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サンワテクノスのニュース
*12:21JST サンワテクノス Research Memo(1):2023年3月期業績は過去最高、PBR1.0倍超の早期実現を目指す
■要約
サンワテクノス<8137>は産業用エレクトロニクス・メカトロニクス関連の装置・機器・部品を取り扱う独立系専門商社である。電機・電子・機械の3分野にまたがって事業を展開している点と、それを生かした「双方向取引」(顧客メーカーに生産ラインの機器を納入し、そこで生産された製品を仕入れる)の2つの特長により業容を拡大してきた。取引先数は単体ベースで顧客先が約3,100社、仕入先が約2,100社となり、主な仕入先は安川電機<6506>、オムロン<6645>などである。
1. 2023年3月期業績は過去最高を更新
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比17.2%増の181,013百万円、営業利益で同58.8%増の7,630百万円と会社計画(売上高174,000百万円、営業利益6,500百万円)を上回る増収増益となり、2期連続で過去最高を更新した。半導体関連業界や自動車関連業界、太陽光関連業界で設備投資が拡大したほか、サプライチェーンリスクを意識した製造業の生産拠点見直しも進み、電機品や制御機器、電子部品などの売上が好調に推移した。営業利益は前期比で約28億円の増益となったが、円安効果で8億円、増収効果で24億円、品不足による利益率の改善で6億円の増益となり、販管費の増加10億円を吸収した。なお、顧客の前倒し発注による増益効果は5~10億円程度あったと同社は試算している。受注高は前倒し発注の動きが一段落したこともあり、前期比5.2%減の189,540百万円と減少に転じたが、受注残高は前期末比11.7%増の81,608百万円と過去最高水準に積み上がった。
2. 2024年3月期は減収減益見込みだが受注は下期以降上向きに
2024年3月期の連結業績は売上高で前期比2.9%減の175,800百万円、営業利益で同27.8%減の5,510百万円を見込んでいる。半導体業界の設備投資抑制や前期まで続いた顧客の前倒し発注の反動減が想定される一方で、EV(電気自動車)関連や太陽光関連業界の設備投資意欲は依然旺盛なこと、豊富な受注残を抱えていることなどから、売上高は微減程度に留まる見通しだ。利益面では前期の増益に寄与した為替の円安効果8億円が剥落することや、前期に前倒しで売上を計上した反動減が5~10億円の減益要因になること、景気の先行き不透明感が続いていることもあってやや保守的に見て2ケタ減益計画とした。期中平均為替レートは前期の131.4円/ドルに対して129.0円/ドルを想定している(1円/ドルの円高で約50百万円の減益要因)。受注トレンドとしては、パソコンやスマートフォンなど最終需要の回復が期待される下期以降に上向きに転じるものと予想される。
3. PBR1.0倍超を早期実現すべく中期経営計画に新たな取り組みを追加
2023年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SNS2024(Sun-Wa New Stage 2024)」では、1) イノベーションが求められる成長分野への注力、2) より高付加価値な製品と新たなソリューションの提供、3) サステナビリティ経営による持続可能な社会の実現に貢献、の3点を基本方針として取り組み、最終年度となる2025年3月期に営業利益70億円を目標に掲げた(129円/ドル前提)。脱炭素化への取り組みが世界規模で進むなか、環境に優しい製品の販売を加速するほか、新たにEMS(エネルギーマネジメントシステム)事業を推進する。また、製造拠点見直しにより需要が高まっているグローバルSCMソリューションの取り組みを強化する方針で、2024年3月期は新たにインドにも現地法人を開設する予定である。なお、同社はPBR(株価純資産倍率)1.0倍超の早期実現を目指すための新たな取り組みについても発表している。具体的には、資本収益性の向上を図るべく、「イノベーション本部」を新設し技術戦略の立案を推進するほか、資本コストや株価を意識した経営を推進する。株主還元策としては連結配当性向25~35%を目安に配当を行い、自己株式の取得についても時期や財務状況に応じて機動的に実施する方針で、IR・SR活動も拡充することにしている。2023年3月期末の1株当たり純資産は2,873円、PBRは0.7倍の水準にとどまっており、この是正に取り組んでいく。
■Key Points
・2023年3月期は活発な設備投資や前倒し発注の効果もあって過去最高業績を大幅更新
・2024年3月期は前倒し需要の反動で減収減益に転じるものの、豊富な受注残が下支え
・2025年3月期に営業利益70億円達成に向けた取り組みは順調、新たにPBR1.0倍超を目指す施策を追加
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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サンワテクノス<8137>は産業用エレクトロニクス・メカトロニクス関連の装置・機器・部品を取り扱う独立系専門商社である。電機・電子・機械の3分野にまたがって事業を展開している点と、それを生かした「双方向取引」(顧客メーカーに生産ラインの機器を納入し、そこで生産された製品を仕入れる)の2つの特長により業容を拡大してきた。取引先数は単体ベースで顧客先が約3,100社、仕入先が約2,100社となり、主な仕入先は安川電機<6506>、オムロン<6645>などである。
1. 2023年3月期業績は過去最高を更新
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比17.2%増の181,013百万円、営業利益で同58.8%増の7,630百万円と会社計画(売上高174,000百万円、営業利益6,500百万円)を上回る増収増益となり、2期連続で過去最高を更新した。半導体関連業界や自動車関連業界、太陽光関連業界で設備投資が拡大したほか、サプライチェーンリスクを意識した製造業の生産拠点見直しも進み、電機品や制御機器、電子部品などの売上が好調に推移した。営業利益は前期比で約28億円の増益となったが、円安効果で8億円、増収効果で24億円、品不足による利益率の改善で6億円の増益となり、販管費の増加10億円を吸収した。なお、顧客の前倒し発注による増益効果は5~10億円程度あったと同社は試算している。受注高は前倒し発注の動きが一段落したこともあり、前期比5.2%減の189,540百万円と減少に転じたが、受注残高は前期末比11.7%増の81,608百万円と過去最高水準に積み上がった。
2. 2024年3月期は減収減益見込みだが受注は下期以降上向きに
2024年3月期の連結業績は売上高で前期比2.9%減の175,800百万円、営業利益で同27.8%減の5,510百万円を見込んでいる。半導体業界の設備投資抑制や前期まで続いた顧客の前倒し発注の反動減が想定される一方で、EV(電気自動車)関連や太陽光関連業界の設備投資意欲は依然旺盛なこと、豊富な受注残を抱えていることなどから、売上高は微減程度に留まる見通しだ。利益面では前期の増益に寄与した為替の円安効果8億円が剥落することや、前期に前倒しで売上を計上した反動減が5~10億円の減益要因になること、景気の先行き不透明感が続いていることもあってやや保守的に見て2ケタ減益計画とした。期中平均為替レートは前期の131.4円/ドルに対して129.0円/ドルを想定している(1円/ドルの円高で約50百万円の減益要因)。受注トレンドとしては、パソコンやスマートフォンなど最終需要の回復が期待される下期以降に上向きに転じるものと予想される。
3. PBR1.0倍超を早期実現すべく中期経営計画に新たな取り組みを追加
2023年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SNS2024(Sun-Wa New Stage 2024)」では、1) イノベーションが求められる成長分野への注力、2) より高付加価値な製品と新たなソリューションの提供、3) サステナビリティ経営による持続可能な社会の実現に貢献、の3点を基本方針として取り組み、最終年度となる2025年3月期に営業利益70億円を目標に掲げた(129円/ドル前提)。脱炭素化への取り組みが世界規模で進むなか、環境に優しい製品の販売を加速するほか、新たにEMS(エネルギーマネジメントシステム)事業を推進する。また、製造拠点見直しにより需要が高まっているグローバルSCMソリューションの取り組みを強化する方針で、2024年3月期は新たにインドにも現地法人を開設する予定である。なお、同社はPBR(株価純資産倍率)1.0倍超の早期実現を目指すための新たな取り組みについても発表している。具体的には、資本収益性の向上を図るべく、「イノベーション本部」を新設し技術戦略の立案を推進するほか、資本コストや株価を意識した経営を推進する。株主還元策としては連結配当性向25~35%を目安に配当を行い、自己株式の取得についても時期や財務状況に応じて機動的に実施する方針で、IR・SR活動も拡充することにしている。2023年3月期末の1株当たり純資産は2,873円、PBRは0.7倍の水準にとどまっており、この是正に取り組んでいく。
■Key Points
・2023年3月期は活発な設備投資や前倒し発注の効果もあって過去最高業績を大幅更新
・2024年3月期は前倒し需要の反動で減収減益に転じるものの、豊富な受注残が下支え
・2025年3月期に営業利益70億円達成に向けた取り組みは順調、新たにPBR1.0倍超を目指す施策を追加
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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