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NECキャピタルソリューションのニュース
*15:17JST NECキャピ Research Memo(7):収益力向上とサステナビリティ経営の推進を加速(1)
■今後の見通し
1. 2024年3月期業績予想
NECキャピタルソリューション<8793>の2024年3月期の業績は、売上高260,000百万円(前期比0.7%増)、営業利益12,000百万円(同2.4%増)、経常利益12,500百万円(同0.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円(同16.8%増)を見込んでいる。官民の需要回復を反映した2023年3月期のリース成約高の伸びを背景に、リース事業の持続的な成長を図るとともに、ファイナンス事業、インベストメント事業等の高収益分野の収益拡大を計画している。国内の景気は緩やかに回復しているものの、ロシアのウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、エネルギーコストや物価の上昇は避けられない見通しである。今後、与信コストの増加、賃貸資産の価格上昇、資金調達コストの増加などが懸念されるが、同社では、コロナ緊急融資が終了し倒産リスクが高まっている中小零細企業との取引は限定的で、経営への影響は小さいとしている。また、金利上昇についても、顧客側においてリース料への転嫁を容認しやすい経済環境が醸成されてきていると考えているものの、日銀の金融政策の微妙なニュアンスが国内金利や為替市場にどのような影響を与えるかを注視していく必要があるとしている。
2.グループビジョン2030及び中期計画2025
(1) 中期計画2020の総括
同社では2013年に、「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を10年後のありたい姿とするグループビジョンを策定し、10年間で3つの中期計画を積み重ねてきた。最終となる中期計画2020(2020-2022年度)については、リース事業を中心にコロナ禍の需要を取り込み、定量的には営業利益、経常利益、3ヶ年累計当期純利益170億円以上、ROA1.3%という経営指標の目標を達成。R&I(格付投資情報センター)とJCR(日本格付研究所)の外部格付けもそれぞれ「A-」、「A」と格上げされた。また、事業戦略である「コア領域の拡充」では、NECグループを中心とした協業パートナーとのサービスモデルの創出、外資系ICT企業との取引拡充、米国NEC Financial Services, LLC社の子会社化等、ベンダーとの新たなサービス基盤を確立に取り組んだ。その他インベストメント事業において、ベンチャーを含む企業投資でIPOを含む複数のEXITや販売用不動産の売却益を取り込み、収益に大きく貢献した。「新事業の収益化」では、ヘルスケア領域におけるウェアハウジング事業でアセットを積み上げ、REITへの売却等での収益化を実現。エネルギー領域では、2022年4月より再生可能エネルギー本部を設置し、PPA(電力販売契約)サービスの取り組みを拡充。一方、観光、農業の領域では各種取り組みは推進したものの、収益化には課題を残している状況である。
事業戦略である「コア領域の拡充」では、NECグループを中心とした協業パートナーとのサービスモデル創出、外資系ICTベンダーとの医療向けやICT機器におけるサービスモデル確立に向けた取り組みが進展。さらに、米国NEC Financial Services, LLC社の子会社化等ベンダーとの新たなサービス基盤を構築したほか、インベストメント事業においてはベンチャーを含む企業投資でIPOを含む複数の大型EXITや販売用不動産の売却益等を取り込み、収益に大きく貢献した。「新事業の収益化」では、ヘルスケア領域におけるウェアハウジング事業でアセットを積み上げ、REITへの売却等で収益化を実現。PFIに関しても、2022年12月に代表企業第2号案件となる「葛西臨海水族園(仮称)整備等事業」をコンソーシアムで受注する等収益化は進展している。エネルギー領域では、2022年4月より再生可能エネルギー本部を設置し、PPA(電力販売契約)サービスの取り組みを拡充。一方、観光、農業の領域では、コロナ禍の影響が大きく、各種取り組みの収益化にはなお課題を残している状況にある。
「事業戦略を支える経営基盤の強化」では、総合マネジメントコンサルティングファームであるアビームコンサルティング(株)が、2022年2月にリース業界全体のビジネス変革を支援する共同利用型ビジネスプラットフォーム「ABeam Cloud Asset & Finance Platform」を発表。本取り組みの最初の導入予定先である同社と協同で開発に着手。2022年4月には経済産業省が定めるDX認定制度において「DX認定事業者」に認定された。また、従業員満足度の向上や社員のエンゲージメント向上に向けた取り組みとして、全従業員へのテレワーク環境の整備、働き方の見直しを実施するとともに、厚生労働大臣による「えるぼし」※の認定、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定(2023年3月)を取得している。
※女性活躍推進法に基づく認定制度で、行動計画の策定及び届出、申請をした企業のうち、取り組み状況等が優良な企業を厚生労働大臣が認定する。2017年に2段階目の認定を取得し、2021年10月には5つの基準(「採用」「継続就業」「労働時間」「管理職比率」「多様なキャリアコース」)を満たし、上位認定の3段階目を取得している。
さらに、サステナビリティへの取り組み強化として、(株)日本政策投資銀行のDBJ環境格付融資では、19年連続最高ランクを獲得。これはDBJが独自に開発したスクリーニングシステムにより企業の非財務情報を評価して優れた企業を選定し融資するものである。また(株)三井住友銀行と(株)日本総合研究所が作成したESG/SDGs(ポジティブ・インパクト金融原則適合型)評価融資AAAを獲得し、同評価に基づく資金調達契約を締結。これは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)により策定されたポジティブ・インパクト金融原則に適合した融資商品である。こうした取り組みは、資金調達の多様化とともにサステナビリティへの取り組み強化につながっていると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<YI>
1. 2024年3月期業績予想
NECキャピタルソリューション<8793>の2024年3月期の業績は、売上高260,000百万円(前期比0.7%増)、営業利益12,000百万円(同2.4%増)、経常利益12,500百万円(同0.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円(同16.8%増)を見込んでいる。官民の需要回復を反映した2023年3月期のリース成約高の伸びを背景に、リース事業の持続的な成長を図るとともに、ファイナンス事業、インベストメント事業等の高収益分野の収益拡大を計画している。国内の景気は緩やかに回復しているものの、ロシアのウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、エネルギーコストや物価の上昇は避けられない見通しである。今後、与信コストの増加、賃貸資産の価格上昇、資金調達コストの増加などが懸念されるが、同社では、コロナ緊急融資が終了し倒産リスクが高まっている中小零細企業との取引は限定的で、経営への影響は小さいとしている。また、金利上昇についても、顧客側においてリース料への転嫁を容認しやすい経済環境が醸成されてきていると考えているものの、日銀の金融政策の微妙なニュアンスが国内金利や為替市場にどのような影響を与えるかを注視していく必要があるとしている。
2.グループビジョン2030及び中期計画2025
(1) 中期計画2020の総括
同社では2013年に、「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を10年後のありたい姿とするグループビジョンを策定し、10年間で3つの中期計画を積み重ねてきた。最終となる中期計画2020(2020-2022年度)については、リース事業を中心にコロナ禍の需要を取り込み、定量的には営業利益、経常利益、3ヶ年累計当期純利益170億円以上、ROA1.3%という経営指標の目標を達成。R&I(格付投資情報センター)とJCR(日本格付研究所)の外部格付けもそれぞれ「A-」、「A」と格上げされた。また、事業戦略である「コア領域の拡充」では、NECグループを中心とした協業パートナーとのサービスモデルの創出、外資系ICT企業との取引拡充、米国NEC Financial Services, LLC社の子会社化等、ベンダーとの新たなサービス基盤を確立に取り組んだ。その他インベストメント事業において、ベンチャーを含む企業投資でIPOを含む複数のEXITや販売用不動産の売却益を取り込み、収益に大きく貢献した。「新事業の収益化」では、ヘルスケア領域におけるウェアハウジング事業でアセットを積み上げ、REITへの売却等での収益化を実現。エネルギー領域では、2022年4月より再生可能エネルギー本部を設置し、PPA(電力販売契約)サービスの取り組みを拡充。一方、観光、農業の領域では各種取り組みは推進したものの、収益化には課題を残している状況である。
事業戦略である「コア領域の拡充」では、NECグループを中心とした協業パートナーとのサービスモデル創出、外資系ICTベンダーとの医療向けやICT機器におけるサービスモデル確立に向けた取り組みが進展。さらに、米国NEC Financial Services, LLC社の子会社化等ベンダーとの新たなサービス基盤を構築したほか、インベストメント事業においてはベンチャーを含む企業投資でIPOを含む複数の大型EXITや販売用不動産の売却益等を取り込み、収益に大きく貢献した。「新事業の収益化」では、ヘルスケア領域におけるウェアハウジング事業でアセットを積み上げ、REITへの売却等で収益化を実現。PFIに関しても、2022年12月に代表企業第2号案件となる「葛西臨海水族園(仮称)整備等事業」をコンソーシアムで受注する等収益化は進展している。エネルギー領域では、2022年4月より再生可能エネルギー本部を設置し、PPA(電力販売契約)サービスの取り組みを拡充。一方、観光、農業の領域では、コロナ禍の影響が大きく、各種取り組みの収益化にはなお課題を残している状況にある。
「事業戦略を支える経営基盤の強化」では、総合マネジメントコンサルティングファームであるアビームコンサルティング(株)が、2022年2月にリース業界全体のビジネス変革を支援する共同利用型ビジネスプラットフォーム「ABeam Cloud Asset & Finance Platform」を発表。本取り組みの最初の導入予定先である同社と協同で開発に着手。2022年4月には経済産業省が定めるDX認定制度において「DX認定事業者」に認定された。また、従業員満足度の向上や社員のエンゲージメント向上に向けた取り組みとして、全従業員へのテレワーク環境の整備、働き方の見直しを実施するとともに、厚生労働大臣による「えるぼし」※の認定、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定(2023年3月)を取得している。
※女性活躍推進法に基づく認定制度で、行動計画の策定及び届出、申請をした企業のうち、取り組み状況等が優良な企業を厚生労働大臣が認定する。2017年に2段階目の認定を取得し、2021年10月には5つの基準(「採用」「継続就業」「労働時間」「管理職比率」「多様なキャリアコース」)を満たし、上位認定の3段階目を取得している。
さらに、サステナビリティへの取り組み強化として、(株)日本政策投資銀行のDBJ環境格付融資では、19年連続最高ランクを獲得。これはDBJが独自に開発したスクリーニングシステムにより企業の非財務情報を評価して優れた企業を選定し融資するものである。また(株)三井住友銀行と(株)日本総合研究所が作成したESG/SDGs(ポジティブ・インパクト金融原則適合型)評価融資AAAを獲得し、同評価に基づく資金調達契約を締結。これは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)により策定されたポジティブ・インパクト金融原則に適合した融資商品である。こうした取り組みは、資金調達の多様化とともにサステナビリティへの取り組み強化につながっていると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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