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日産東京販売ホールディングスのニュース
■業績動向
1. 自動車業界の環境
2022年3月期第2四半期の新車販売台数で気になる点は、全国の新車販売台数の伸び率が第1四半期(4月~6月)に比べて第2四半期(7月~9月)に大きく下がっている点、都内の新車販売台数との比較においてこれまで上昇してきた日産東京販売ホールディングス<8291>のシェアが低下している点の2つである。前者は、第1四半期の販売が、前年1回目の緊急事態宣言により減少した反動で大きく伸びた一方、世界的な半導体不足と東南アジアの一部で新型コロナウイルスの感染拡大に伴い実施されたロックダウンによる部品供給不足、前年第1四半期から第2四半期に需要が後ずれしたことなどにより、第2四半期の販売が鈍化したことが背景にある。したがって、都内や同社の新車販売台数も同様の傾向となっている。後者は、半導体不足の影響を強く受けた軽自動車の販売台数の減少が一時的に反映されたものと考えられる。但し、新型車などの販売により平均単価は上昇しており、後述するように売上ベースで2ケタ増を維持した。また、第2四半期の販売台数は鈍化しているが、受注はむしろ強めに推移している模様である。したがって、今後も消費ラインアップを拡大するという日産自動車の中期戦略は変わらず、シェアアップという同社の販売トレンドも続くことが予想される。
課題の多き今期だが、中でも大きな課題は半導体不足である。半導体不足は、米中対立の中、ファウンドリ(半導体受託メーカー)が中国から台湾などにシフトする動きがあり、もともとボトルネックを起こしやすい環境にあった。そこへ、コロナ禍で自動車生産が落ちた一方PC向けなど巣ごもり需要が急拡大、第2四半期にはいって自動車生産が急回復、しかも車1台当たりの半導体使用量は着実に増えており、ボトルネックが発生することになった。これに部品工場などの火災や米国の寒波、コロナ禍によるマレーシアでのロックダウンといった影響も加わり、国内自動車メーカーは今期に入って相次いで減産を打ち出すこととなった。加えて、自動車業界のジャストインタイム方式が3~4カ月のリードタイムを必要とする半導体生産にフィットしなかったことも、緊急事態時の機動性という点で、PC業界などに調達で劣後した一因といえそうだ。現在、半導体不足が解消する確かな目途はたっていないが、早くても12月、遅ければ来年度まで解消しない可能性もあるという状況である。
半導体不足の中販売台数は前年並、受注は順調に推移
2. 2022年3月期第2四半期の業績
2022年3月期第2四半期の業績は、売上高68,827百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益1,476百万円(同488.0%増)、経常利益1,438百万円(同1,632.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は809百万円(同20,125.0%増)となった。なお、同社は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期期首から適用した結果、第2四半期において売上高で3,922百万円の増加、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益で386百万円の増加となっている。
同社はコロナ禍において、衛生管理を徹底した上で店舗運営を継続し、販売台数の回復に取り組んだ。その結果、顧客の購入マインドの回復もあって受注は順調に回復したが、車両供給不足による納期遅れが発生したことで販売台数は伸び悩んだ。しかし、内容的には軽自動車の減少幅が拡大する一方、統合や「ベストプラクティス」による営業力の強化を背景に上級タイプの新型車などが好調で、車種ミックスにより平均単価が上昇、2ケタ近い増収を確保することができた。利益面では、車種ミックスの改善に加え整備や中古車販売も堅調に推移したことから、売上総利益率は0.6ポイント改善した。一方、徐々に通常の営業に戻しているが、リモート商談の増加や土日から平日への商談の分散、インターネットや雑誌で増える顧客の事前知識、事前知識による来店買上率の上昇など、コロナ禍で進んだ効率化も継続した。また、7月の統合によるコストダウンは特段にないが、集約化の効果やスケールメリットは徐々に顕在化している模様である。このため販管費の効率的使用が進み、販管費率は1.1ポイントの改善、第2四半期の営業利益はV字回復することとなった。なお、期初計画との比較では、車両不足は想定外だったが平均単価の上昇でカバーできたため、おおむね計画線で進捗している模様である。
新型車が人気、中古車や整備も堅調
3. 事業別動向
事業別では、自動車関連事業が売上高65,996百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益(営業利益)1,717百万円(同258.5%増)、情報システム関連事業が売上高2,656百万円(同15.4%減)、セグメント利益118百万円(同19.2%増)、その他が売上高174百万円(同8.1%増)、セグメント利益67百万円(同3.1%増)と、全事業とも増益を達成した。
自動車関連事業では、新車の車両供給が不足する中、新型車「ノートe-POWER」「キックスe-POWER」の受注を中心に引き続き好調に推移、EVの「リーフ」、ロングセラーの「セレナ」、軽自動車「デイズ」「ルークス」も受注台数と収益の確保に取り組んだ。中でも「ノート」上級タイプとして市場投入した「オーラ」が、輸入車志向の新たな客層を呼び込んだことで「ノート」の販売台数が安定して上位に入るなど好結果となった。中古車事業は、下取車の減少により販売台数は減少したものの市況が好調に推移したことから、例年並みの利益を維持することができた。整備事業では、3販社のシステム統合の影響はあったが、販管費削減に取り組んだことでセグメント利益は大幅増益となった。情報システム関連事業では、大型案件の受注時期に遅れが生じたため売上高は減少したが、データセンターなどのマネージドサービス事業が堅調に推移し、セグメント利益は増益を確保した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
1. 自動車業界の環境
2022年3月期第2四半期の新車販売台数で気になる点は、全国の新車販売台数の伸び率が第1四半期(4月~6月)に比べて第2四半期(7月~9月)に大きく下がっている点、都内の新車販売台数との比較においてこれまで上昇してきた日産東京販売ホールディングス<8291>のシェアが低下している点の2つである。前者は、第1四半期の販売が、前年1回目の緊急事態宣言により減少した反動で大きく伸びた一方、世界的な半導体不足と東南アジアの一部で新型コロナウイルスの感染拡大に伴い実施されたロックダウンによる部品供給不足、前年第1四半期から第2四半期に需要が後ずれしたことなどにより、第2四半期の販売が鈍化したことが背景にある。したがって、都内や同社の新車販売台数も同様の傾向となっている。後者は、半導体不足の影響を強く受けた軽自動車の販売台数の減少が一時的に反映されたものと考えられる。但し、新型車などの販売により平均単価は上昇しており、後述するように売上ベースで2ケタ増を維持した。また、第2四半期の販売台数は鈍化しているが、受注はむしろ強めに推移している模様である。したがって、今後も消費ラインアップを拡大するという日産自動車の中期戦略は変わらず、シェアアップという同社の販売トレンドも続くことが予想される。
課題の多き今期だが、中でも大きな課題は半導体不足である。半導体不足は、米中対立の中、ファウンドリ(半導体受託メーカー)が中国から台湾などにシフトする動きがあり、もともとボトルネックを起こしやすい環境にあった。そこへ、コロナ禍で自動車生産が落ちた一方PC向けなど巣ごもり需要が急拡大、第2四半期にはいって自動車生産が急回復、しかも車1台当たりの半導体使用量は着実に増えており、ボトルネックが発生することになった。これに部品工場などの火災や米国の寒波、コロナ禍によるマレーシアでのロックダウンといった影響も加わり、国内自動車メーカーは今期に入って相次いで減産を打ち出すこととなった。加えて、自動車業界のジャストインタイム方式が3~4カ月のリードタイムを必要とする半導体生産にフィットしなかったことも、緊急事態時の機動性という点で、PC業界などに調達で劣後した一因といえそうだ。現在、半導体不足が解消する確かな目途はたっていないが、早くても12月、遅ければ来年度まで解消しない可能性もあるという状況である。
半導体不足の中販売台数は前年並、受注は順調に推移
2. 2022年3月期第2四半期の業績
2022年3月期第2四半期の業績は、売上高68,827百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益1,476百万円(同488.0%増)、経常利益1,438百万円(同1,632.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は809百万円(同20,125.0%増)となった。なお、同社は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期期首から適用した結果、第2四半期において売上高で3,922百万円の増加、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益で386百万円の増加となっている。
同社はコロナ禍において、衛生管理を徹底した上で店舗運営を継続し、販売台数の回復に取り組んだ。その結果、顧客の購入マインドの回復もあって受注は順調に回復したが、車両供給不足による納期遅れが発生したことで販売台数は伸び悩んだ。しかし、内容的には軽自動車の減少幅が拡大する一方、統合や「ベストプラクティス」による営業力の強化を背景に上級タイプの新型車などが好調で、車種ミックスにより平均単価が上昇、2ケタ近い増収を確保することができた。利益面では、車種ミックスの改善に加え整備や中古車販売も堅調に推移したことから、売上総利益率は0.6ポイント改善した。一方、徐々に通常の営業に戻しているが、リモート商談の増加や土日から平日への商談の分散、インターネットや雑誌で増える顧客の事前知識、事前知識による来店買上率の上昇など、コロナ禍で進んだ効率化も継続した。また、7月の統合によるコストダウンは特段にないが、集約化の効果やスケールメリットは徐々に顕在化している模様である。このため販管費の効率的使用が進み、販管費率は1.1ポイントの改善、第2四半期の営業利益はV字回復することとなった。なお、期初計画との比較では、車両不足は想定外だったが平均単価の上昇でカバーできたため、おおむね計画線で進捗している模様である。
新型車が人気、中古車や整備も堅調
3. 事業別動向
事業別では、自動車関連事業が売上高65,996百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益(営業利益)1,717百万円(同258.5%増)、情報システム関連事業が売上高2,656百万円(同15.4%減)、セグメント利益118百万円(同19.2%増)、その他が売上高174百万円(同8.1%増)、セグメント利益67百万円(同3.1%増)と、全事業とも増益を達成した。
自動車関連事業では、新車の車両供給が不足する中、新型車「ノートe-POWER」「キックスe-POWER」の受注を中心に引き続き好調に推移、EVの「リーフ」、ロングセラーの「セレナ」、軽自動車「デイズ」「ルークス」も受注台数と収益の確保に取り組んだ。中でも「ノート」上級タイプとして市場投入した「オーラ」が、輸入車志向の新たな客層を呼び込んだことで「ノート」の販売台数が安定して上位に入るなど好結果となった。中古車事業は、下取車の減少により販売台数は減少したものの市況が好調に推移したことから、例年並みの利益を維持することができた。整備事業では、3販社のシステム統合の影響はあったが、販管費削減に取り組んだことでセグメント利益は大幅増益となった。情報システム関連事業では、大型案件の受注時期に遅れが生じたため売上高は減少したが、データセンターなどのマネージドサービス事業が堅調に推移し、セグメント利益は増益を確保した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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