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芙蓉リース Research Memo(5):2022年3月期上期も増益基調が継続し、各段階利益で過去最高益を更新(2)

配信元:フィスコ
投稿:2022/01/19 16:05
芙蓉総合リース<8424>の決算動向

(4) エネルギー・環境
2021年9月末の「営業資産残高」(自社グループ再エネ発電事業)は、前期末比3.6%減の318億円、エクイティ投資分についても同3.5%減の110億円と、減価償却等により若干減少した。ただ、すでに中計目標値(200MW)を達成している発電容量は、前期末比2.8%増の合計291MW(自社グループ事業とエクイティ投資持分の合計)と着実に伸びており、ROAについても6.3%(前期は6.0%)と中計目標値(6.0%)を上回って推移している。特に、アライアンス先との共同投資により、「ファイナンス」から「事業」への転換が進んでいるほか、次期中計を見据え、太陽光・風力を中心とした海外展開を強化しており、アライアンス先の拡大・連携により案件情報量は増加傾向にあるようだ。また、ポストFIT時代に向けて、PPA関連事業のほか、需給調整市場※を見据えた取り組みやEVインフラ事業の展開など、新たな取り組みにも注力している。

※2021年4月から開始された、発電所等での電気の需給調整に必要な電力(調整力)を全国一体的な市場で取引する制度。


(5) 医療・福祉
2021年9月末の「営業資産残高」(他事業分野との重複を含む)は、前期末比3.1%増の1,190億円(そのうち、アクリーティブによる診療報酬債権ファクタリングは同13.3%増の230億円)と着実に伸びている。同社が推進している「芙蓉リースプラットフォーム構想」の一環として、グループの医療・福祉分野の製品・サービスを一元的に提供可能なグループ共通のWebサイトの開設を進めており、今年度中にオープン予定である。医療機関・介護事業者の課題解決をサポートするサービス提供の接点と位置付けるとともに、アライアンス先との相互送客の促進につなげる考えだ。

(6) BPOサービス事業(新領域)
BPOサービス事業を担う中核子会社の経常利益は、インボイスが18億円、アクリーティブが7億円、NOCが3億円と堅調に推移した。コロナ禍に伴って加速されてきた「働き方改革」の推進や「テレワーク」の拡大が追い風となっているようだ。また、2021年4月にNTTコミュニケーションズとの協働により、経理部門の完全テレワーク化をサポートするサービス※を開始したほか、2021年10月にはクラウド・パッケージを中心としたITソリューションを提供するWorkVisionを連結化し、BPOメニューの拡充やデジタル化による高度化に加え、ICTソリューション機能の強化を図った。

※電子化BPO・経理BPOを組み合わせた「経理・請求書トータルソリューション」。


(7) モビリティビジネス(新領域)
2021年9月末の「営業資産残高」は前期末比6.2%減の1,686億円と一旦減少したものの、2020年4月に連結化したヤマトリースとのPMI(買収後の統合プロセス)を進めることで、中長期目線でのシナジー創出による事業拡大を目指している。また、将来を見据えた活動についても、マクニカと自動運転の社会実装に向けた業務提携※1を締結したほか、EV領域の強化※2にも取り組む方針である。

※1 自動運転実証実験支援サービスプログラムを共同で構築・提供する予定。今後、各自治体や企業の実証実験に活用を図っていく方針。
※2 アライアンス先との連携により、ファイナンス機能にとどまらないEV・充電器の導入コンサルからエネルギーマネジメントまでをワンストップで提供するサービスなどを予定している。


4. 2022年3月期上期の総括
以上から、2022年3月期上期を総括すると、業績面では、戦略分野の伸長や収益性の高いポートフォリオへの入替などにより過去最高益を更新し、中期経営計画(経常利益目標)の達成も射程内に入ってきたことから、十分に評価できる結果と言えるだろう。また、将来を見据えた活動面についても、引き続き成長の軸となるであろう「不動産」におけるビジネス領域の拡大(海外展開や開発案件への参画)や、「エネルギー・環境」での新たな取り組み(PPA関連事業や海外展開)、「BPOサービス」の機能拡充(DX支援等)など、新たな展開が見えてきたところは注目すべきポイントと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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配信元: フィスコ
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