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サンワテクノスのニュース
■サンワテクノス<8137>の中期経営計画の進捗状況
5. 『持続可能な社会の実現への取り組み』の進捗状況
このテーマではICTの活用で「生産性を高める」働き方改革の実現が1つの目標として掲げられている。2019年7月に四国営業所を開設し、テレワークの試験的導入の取り組みを開始した。従来型の営業拠点は営業人員(フロント)と事務方(バックオフィス)で4~5名の人員体制が必要で、拠点運営費も高くなりがちであったが、四国営業所はバックオフィスを母店となる大阪支店からのテレワークでカバーすることで、フロント人員(2名)のみの常駐としている。半年間の成果を見ると、売上高が増加した一方で、費用が従来よりも3分の2抑制できたとしている。営業所の維持費用は掛かるものの、事務方の人件費や出張費の削減で吸収できることが確認された。売上高も従来より増加しているため、1人当たりの生産性は向上したことになる。
売上高が増加したのは、従来以上に顧客密着型の営業を行うことができたためと考えられる。同社のような産業機器を中心とした商社では顧客のニーズ(品質改善など)に対していかに迅速にサポートできるかが重要であり、そのため顧客に近い場所に営業拠点を設けることが受注獲得の近道とも言える。海外ではFA・産業機器分野においてもEC取引が普及拡大しているが、日本で訪問型対面営業が主流であり続けるのもこうしたことが理由となっている。
同社は四国営業所が成功したことから、他の地方拠点でも同様の取り組みを進めていくことを検討している。首都圏や中部、関西、九州エリアについては営業所も整備されているが、その他エリアについて見ると営業ネットワークはまだ未整備と言っても良い状況のためだ。北海道は営業拠点そのものがなく、電子デバイスの生産拠点集積地帯である東北地方も仙台の営業所1ヶ所(4~6名)で東北6県をカバーしているが、実際には新規顧客の開拓を十分できていない状況にあると推察される。北陸地方や中国地方についても同様で営業拠点は1ヶ所にとどまっている。同社の顧客ターゲットとなるFA・産業機器分野は地方にも優良企業が多く点在しており、こうした顧客に対して四国営業所と同様のモデルで営業所を展開することで、新規顧客を掘り起こしていく余地は十分あると弊社では考えている。
自動車業界向け売上高は完成車メーカーの生産調整により一旦落ち込むが、中長期的には成長トレンドが続く
6. 自動車関連ビジネスの拡大
自動車業界向けは車載電装品向けの電子部品ビジネスと自動車メーカーなどの工場における生産設備ビジネスと2種類に分けられる。このうち、ここ数年飛躍的に伸びているのは車載電装品向け電子部品のビジネスで、2020年3月期の売上高は前期比15.9%増の24,688百万円と好調を持続した。2016年3月期から見ると、4年間で売上高が6倍弱に急拡大したことになる。2021年3月期は前述したように、国内での自動車生産台数が4月以降、大幅に落ち込む見通しとなっていることから、短期的には減少に転じる可能性が大きい。ただ、自動車はEV化や自動運転技術の普及、5Gの商用化サービス開始を契機としたMaaS(Mobility as a Service)の普及などを背景に、今後も技術的な進化が続く見通しであり、それに伴って新たなシステムが搭載されることが想定され、中長期的には成長トレンドが続くものと弊社では考えている。既に同社の売上高構成比でも20%を超え、FA・産業機器分野に次ぐ売上を占めているだけに、今後も同社の売上拡大を支えていく主力分野として成長が期待される。課題は利益率の低さだが、現時点では具体的な向上施策は見えていない。同ビジネスについても、部品単体売りではなく、モジュール化して販売することで付加価値を付けることは可能と見られるが、技術ノウハウの蓄積に時間を要するだけに、将来的な課題と言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
5. 『持続可能な社会の実現への取り組み』の進捗状況
このテーマではICTの活用で「生産性を高める」働き方改革の実現が1つの目標として掲げられている。2019年7月に四国営業所を開設し、テレワークの試験的導入の取り組みを開始した。従来型の営業拠点は営業人員(フロント)と事務方(バックオフィス)で4~5名の人員体制が必要で、拠点運営費も高くなりがちであったが、四国営業所はバックオフィスを母店となる大阪支店からのテレワークでカバーすることで、フロント人員(2名)のみの常駐としている。半年間の成果を見ると、売上高が増加した一方で、費用が従来よりも3分の2抑制できたとしている。営業所の維持費用は掛かるものの、事務方の人件費や出張費の削減で吸収できることが確認された。売上高も従来より増加しているため、1人当たりの生産性は向上したことになる。
売上高が増加したのは、従来以上に顧客密着型の営業を行うことができたためと考えられる。同社のような産業機器を中心とした商社では顧客のニーズ(品質改善など)に対していかに迅速にサポートできるかが重要であり、そのため顧客に近い場所に営業拠点を設けることが受注獲得の近道とも言える。海外ではFA・産業機器分野においてもEC取引が普及拡大しているが、日本で訪問型対面営業が主流であり続けるのもこうしたことが理由となっている。
同社は四国営業所が成功したことから、他の地方拠点でも同様の取り組みを進めていくことを検討している。首都圏や中部、関西、九州エリアについては営業所も整備されているが、その他エリアについて見ると営業ネットワークはまだ未整備と言っても良い状況のためだ。北海道は営業拠点そのものがなく、電子デバイスの生産拠点集積地帯である東北地方も仙台の営業所1ヶ所(4~6名)で東北6県をカバーしているが、実際には新規顧客の開拓を十分できていない状況にあると推察される。北陸地方や中国地方についても同様で営業拠点は1ヶ所にとどまっている。同社の顧客ターゲットとなるFA・産業機器分野は地方にも優良企業が多く点在しており、こうした顧客に対して四国営業所と同様のモデルで営業所を展開することで、新規顧客を掘り起こしていく余地は十分あると弊社では考えている。
自動車業界向け売上高は完成車メーカーの生産調整により一旦落ち込むが、中長期的には成長トレンドが続く
6. 自動車関連ビジネスの拡大
自動車業界向けは車載電装品向けの電子部品ビジネスと自動車メーカーなどの工場における生産設備ビジネスと2種類に分けられる。このうち、ここ数年飛躍的に伸びているのは車載電装品向け電子部品のビジネスで、2020年3月期の売上高は前期比15.9%増の24,688百万円と好調を持続した。2016年3月期から見ると、4年間で売上高が6倍弱に急拡大したことになる。2021年3月期は前述したように、国内での自動車生産台数が4月以降、大幅に落ち込む見通しとなっていることから、短期的には減少に転じる可能性が大きい。ただ、自動車はEV化や自動運転技術の普及、5Gの商用化サービス開始を契機としたMaaS(Mobility as a Service)の普及などを背景に、今後も技術的な進化が続く見通しであり、それに伴って新たなシステムが搭載されることが想定され、中長期的には成長トレンドが続くものと弊社では考えている。既に同社の売上高構成比でも20%を超え、FA・産業機器分野に次ぐ売上を占めているだけに、今後も同社の売上拡大を支えていく主力分野として成長が期待される。課題は利益率の低さだが、現時点では具体的な向上施策は見えていない。同ビジネスについても、部品単体売りではなく、モジュール化して販売することで付加価値を付けることは可能と見られるが、技術ノウハウの蓄積に時間を要するだけに、将来的な課題と言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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