賃金と所得の増加によって個人消費は底堅く、日銀は政策金利の0.25%程度の引き上げと国債買い入れの減額を決定し継続的な利上げを示唆している。
同社グループを取り巻く事業環境として、都心オフィスビル市場では、オフィス需要の回復による空室率低下と賃料上昇の継続が期待される。オフィス新規供給量は前年より少なく、空室率は低下しており、賃料は底を打って緩やかな上昇が見込まれる。加えて、金利先高観が強まる中でも不動産への投資意欲は底堅い。ホテル・観光市場では、円安基調を背景にインバウンド需要が堅調なほか、国内の旅行需要も好調であり、2024年4~6月の訪日客の旅行消費額は2兆1,370億円と過去最高を記録した。加えて、訪日客は6月単月で313万人、1月からの半年間で1,777万人と過去最高を更新しコロナ禍前の訪日客数を超えた。訪日客数に関する政府目標は、2025年にコロナ禍前を超えるとしていたが、前倒しでの回復となった。
金融引き締め局面における金利動向は、不動産市場全体に大きな影響を与える要素である。金利上昇による資金調達コストの上昇や投資意欲の減退などが懸念されるため、金利動向に敏感に対応し適切なリスク管理を行うことが重要と言える。このような事業環境のなか、同社グループは顧客ニーズに対する高い適応力により、柔軟なビジネス戦略を展開することで金利動向や市場の変化に適切に対応し、持続可能な事業ポートフォリオの構築をしていると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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