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フォーバル Research Memo(1):2020年3月期第2四半期はリンクアップ売却の影響により減収も増益に転じる

配信元:フィスコ
投稿:2020/01/06 15:21
■要約

フォーバル<8275>は、「中小・中堅企業の利益に貢献する次世代経営コンサルタント集団」を旗印に事業展開を行う。IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングを得意とし、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティング等を行う。従来は情報通信機器の卸売販売を主に行っていたが、2000年代半ばに大きな売上・利益減に直面し、アイコンサービスを主軸としたコンサルティング業態に転換した。このビジネスモデルの転換が成功し、2019年3月期まで営業利益は11期連続の増益を達成している。情報化や経営改善、海外進出など中小企業が抱える様々な課題を解決するユニークな企業である。過去からM&Aに積極的に取り組んでおり、年に2件程度の実績がある。

1. 事業概要
アイコンサービスを核に成長するフォーバルビジネスグループが事業の柱である。中小企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出支援、人材・教育、環境などの経営コンサルティングサービス、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎなどを手掛ける。アイコンサービスは定期訪問と遠隔サポート・状態監視を組み合わせた効率的な支援が特徴である。サービス自体の粗利率が高く、端末(パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、コピー機など)やネットワークの状態監視から得られたビッグデータから様々な改善提案を行うことにより関連商材が拡販できるという副次的効果が大きい。結果として、アイコンサービスの売上高とフォーバルビジネスグループ及び同社全体の営業利益には高い相関性がある。直近では、中小企業にとっても働き方改革が待ったなしとなるなか、同社の一連のソリューション(業務改善コンサルティング、人材教育、システム、空間作りなど)が中小企業の生産性向上に寄与している。

2. 業績動向
2020年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比6.6%減の24,802百万円、営業利益が同13.6%増の1,540百万円、経常利益が同15.9%増の1,610百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同38.8%増の1,235百万円となり、連結子会社(株)リンクアップの売却(2019年4月)の影響で減収ではあるが、増益に転じた。売上高に関しては、見掛け上は減収となっているが、前年同期の売上高からリンクアップ分(モバイルショップビジネスグループ)を除いた売上高21,247百万円と比較すると同16.7%増の増収であり、実際には好調に推移していることがわかる。すべてのセグメントが伸びているが、特にフォーバルビジネスグループとフォーバルテレコムビジネスグループの増収額が大きい。フォーバルビジネスグループでは、アイコンサービスの成長とともに、(株)第一工芸社(2018年10月に子会社化)が寄与した。フォーバルテレコムビジネスグループでは光回線サービスやISPの販売が順調に拡大している。利益に関しては、原価率が高かったリンクアップが離脱したことも影響して売上総利益率が前年同期比4.8ポイント上昇。販管費の増加分を吸収して営業増益となった。フォーバルビジネスグループで人材採用を積極化した影響でセグメント利益は微増となった。フォーバルテレコムビジネスグループを始めとする他の事業セグメントはすべて大幅増益である。

3. 今後の見通し
2020年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比13.1%減の50,000百万円、営業利益が同2.4%増の3,300百万円、経常利益が同2.8%増の3,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.1%増の2,150百万円と連結子会社売却により減収となるものの増益を予想している。実現すれば、12期連続の営業・経常増益となる。売却したリンクアップを除いた売上高で比較すると同9.0%増であり、全セグメントで成長が続く見込みだ。営業利益では同2.4%増と着実に増加する計画である。主力のフォーバルビジネスグループが好調に推移し全社を引っ張る構造は2020年3月期も続く見込みだ。需要旺盛なアイコンサービス向けに人材投資を先行しており、2020年3月期中に成果に結びつくかがカギとなるだろう。第2四半期の売上高進捗率は49.6%であり、前年同期の46.2%を上回っている。営業利益に関しても、第2四半期の進捗率は46.7%であり、前年同期の42.1%を上回っている。ちなみに、同社の業績は例年下期の業績が高くなる傾向にあるため、第2四半期時点でほぼ50%に到達していることは好調の証である。全体としてモバイルショップビジネスグループ離脱のマイナスを、既存事業の成長と収益向上で十分カバーできると予想する。

4. 成長戦略
同社はこれまでもM&Aを活用してグループを拡大してきた。近年のM&Aのパターンは2つある。1つは「中小企業向けコンテンツ強化」である。同社は「One Stopフォーバル」を標榜し、中小企業の経営改善に向けた様々なコンテンツの量と質を向上させている。具体事例としては、(株)アイテック(教育サービス、2013年10月)の子会社化により人材教育分野のサービスを拡大する契機とした。近年では、(株)エレバム(LEDの製造販売、2019年2月)、(株)エム・アイ(システム開発、2019年10月)の子会社化がこのパターンであり、既存プロダクトの幅を広げるとともに、コンテンツの内製化により収益力を向上させる効果が期待される。もう1つのパターンは、「アイコンサービス潜在顧客の獲得」である。アイコンサービスを拡大するために、これまでOEM提供を積極的に行い伸ばしてきたが、M&Aも併用する。特に親和性が高いのは事務機器販売業などのBtoB顧客を持つ会社である。アイコンサービスを取り扱い始めるとその販売会社の業績は向上することが証明されており、同社にとってはリスクの少ない投資となる。近年では、第一工芸社(オフィス空間、2018年10月)、(株)システムサポート札幌(事務機器販売、2019年3月)の子会社化がこのパターンである。子会社化する対象企業には、業績が不振の企業も多いが、いずれの企業も数年で再生を果たし黒字化させてきた実績がある。これは同社が中小企業支援の最前線で日々経営者と対峙している経験とノウハウが、再生支援に生かされるからだろう。近い将来、中小企業の経営者が大量に引退し事業承継がピークを迎えることが想定され、今後もM&Aを活用した同社の成長から目が離せない。

5. 株主還元策
同社は、配当による株主への利益還元を重要な経営課題の1つとして認識している。配当金の決定に関しては、今後の事業計画や財務状況など、中長期的観点から内部留保と安定した成果配分、双方のバランスに配慮して配当金を決定するとしており、配当性向は公約していない。過去の実績では、安定的な利益成長を背景に継続的な増配を続けており、配当性向は30%前後を維持してきた。2020年3月期は、配当金26円(1円増配)、配当性向30.4%を予想する。実現すれば8年連続の増配となる。

■Key Points
・2020年3月期第2四半期はリンクアップ売却の影響により減収も増益に転じる。全4セグメントが順調
・リンクアップの連結除外により財務の安全性がさらに向上
・M&Aを年2件以上のペースで行い、業績不振企業もすべて再生に成功。目的は「中小企業向けコンテンツ強化」と「アイコンサービス潜在顧客の獲得」
・2020年3月期は26円(1円増配)、配当性向30.4%を予想。安定した増配が魅力、8年連続の増配を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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配信元: フィスコ

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