加賀電子のニュース
【QAあり】加賀電子、創業60周年に向けた次期中計を発表 2027年度の売上高8,000億円以上、営業利益360億円以上を目指す
次期中期経営計画 2027
門良一氏(以下、門):加賀電子、代表取締役 社長執行役員の門です。平素は当社のIR活動にご支援、ご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。
それではこれより、今般新たに策定しました、2025年度からスタートする3ヶ年計画、「次期中期経営計画2027」について、ご説明します。
すでに11月6日の中間決算発表と同時に概略を公表していますが、本日はその内容も含め、もう一段ブレイクダウンした内容についてご説明します。
加賀電子のフィロソフィー
1枚目のスライドは、当社のフィロソフィーを改めてお示ししています。
創業以来の「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、「我が国業界No.1企業」と「グローバル競争に勝ち残る企業」のビジョン実現を目指しています。
アジェンダ(本日お伝えしたいポイント)
こちらでは、本日お伝えしたいポイントをアジェンダとしてまとめています。
次期中計の発表以降、アナリストや投資家のみなさまからよくいただく質問や関心事項を5つのテーマに整理しました。
中でもポイントは、次期中計の経営目標を「売上高8,000億円、営業利益360億円、ROE12パーセント」をミニマムターゲットとしたこと、キャッシュアロケーションは、「成長投資」と「株主還元」に重点配分すること、株主還元は、配当性向を引き上げるとともにDOE4パーセントを新たな指標として設定したこと、などです。
それぞれ、次ページ以降で具体的にご説明します。
中期経営計画 2024の振り返り:定量目標
まずは、現中計の総括です。
経営目標に対しましては、計画初年度の2022年度に、新規M&Aを除いた「売上高」「営業利益」「ROE」の各項目を2年前倒しで達成しました。
その実績を踏まえ、2023年5月に最終年度の業績見通しをアップデートし、「最新見通し」として公表しましたが、当時想定できなかった在庫調整の長期化や賃上げなどの影響もあり、2024年度業績予想と「最新見通し」とは乖離がある状況となっています。
この業績予想の数値は「コミットメント」として、また、最新見通しは「チャレンジ目標」として位置づけ、総仕上げに取り組んでいるところです。
中期経営計画 2024の振り返り:定性目標
続いて、4つの基本方針と重点課題に対する取り組み状況です。
「更なる収益力の向上」については、EMSビジネスの強化を目的に、マレーシア、トルコ、メキシコの各工場の生産能力増強に努めてきました。今年度もメキシコに新工場を建設し、4月から稼働を開始したところです。
「経営基盤の高度化」については、デジタル技術を活用したツールの導入を推進したほか、インフレ手当支給や、今年の4月には賃上げも実施しました。また、サステナビリティ経営として、E・S・Gの各課題にも積極的に取り組みました。
しかしながら、「新規事業の創出」に関しては、事業譲受やベンチャー企業への出資案件を実行しましたが、新規M&Aは現時点では大きな成果は残すことができておらず、△(三角)の評価としています。
環境・リスク認識
ここから、次期中期経営計画について、ご説明します。
このスライドは、主にマクロ環境を要因とするリスク認識について簡潔にまとめたものです。当社グループはグローバルに展開していますので、日本国内のみならず世界各国の影響を受けています。
PEST分析を通じて、政治的要因による規制変更や地政学リスク、経済的要因である主要国の景気後退や急激な為替変動リスク、あるいは社会や技術革新を要因とするリスクを十分に把握し、これらの変化に応じた柔軟な対応を進めることで、さらなる競争優位を構築していきたいと考えています。
中期経営計画 2027(2025~2027年度):概念図
次のスライドでは、次期中計の概念をビジュアルでお示ししています。
まず全体の大きな流れとしては、冒頭ご説明しました「経営ビジョン」の実現に向けて、創業60周年を迎える2028年度には、売上高1兆円の大台を目指していく、というシナリオに変わりはありません。
それを見据え、まず既存の中核事業の収益成長によるオーガニックでの売上高を「7,000億円以上」とし、この上に新規事業の創出やM&Aなどによるインオーガニック成長を加えることで、「8,000億円以上」の売上高を経営目標としています。
計数の詳細については、後ほどご説明します。
基本方針と重点施策
次期中計の基本方針と重点施策について、ご説明します。
基本方針は、「収益性と資本効率を重視した経営により、企業価値を高める」としました。私は以前から「利益重視の経営」を掲げていますが、この考えは維持しつつ、さらに資本効率を意識した経営を実践することにより、企業価値の更なる向上を目指していきます。
重点施策は3点ございます。
1点目の「更なる収益力の向上」については、中核事業の拡大に加えて、M&Aへの挑戦と新規事業の創出に取り組んでいきます。
2点目は「経営基盤の高度化」です。ここでは資本政策を充実すべく、キャッシュアロケーションの考え方を明らかにするとともに、株主還元方針についても見直しました。
3点目の「SDGs経営の推進」については、2021年11月に策定したサステナビリティ中長期経営計画に基づき、ESGに関連する経営課題への対応を加速していきます。
経営目標
続いて、経営目標です。2028年度の売上高1兆円を視野に入れ、「売上高8,000億円以上」「営業利益360億円以上」を経営目標としました。
このうち、オーガニック成長による目標値は、「売上高7,000億円以上」「営業利益350億円以上」としました。営業利益率は、厳しい競争環境の中でも5.0パーセントは確保したいと考えています。
今期の予想値からの年平均成長率は、売上高で8.0パーセント、営業利益で10.4パーセントとなります。また、基本方針に「資本効率重視」を掲げているとおり、ROEの最終年度の目標は、現状の株主資本コスト10パーセントを意識して、「12.0パーセント以上」としました。
<参考>事業セグメント別の内訳
こちらは、オーガニック成長でのセグメント別の内訳をお示ししています。
特にEMS事業は成長ドライバーと位置付けており、ご覧のとおり、売上高・営業利益の年平均成長率は20パーセント程度と高い目標を置いています。EMS事業をどう伸ばしていくか、戦略・施策については後ほどご説明します。
また、商社ビジネスである電子部品事業については、当社の祖業でもあり、着実な成長を見込んでいます。
事業ポートフォリオマネジメントの強化
次に、「事業ポートフォリオマネジメントの強化」についてご説明します。
基本的な考え方は、加賀電子の事業部、グループ会社単位で、それぞれの成長性や競争優位性などを踏まえて、中期的な方向性を分析・検討し、その方向性に応じて経営資源を適切に配分することです。
具体的な運営については、下段にフレームワークのイメージをお示ししていますが、売上の成長性を縦軸に、営業利益率を横軸に置き、4つの領域に分類し、各事業の現状を可視化します。
当然、この図の右上の方向に進むことが望ましいので、経営資源を重点的に配分したり、生産性を上げ利益率の向上を図るなどの施策を実行していきます。
とりわけ左下の「判断事業」に分類される事業に関しては、今後の方向性を見極め、右側のゾーンに移行させるための対策を講じるか、グループ内再編やノンコア事業のカーブアウトなども検討していくことになります。
成長戦略マトリックス(事業別・会社別)
こちらのスライドは、会社別・事業別の成長戦略をマトリックス化したものです。
独立系エレクトロニクス総合商社として、部品調達に留まらず、半完成品・完成品の生産受託、販売からアフターサービスまで、ワンストップサービスの強みを最大化することを基本的な考え方としています。
各社の特徴や強みを活かし、それぞれ事業を展開していくことでグループの総合力を発揮していきます。最終年度の会社別のオーガニック成長による売り上げ目標は、加賀電子4,000億円、加賀FEI2,600億円、エクセル400億円の内訳となります。
EMS事業のグローバル戦略
こちらは、成長ドライバーであるEMS事業のグローバル戦略をご説明します。
もともと1970年代に「加工取引」としてスタートしたEMS事業は、お客様の要望にお応えするかたちで自社工場を順次展開し、今や世界10か国に21拠点を構えるまでに成長しました。
当社が強みとする、世界5極をカバーするグローバル生産体制のもと、お客様のものづくりに寄り添い、各市場に根ざした「地産地消型」の事業展開を進めていきます。
それぞれの地域での主要施策や注力分野は記載のとおりです。この10年、各地域において順調に事業を拡大してきましたが、次の3年では、日本、アジア、米州での成長に期待しています。
キャッシュアロケーション
続きまして、キャッシュアロケーションの考え方をご説明します。
企業価値の向上に向けて、財務規律を維持しつつ、創出したキャッシュは「成長投資」と「株主還元」に重点的に配分することを基本的な考え方としています。
中計期間中の3ヶ年で稼ぐ営業キャッシュフローを600億円程度と試算し、その配分は、株主還元には220億円から300億円規模を、新規M&AやEMS事業における生産能力増強など成長投資には300億円超を、目安に考えています。
ただし、M&Aについては、必要な資金の規模が大きくぶれる可能性がありますので、超過する場合はその部分を外部からの借り入れで賄い、また、不要になった場合は株主還元に充当する考えです。
株主還元方針
続きまして、株主還元方針についてご説明します。上段に記載しています3点が、次期中計期間中の株主還元方針の骨子です。
まず1点目は、連結配当性向の目安を従来の「25パーセントから35パーセント」より「30パーセントから40パーセント」に引き上げました。株主のみなさまに、より積極的に還元する姿勢を明確にし、利益成長に応じた配当成長を目指します。
次に、普通配当には、新たな指標としてDOE(連結株主資本配当率)を導入し、4パーセントを目安として、安定的かつ継続的な配当を実施します。
最後は、利益水準や資本効率性に応じた施策として、特別配当や自己株式取得を機動的に 実施します。
SDGs経営(サステナビリティ)への取り組み
SDGs経営への取り組みとしては、環境、社会、ガバナンスのテーマごとに、「サステナビリティ中長期経営計画」で策定した目標の達成を目指しながら、持続可能な社会の実現に積極的な役割を果たすとともに、企業価値の持続的成長に取り組んでいきます。
資本コスト・株価を意識した経営
最後になりますが、この機会に、資本コストや株価を意識した経営について、一言触れておきます。本年1月に公表した当社の対応方針のアップデートとなります。
まず現状認識として、ROEは、株主資本コストを上回る水準で推移していますが、直近2年は低下傾向となっています。また、PBRは、前中計期間から改善傾向が顕著となり、2023年2月以降は1倍を超えて推移していましたが、8月の株価大暴落以降は1倍を切っている状況にあります。
今後の取り組みの4点については大きな変更はありません。本日ご説明した次期中計の着実な実行、配当政策の見直しによる株主満足度の向上、そして、SDGs経営の推進など、当社経営の取り組みに対して、株式市場のみなさまから正当なご評価をいただけるよう、これからも積極的な情報発信に努めていきます。
私からのご説明は以上です。ありがとうございました。
2025年3月期 第2四半期 決算概要
石原康広氏:加賀電子の石原です。平素よりご支援、お引き立てを賜り、誠にありがとうございます。また、本日は当社の決算概要説明をご視聴いただき、厚く御礼申し上げます。
それでは、私より、2025年3月期第2四半期決算の概要をご説明申し上げます。
2025年3月期第2四半期 サマリー
2025年3月期第2四半期の実績です。売上高は、前年比159億円減収の2,590億円となりました。主力の電子部品事業での、主要顧客における在庫調整の長期化や、一部の特定大口顧客向け取引縮小などの影響が、売上高減少の主な理由となります。
営業利益は、前年比23億円減益の115億円となりました。販売ミックス良化により売上総利益率は13.2パーセントに向上し、売上総利益は前年比2.9パーセント減に留まりましたが、賃上げの実施による人件費の増加や物流コストの上昇などの影響により販管費が増加しました。
経常利益は、為替変動の影響による為替差損の計上などにより、前年比26億円減益の112億円となり、中間純利益については、前期に特別利益として計上した投資有価証券売却益、企業買収に伴う負ののれん発生益などの剥落により、前年比34億円減益の79億円となりました。
顧客在庫調整の影響を織り込んだ社内計画に対しては、売上高でプラス40億円、営業利益ではプラス15億円と、いずれも上振れての着地となりました。第1四半期に引き続いて、この第2四半期も社内計画に対する上振れ傾向は持続しています。
続いて2025年3月期通期の業績見通しです。5月9日公表の通期業績予想に対する第2四半期の進捗ですが、売上高で46.7パーセント、営業利益で44.2パーセント、当期純利益では44.1パーセントと、いずれも想定どおりの概ね順調な進捗状況で推移しています。
上期の社内計画に対する上振れ傾向と、今後の顧客在庫調整の長期化は懸念されるものの、下期より徐々に解消し需要回復に向かう見通しを踏まえて、現時点での通期業績予想は据え置かせていただきました。
2025年3月期第2四半期 業績ハイライト
業績ハイライトは、ただいまご説明したとおりです。
当第2四半期におけるEPS(一株当たり中間純利益)は、151円15銭となりました。なお、当社は2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。本資料では、当期、前期とも株式分割後の基準に揃えて、EPSを算出しています。
当第2四半期における期中平均為替レートはドル・円で152円63銭となっており、前年比で11円63銭、通期業績予想の想定レート145円と比べても7円63銭円安に振れています。
為替の変動による前年比の影響額は、売上高で約80億円の増収、営業利益では約2億5,000万円の増益影響となっています。
2025年3月期第2四半期 セグメント別業績
セグメント別の業績です。
主力の電子部品事業においては、部品販売では、加賀FEIにおけるSoC製品等の販売は堅調に推移しましたが、主要顧客における在庫調整の影響やエクセルにおける特定大口顧客向け取引の縮小等により、減収減益となりました。
EMSビジネスでは車載向けが引き続き堅調に推移し、産業機器向けが回復したことに加え、空調機器向けは主要顧客における在庫調整の影響を受けつつも第2四半期より回復に転じつつあることなどから増収増益となりました。
主要顧客の在庫調整による影響を織り込んだ電子部品事業の上期社内計画に対しては、売上高・セグメント利益ともに計画値から上振れして着地しました。
情報機器事業においては、教育機関向けパソコン販売は好調を維持しましたが、量販店向けは主要PCメーカーにおける商品ラインナップ縮小の影響を受け低調、またLED設置ビジネスでは前々期より本格展開していた大口案件が一巡したことにより、売上高は減少しました。
一方、比較的収益性の高いセキュリティソフトの販売が引き続き好調に推移したことから利益率は改善し、増益となりました。セグメント利益率は、6.2パーセントから7.5パーセントに向上しています。
ソフトウェア事業では、CG映像制作の受注が堅調に推移し、増収増益となりました。その他事業についても、PC製品およびPC周辺機器のリサイクルビジネス、アミューズメント機器やスポーツ用品の販売が順調に推移し、増収増益となりました。
7ページから8ページにも、事業セグメント別の記載がありますので、併せてご覧ください。
2025年3月期第2四半期 会社別業績
続いて会社別の業績について、ご説明します。
従来からの加賀電子グループにおいては、主要顧客における在庫調整の影響から売上高は減少していますが、販売ミックスの良化やEMSビジネスが順調に回復してきていることから売上総利益率は0.9ポイント良化した16パーセントに向上し、売上総利益も僅かながら増益となっており、高い収益力を維持しています。
加賀FEIグループにおいては、主要顧客における在庫調整の影響を受けつつも、SoC製品などの販売が堅調に推移したことから、売上高・売上総利益の減少幅は限定的に抑えられています。
エクセルグループにおいては、特定大口顧客向け売上の減少はあったものの、販売ミックス良化により収益力を高め、また販管費の縮減に努めた結果、営業利益率を4.9パーセントと前年に引き続き向上させています(前々年2.7パーセント→前年4.4パーセント→当期4.9パーセント)。
全社合計においても、EMSビジネスの回復や販売ミックスの良化などにより、売上総利益率は前年比で0.4ポイント良化し13.2パーセントに向上しています。また、当期にグループ全体で実施した、賃上げによる人件費の増加や物流コストの上昇などから販管費が増加し、営業利益率は0.6ポイント低下した4.4パーセントで着地しました。
引き続き、収益性の向上と販管費の縮減努力などにより、逆境に負けない筋肉質な経営基盤作りに努めて参ります。
6ページ目のグラフも併せてご覧ください。
2025年3月期第2四半期 業績ハイライト(直近3カ月)
直近3ヶ月の全体の業績ですが、第1四半期と比較し、第2四半期は売上高・売上総利益は増加、売上総利益率は高い数値で維持、販管費は減少、営業利益率は0.3ポイント良化した4.6パーセントで着地しており、第1四半期から第2四半期にかけて営業利益は増益傾向にあります。
10ページから14ページにも、直近3ヶ月間のセグメント別、会社別の情報がございますので、併せてご覧ください。
2025年3月期第2四半期 売上高/営業利益 変動要因
売上高・営業利益の変動要因について、ご説明します。
売上高では、エクセルの特定大口顧客向け取引の減少により52億円、前々期より継続していたLED設置ビジネス大口案件の一巡により18億円、主要顧客における在庫調整の影響により89億円、それぞれ減少しました。
営業利益では、前年比23億円の減益となりましたが、主な要因は、特定大口顧客向け取引の減少による4億円、主要顧客の在庫調整の影響による6億円の減益、グループ全体で実施した賃上げによる人件費の増加や、物流コストの上昇による販管費増加のため13億円の減益という内訳となっています。
一方、主要顧客における在庫調整の影響を織り込んでいた上半期の社内計画比では、販売数量の増加・販売ミックスの良化、販管費の節減などにより、売上高で40億円、営業利益では15億円の上振れ着地となりました。
貸借対照表主要項目
ここからは、貸借対照表の状況について、ご説明します。
はじめに資産の部となります。流動資産は、売掛金の減少などにより前期末比で27億円減少した2,419億円に、固定資産は、EMSの生産設備増強などによる有形固定資産の増加、投資有価証券の増加などにより前期末比で50億円増加した472億円となり、総資産合計では、前期末比で23億円増加した2,891億円となりました。
負債の部は、支払手形及び買掛金の減少などにより前期末比で56億円減少し1,299億円に、純資産の部は、利益剰余金の積み増しなどにより前期末比で79億円増加した1,592億円となりました。
自己資本比率は前期末の52.6パーセントから2.4ポイント良化した55.0パーセントとなり、財務の健全性は引き続き安定しています。
貸借対照表主要項目
棚卸資産は、前期末比で11億円ほど増加した558億円となりました。前年同期末比では77億円の削減となります。
当上半期では期中の在庫増加もほとんど見られず、在庫水準は適正にコントロールされています。期末に向けて、更なる在庫削減に取り組んで参ります。
貸借対照表主要項目/キャッシュフロー
有利子負債は前期末から9億円減少した333億円、利益獲得による自己資本の積み増しによりD/Eレシオは0.21パーセントと低い水準にあります。
現預金残高は前期末比で82億円増加した748億円となり、現預金の積み増しによって、ネットD/Eレシオはマイナス0.26パーセントと前期末に引き続いてマイナス値に抑えられており、財務基盤の健全性・体質強化に努めて、来るべき成長投資に備えているところです。
2025年3月期 通期業績予想
2025年3月期の通期業績予想について、ご説明します。
以上のような、第2四半期の業績、社内計画に対する進捗状況から、通期業績予想売上高5,550億円、営業利益・経常利益260億円、当期純利益180億円については、今後の顧客在庫調整の長期化は懸念されるものの、下期より徐々に解消し需要回復に向かう見通しを踏まえて、現時点では変更をせず、据え置かせていただきました。
また、年間配当金についても、当初の計画のままとさせていただきます。なお、通期業績予想を踏まえた、当期末時におけるROEは11.5パーセントを見込んでいます。
24ページ以降には参考資料として、中期経営計画に沿ったセグメントによる任意開示の情報や、3ヶ月毎のセグメント別・地域別の売上高・利益の推移、直近5年の業績トレンド、為替レート・為替感応度の情報なども載せていますので、併せてご覧ください。
私からの、当第2四半期の決算概要説明は以上となります。ご視聴、誠にありがとうございました。
質疑応答:次期中計の成長ドライバーについて
質問者:次期中計で一番成長ドライバーになってほしいのはEMS事業かと思っています。実際に、今後3年間で売上高を2倍近く伸ばす意欲的な目標という印象です。この成長目標について、セグメントに分けるなど、深掘りして教えてください。
筧新太郎氏(以下、筧):EMS事業は、第2四半期の数字にも表れていますが、若干持ち直してきました。少し斑模様ではありますが、産業機器関連をはじめとして盛り返してきている感触です。
次期中計の成長目標が強気というお話がありましたが、これは現場から積み上げた計画そのもので、ストレッチはしていません。当社の現場は保守的な計画を出してくる質なのですが、その中で出てきた数字ですので、達成確度は高いと思っています。
これからのEMS事業としての成長は、もちろんメキシコもありますが、一つの特徴的な動きは中国です。中国はまだ景気減速が続いていますが、今中国のメーカーはこぞって海外に出ようとしています。当社の中国顧客数社も、既に当社と組んで生産をASEANに移しています。
この動きは今後ますます、トランプ氏が大統領になることもあって、加速されると見ています。これからの大きな伸びしろとして、中国系メーカーと組んで生産をASEANに移し、そこから米国に輸出するというビジネスに期待しています。
質問者:EMS事業のメキシコでの成長は大きなポイントになると思いますが、今般の大統領選挙を踏まえて、不透明感も出るかもしれません。そのあたりについてコメントをお願いします。
筧:メキシコについてはみなさまご心配されていると思いますが、当社がEMS事業で生産しているのは、いわゆる「部品」です。自動車用照明ユニットの一部の部品であったり、空調機器の一部の部品であったり、すなわち、完成品ではありません。
今のところトランプ氏は「自動車の完成品には関税をかけるぞ」ということですが、部品の話はまだ出ていません。前回も部品には関税がかかりませんでした。
部品レベルまで関税をかけると、米国国内で完成品を組み立てているメーカーにとってもコストアップすることになります。したがって、部品レベルへ関税が回ってくるのはしばらくタイムラグがあるものと考えています。
一方、当社のメキシコ工場にとって最大の顧客は、空調機器のメーカーです。マスコミで報道されていましたが、「もし米国向けが厳しいようであれば、中南米向けに振り替える」とコメントされています。もしそのような話になれば、当社もそこにしっかりとついていって、ビジネスを確保していきたいと考えています。
質疑応答:国内のEMS事業の成長について
質問者:EMS事業の地域別の成長の中で、日本の伸びが高いと思うのですが、何を伸ばしていく計画なのか教えてください。
筧:日本の伸びは、加賀EMS十和田、旭東電気とも、当社グループに入って以降、新規顧客を取れてきています。
特に加賀EMS十和田はパイオニア時代から車載関連の生産をやっていましたので、技術レベルも高く、顧客は着実に増えてきています。ここはこれからも積極的に拡張していきたいと思っています。
旭東電気についても、以前は漏電ブレーカーなど限られた製品しか生産していなかったのですが、ここも大口の顧客がついて、かなり伸びています。これらを核に、日本はこれからも伸びてくるだろうと思っています。
白井一郎氏(以下、白井):少し補足しますと、日本の伸びの中には、先ほど門のお話にありました、加賀FEIでの太陽誘電の小型無線モジュールのビジネスがこれから当社の工場で生産が始まりますので、その分が乗ってきます。
それから、加賀FEIではE2MSと呼んでいますが、加賀FEIでこれまで仕込んでいた顧客向けの売上が次の3年には数字となって乗ってきます。これら非連続な売上が300億円程度入っています。
質疑応答:次期中計の売上目標について
質問者:8,000億円の売上目標のうち、7,000億円がオーガニック成長の売上目標のため、差し引きが1,000億円となります。ここがM&Aだと理解していますが、EMS 事業の売上目標2,300億円にはM&Aは入っていないということでしょうか?
筧:2,300億円の中にはM&Aは入っていません。しかしながら、M&Aの対象の会社は常に探しています。国内海外含めて当たっています。まだ良い候補がまだ見つかっていませんが、見つかれば積極的に仕掛けたいと思っています。
質疑応答:次期中計の会社別の業績目標の考え方について
質問者:次期中計の会社別の業績目標の考え方について、加賀電子本体は、お客様のためにということで、従来路線で伸びていくのだろうと思っています。
加賀FEIの利益率をいかに高めていくのか、エクセルの大口案件がなくなった後にどこをどう伸ばしていくのか、そのような観点で、何がどう良くなって7,000億円なり8,000億円を目指すのかについて教えてください。
筧:エクセルですが、ご指摘の大口案件の喪失に関しては、実はほとんど利益が出ない割にリスクはけっこう大きかったので「やらなくてもいいよ」ということで終了しました。おかげさまで、エクセル全体の利益率は向上しました。
従前は、エクセルは本当に低いマージンでもビジネスしていたのですが、買収後は、売上よりも利益を追求しようということで、考え方や意識をかなり変えました。それに伴って利益率も上がっています。これからも、エクセルは売上を追うことよりも、利益を稼ぐ会社に持っていきたいと考えています。
門:加賀FEIは、足元では利益率の高い商品がずれ込んでいるミックスの変化がありました。例えば、買収した太陽誘電の小型無線モジュール関係の販売がずれ込み、逆に、利益率の低いものが伸びているようなところがありまして、第1四半期から第2四半期は利益率が低下しています。
今後の成長に関しては、まだ詳細は言えませんが、来期にかけて、かなり伸びる商材が出てきますので、それに期待しているところです。
質疑応答:M&Aについて
質問者:M&Aについておうかがいします。現中計でもM&Aを成長戦略の一つに位置付けていましたが、残りまだ4ヶ月あるとはいうものの、計画期間中には実現できなかったということかと思います。
何が思ったように上手くいかなかったのかということを踏まえて、次期中計ではそれがどう変わるのか、あるいは、変わらないが良い案件をひたすら待つということなのか、考え方を教えてください。
門:当社は積極的に行いたいのですが、積極的じゃない企業が多いわけです。積極的に行おうと思っても、当社を選んでくれないといったこともありますので、その辺は慎重にかつ積極的に進めていきたいと思っています。
質問者:「総論賛成・各論反対」というような状況がずっと続いていると思います。商社同士のテイクオーバーというと逡巡する、利益が出ていない会社は少ないですし、あるいは、商権がなくなって困っているという会社もそれほど多いわけではないので、環境は変わらないように思います。次の中計でもなかなか進まないように見えるのですが、そのあたりはいかがですか?
門:強引に進めてもいいかなとも思うのですが、日本の場合はなかなかそうもいかないところもあります。そのような意味では、M&Aの環境はそれほど変わってきているわけではないですね。
質問者:M&Aへの投資額は3年で300億円超が目安ということですが、ターゲットとなるセグメントについて確認させてください。同業ということが想定に入っているのかと思いますが、それ以外の選択肢があるのかを含めて教えてください。
門:電子部品の商社およびEMS企業をターゲットとして考えています。売上規模としては、小さくても200億円から300億円、大きいものなら2,000億円程度を想定しています。
質疑応答:事業ポートフォリオマネジメントについて
質問者:事業ポートフォリオマネジメントに関して、成長していく分野に資源を投入していくことは理解できるのですが、左下の「判断事業」と目されたものについては、ある程度対策をやっていく必要があると思います。今ここに分類されている事業はどのようなものなのか、もしあれば教えていただきたいです。
門:(具体的な名称は差し控えますが)ぎりぎり黒字確保はできても、将来、成長を続けていくことが困難と思われる事業を対象にしています。
質問者:次期中計の説明資料の10ページに、A事業部、B事業部、G社とか、個別の名前を出すのがNGとは理解していますが、我々が理解するために、もう少し肉付けをしていただけると助かります。
糀谷仁志氏(以下、糀谷):今回の次期中計は、現場から積み上げた数字で売上高7,000億円になっています。フレームワーク(イメージ)と書いてあるとおり、縦軸に売上の成長性、横軸に利益率となっています。
事業体によって保守的に計画を組む現場もあれば、強気で組む現場もあって、その整合性を取るのはなかなか難しい部分があります。一旦ここに中計の計画を置いてみると、このような結果になったというのが、今回の分析として出てきたものです。
これを右上にどう持ち上げていくのかは、その中計を策定した現場といろいろと話をしながら、難しいということであれば、統廃合を含めて検討していく、また、ちょっと保守的だったということであれば、強気の計画に見直してもらうということも考えています。
今回の7,000億円は、あくまでも現場の数字であって、経営目標として8,000億円を掲げていますので、M&Aや新規事業などでの積み上げも、この1,000億円に織り込みたいと考えています。
質疑応答:無線モジュールのビジネスについて
質問者:太陽誘電から譲り受けた小型無線モジュールのビジネスは、加賀EMS十和田で生産して加賀FEIで販売することによって、利益貢献が高そうだと理解しています。
そもそもですが、その無線モジュールというのは、どのあたりに使われる製品で、どのような機能があって、どの辺が優れているのかということを教えてください。
糀谷:加賀FEIでいう無線モジュールというのは、主に2種類あります。Wi-Fiのモジュール、無線LANとBluetooth、BLE、こちらの無線モジュールになります。
BLEは世界最小の製品を太陽誘電から譲り受けて、生産も販売もしていますので、当然メーカーということになり、商社ビジネスよりは利益率はかなり高くなります。設計やその辺のリスクも加賀FEIが抱えて行っていますので、そのような部分では利益率が高くないとビジネスにならないということです。
質問者:今後数年で通信の世界も、Wi-Fiも相当変わっていくので、それに追随した製品を随時出していくということでしょうか?
糀谷:そうですね。どちらかというとBLE、Bluetooth Low Energyの製品が、かなり得意な分野です。非常に小型なものにでも入るモジュールなので、IoTデバイスは今後益々増えていくため、そのようなところで需要がかなり増えてくると思っています。
質問者:年間どれぐらいの売上高が期待できるような製品なのか、ご示唆いただくことはできますか?
白井:現在は、大体年間で40億円前後の売上規模ですが、次期中計ではこれを100億円規模に伸ばしたいと考えています。
もしお時間があれば、加賀FEIのウェブサイトで、製品情報をご覧いただけます。「CONTINECT」という独自ブランドで販売活動をしています。検索してもらえますと、いろいろな製品ラインナップがあります。
質疑応答:2025年3月期第2四半期決算について
質問者:非常にラフな質問ですが、上期は在庫調整の影響もあった中で、計画は上回ったという内容だったかと理解していますが、下期に向けて今の業況をどう捉えているのか教えてください。
在庫調整が終わって、これから成長に向けてエンジンかけるぞということなのでしょうか? あるいは、まだ斑な部分も多く、バラ色じゃないということなのでしょうか?
門:私は後者だと思っています。まだ在庫調整が終わっていないところもありますので、しっかりやらないと危ないと思っています。
産業機器関連は、日本以外はちょっとスローではありますが動き出したように思いますが、コンシューマー関連はまだもたもたしている感じです。したがって、上期は上振れましたが楽観はせず、通期予想は据え置いたという状況です。
質問者:第1四半期、第2四半期ともに、ちょっと進捗が遅いかと思っていたのですが、社内計画は上回ったという説明がありました。残り下期の営業利益145億円について、第3四半期、第4四半期のバランスは、どのような計画になっているか教えてください。
白井:ざっくりとですが、第3四半期と第4四半期の営業利益の内訳は、第3四半期は65億前後、第4四半期は差引きで80億円前後を見込んでいます。
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