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コメリのニュース
■重点5分野の取り組み状況と中期計画
1. 重点5分野の取り組み状況
ソルクシーズ<4284>は今後の成長戦略として、FinTech、自動運転、IoT、クラウド、AIの5分野を重点分野と位置付け、積極的に事業展開に取り組んでいる。
(1) FinTech
FinTech分野での新たな取り組みとして、2018年7月に資本業務提携を発表したジーフィットとの取り組みが注目される。ジーフィットはFXのシステムトレード用アプリケーション運用サービス「シストレクラウド」の開発、運営等を行うFinTech企業で、2015年創業のベンチャー企業となる。売上規模は2018年12月期見込みで50百万円とまだ小さいが、「シストレクラウド」は本来、顧客が利用するシステムトレード用アプリケーションを顧客に代わって導入・設定・保守・運用するサービスで、簡単にFXのシステムトレードが始められるサービスとして注目を集めつつある。今回、ジーフィットに対して3.8%の出資を行い、今後、両社で「シストレクラウド」の機能強化に向けた開発を進めていくほか、FX取引所向けのシステム開発などにも展開していく。また、将来的には株式や仮想通貨版の「シストレクラウド」を共同開発していく可能性もあり、今後の展開が注目される。
なお、SBIホールディングス<8473>のグループ会社と協業して、仮想通貨取引所のシステム開発やブロックチェーン等の開発を行っているが、業績へのインパクトは軽微にとどまる見通しだ。
(2) IoT
IoT分野ではイー・アイ・ソルが「IoT/予知保全システム」の提供を2018年7月より開始したことを発表している。製造ラインにおける工作機械等の異常をIoT技術で事前に予知保全することを可能としたソリューションシステムとなる。生産設備の状態を音/振動/電流等の各種データを計測し、収集・解析することで異常時の判定をコンピュータ上で行うシステムとなる。計測デバイスはNatinal Instrumentsの「CompactRIO」を、上位管理ソフトにはBoschの「Production Performance Manager(PPM)」を用い、同社の組込ソリューション技術を組み合わせることで、顧客ごとに最適なIoTシステムを提供していくこととなる。
(3) クラウドサービス
クラウドサービスについては、「Fleekdrive」(クラウド型ファイル共有サービス)、「Fleekform」(クラウド帳票サービス)の拡販に取り組んでいる。2017年12月期末の契約社数は約250社(2016年12月期末は約160社)で、2018年12月期までに300社まで拡大し、単月ベースでの黒字化を目指している。顧客ターゲットは大企業が中心で、2018年12月期第3四半期からは海外市場での販売も本格的に開始する。具体的には、資本業務提携先である豊田通商のシンガポール子会社、TT Network Integration Asia Pte.Ltd.(以下、TTNI-A)と販売代理店契約を締結し、ASEANを始めとする欧米等のTTNIグループのネットワークを通じて「Fleekdrive」シリーズの拡販を現地日系企業向け中心に進めていく計画だ。
「Fleekdrive」は1つの仕事を複数の人が共同で進める“共同作業”にフォーカスし、単純なファイルの管理や共有だけでなく、リアルタイムにチャットでコミュニケーションをとりながら、クラウド上でファイル(米MicrosoftのExcel等)を共同編集することが可能なファイルコラボレーションサービス。競合としては、米BOXの「box」がある。「Fleekdrive」シリーズの優位点としては、帳票機能サービスと組み合わせて利用できることにある。共同編集作業は最大で5人同時で行うことが可能となっている。なお、クラウドはAWSのプラットフォームで提供している。
また、「Fleekform」シリーズとして給与計算アプリとなる「Fleekform給与」もリリースしており、今後は企業の業務効率向上に寄与するアプリケーション機能の開発・提供をアライアンスも含めて拡充していく計画となっている。同社では同事業が軌道に乗った段階で分社化し、将来的に株式上場を目指していくことにしている。
(4) AI
AI分野では2017年6月にアックスの株式を14%取得し、協業を進めている。アックスは自動運転用基本OSである「Autoware」の開発サポートやコンサルティング、自動運転等に必要となるAI技術の開発を手掛けるベンチャー企業である。協業の取り組みとしては、2018年3月よりコメリ<8218>グループのシステム開発会社である(株)ビット・エイに対して、AIをビジネス活用することを目的とした勉強会を共同で開始しており、今後のコメリグループの業務システムにおいてAI技術を取り入れた新規システムの開発につなげていきたい考えだ。ビット・エイは同社の第2位株主であり、ソフトウェア開発事業の主要顧客の1社でもある。
また、「Fleekdrive」シリーズについてもアックスのAI技術を活用した新機能の開発に着手している。ワークフローの自動生成や「Fleekform」の各種フォームの自動判定・編集業務にAI技術を活用し、業務効率の大幅な向上を目指していく。そのほか、同社が第2位株主として出資しているエーアイが音声合成技術で国内トップクラスの技術を持っており、同技術を活用したソリューションサービスを開発していくことも予想される。
(5) 自動運転
自動運転等の次世代車載システム分野では、豊田通商と資本業務提携を締結したこともあり、今後はエクスモーションを始めとした同社グループとトヨタグループ(トヨタ自動車<7203>)との取引拡大が進むものと予想される。なお、自動運転については自動車分野以外にも農業機械や建設機械で開発が活発化しており、開発支援コンサルティングのニーズも増加している。現在は、自動車業界向けの引き合いで手いっぱいだが、今後、コンサルタントの人員増強が進めば、他業界向けへの展開も進んでいくことが予想される。
2020年12月期に連結経常利益1,100百万円を目指す
2. 3ヶ年中期計画
3ヶ年の中期計画では最終年度となる2020年12月期に売上高14,500百万円、経常利益1,100百万円を目標として掲げている。年平均成長率では売上高で1.1%、経常利益で30.0%となり、経常利益率は2017年12月期の4.9%から7.6%まで上昇する計画となっている。売上高に関しては重点5分野を中心に拡大していくことになる。利益ベースで成長率が大きく見えるが、これは2017年12月期及び2018年12月期においてソフトウェア開発事業で不採算プロジェクトが発生した影響によるもので、同要因を除けば利益についても着実な成長を見込んでいることになる。不採算プロジェクトについては前述したとおり収束しており、現在は営業活動も通常の状態に戻っていることから、2019年12月期の売上高14,000百万円、営業利益1,000百万円については達成可能な状況になっていると弊社では見ている。子会社ではエクスモーションやイー・アイ・ソルの成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 重点5分野の取り組み状況
ソルクシーズ<4284>は今後の成長戦略として、FinTech、自動運転、IoT、クラウド、AIの5分野を重点分野と位置付け、積極的に事業展開に取り組んでいる。
(1) FinTech
FinTech分野での新たな取り組みとして、2018年7月に資本業務提携を発表したジーフィットとの取り組みが注目される。ジーフィットはFXのシステムトレード用アプリケーション運用サービス「シストレクラウド」の開発、運営等を行うFinTech企業で、2015年創業のベンチャー企業となる。売上規模は2018年12月期見込みで50百万円とまだ小さいが、「シストレクラウド」は本来、顧客が利用するシステムトレード用アプリケーションを顧客に代わって導入・設定・保守・運用するサービスで、簡単にFXのシステムトレードが始められるサービスとして注目を集めつつある。今回、ジーフィットに対して3.8%の出資を行い、今後、両社で「シストレクラウド」の機能強化に向けた開発を進めていくほか、FX取引所向けのシステム開発などにも展開していく。また、将来的には株式や仮想通貨版の「シストレクラウド」を共同開発していく可能性もあり、今後の展開が注目される。
なお、SBIホールディングス<8473>のグループ会社と協業して、仮想通貨取引所のシステム開発やブロックチェーン等の開発を行っているが、業績へのインパクトは軽微にとどまる見通しだ。
(2) IoT
IoT分野ではイー・アイ・ソルが「IoT/予知保全システム」の提供を2018年7月より開始したことを発表している。製造ラインにおける工作機械等の異常をIoT技術で事前に予知保全することを可能としたソリューションシステムとなる。生産設備の状態を音/振動/電流等の各種データを計測し、収集・解析することで異常時の判定をコンピュータ上で行うシステムとなる。計測デバイスはNatinal Instrumentsの「CompactRIO」を、上位管理ソフトにはBoschの「Production Performance Manager(PPM)」を用い、同社の組込ソリューション技術を組み合わせることで、顧客ごとに最適なIoTシステムを提供していくこととなる。
(3) クラウドサービス
クラウドサービスについては、「Fleekdrive」(クラウド型ファイル共有サービス)、「Fleekform」(クラウド帳票サービス)の拡販に取り組んでいる。2017年12月期末の契約社数は約250社(2016年12月期末は約160社)で、2018年12月期までに300社まで拡大し、単月ベースでの黒字化を目指している。顧客ターゲットは大企業が中心で、2018年12月期第3四半期からは海外市場での販売も本格的に開始する。具体的には、資本業務提携先である豊田通商のシンガポール子会社、TT Network Integration Asia Pte.Ltd.(以下、TTNI-A)と販売代理店契約を締結し、ASEANを始めとする欧米等のTTNIグループのネットワークを通じて「Fleekdrive」シリーズの拡販を現地日系企業向け中心に進めていく計画だ。
「Fleekdrive」は1つの仕事を複数の人が共同で進める“共同作業”にフォーカスし、単純なファイルの管理や共有だけでなく、リアルタイムにチャットでコミュニケーションをとりながら、クラウド上でファイル(米Microsoft
また、「Fleekform」シリーズとして給与計算アプリとなる「Fleekform給与」もリリースしており、今後は企業の業務効率向上に寄与するアプリケーション機能の開発・提供をアライアンスも含めて拡充していく計画となっている。同社では同事業が軌道に乗った段階で分社化し、将来的に株式上場を目指していくことにしている。
(4) AI
AI分野では2017年6月にアックスの株式を14%取得し、協業を進めている。アックスは自動運転用基本OSである「Autoware」の開発サポートやコンサルティング、自動運転等に必要となるAI技術の開発を手掛けるベンチャー企業である。協業の取り組みとしては、2018年3月よりコメリ<8218>グループのシステム開発会社である(株)ビット・エイに対して、AIをビジネス活用することを目的とした勉強会を共同で開始しており、今後のコメリグループの業務システムにおいてAI技術を取り入れた新規システムの開発につなげていきたい考えだ。ビット・エイは同社の第2位株主であり、ソフトウェア開発事業の主要顧客の1社でもある。
また、「Fleekdrive」シリーズについてもアックスのAI技術を活用した新機能の開発に着手している。ワークフローの自動生成や「Fleekform」の各種フォームの自動判定・編集業務にAI技術を活用し、業務効率の大幅な向上を目指していく。そのほか、同社が第2位株主として出資しているエーアイが音声合成技術で国内トップクラスの技術を持っており、同技術を活用したソリューションサービスを開発していくことも予想される。
(5) 自動運転
自動運転等の次世代車載システム分野では、豊田通商と資本業務提携を締結したこともあり、今後はエクスモーションを始めとした同社グループとトヨタグループ(トヨタ自動車<7203>)との取引拡大が進むものと予想される。なお、自動運転については自動車分野以外にも農業機械や建設機械で開発が活発化しており、開発支援コンサルティングのニーズも増加している。現在は、自動車業界向けの引き合いで手いっぱいだが、今後、コンサルタントの人員増強が進めば、他業界向けへの展開も進んでいくことが予想される。
2020年12月期に連結経常利益1,100百万円を目指す
2. 3ヶ年中期計画
3ヶ年の中期計画では最終年度となる2020年12月期に売上高14,500百万円、経常利益1,100百万円を目標として掲げている。年平均成長率では売上高で1.1%、経常利益で30.0%となり、経常利益率は2017年12月期の4.9%から7.6%まで上昇する計画となっている。売上高に関しては重点5分野を中心に拡大していくことになる。利益ベースで成長率が大きく見えるが、これは2017年12月期及び2018年12月期においてソフトウェア開発事業で不採算プロジェクトが発生した影響によるもので、同要因を除けば利益についても着実な成長を見込んでいることになる。不採算プロジェクトについては前述したとおり収束しており、現在は営業活動も通常の状態に戻っていることから、2019年12月期の売上高14,000百万円、営業利益1,000百万円については達成可能な状況になっていると弊社では見ている。子会社ではエクスモーションやイー・アイ・ソルの成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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