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岩谷産業のニュース
■ポエック<9264>の中長期の成長戦略
3. 新市場開拓戦略
(1) マリンリバーの買収による養殖設備製造市場への参入
農林水産省が2030年の養殖魚輸出額を2018年比で10倍の増加を目指しているということもあり、養殖漁業の業界には電力会社など他業種からの参入が始まっている。漁業は「獲る」から「育てる」という栽培漁業や養殖漁業の拡大が予想される。栽培漁業は、卵から稚魚になるまでの一番弱い期間を人間が守り育て、外敵から身を守ることができるまでになれば生息するのに適した海に放流し、自然の海で成長したものを漁獲する。養殖漁業では、出荷サイズになるまで水槽や生簀で育て、放流はしない。漁業・養殖業の生産量のうち、養殖業は約4分の1を占める。
水産物養殖関連設備でニッチトップ企業であるマリンリバーの2020年9月期の業績は、売上高が198百万円、経常利益が41百万円、売上高経常利益率が20.7%の高収益会社である。総資産は265百万円、純資産が199百万円と総資産に占める比率は74.9%と高い。同社グループ入りしたことで、大型投資が可能となる。同社は、マリンリバーの売上高を長期的に現在の10倍の規模にするというレベルのスケールを想定している。また、製造及び販売面での相乗効果を発揮して成長機会の獲得を図る方針だ。マリンリバーの主要製品については、ほかの同社グループ企業が一部製造できるものもあるほか、その製品納入先には同社グループの商品であるポンプやブロワなども付随して販売できる可能性がある。
(2) 消火装置「ナイアス」の新たな市場開拓は原子力発電所と水素ステーション
電気不要の消火装置「ナイアス」は、南極昭和基地にこれまで11台納入した実績がある。消防法によりスプリンクラー設置義務のある病院や介護福祉施設などの既存市場で引き続き拡販を図っていく。新たな市場開拓として、同社は原子力発電所と水素ステーションをにらむ。「ナイアス」は非常電源を設置する必要がなく、地震や津波などの自然災害時にも動作するという強みがある。日本最大となる原子力発電所に納入する事案が進行中だ。同社は、実績ができれば横展開する方針としている。
CO2を排出しない次世代の燃料電池自動車(FCV)は、普及が約6,000台と未だ限定的だ。2021年8月末時点で設置されている水素ステーションは、整備中を含めて166ヶ所にとどまる。日本政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言したことで、今後の加速が見込まれる。2021年6月に改訂されたグリーン成長戦略において、水素ステーションに関する新たな政府目標は2030年1,000基と設定された。同社は、水素ステーション向けでは業界トップの岩谷産業<8088>への納入実績がある。2021年8月期に続き、2022年8月期も納入を予定している。
新種ウイルスの不活化に向けたオゾン装置の開発
4. 新商品開発戦略
オゾンによるウイルス不活性化効果はコロナ禍のなか注目を浴びており、同社は安全面及び機能面でさらに進化したウイルス対応のオゾン装置の開発と市場への早期投入を目指す。
同社は2020年7月、国立大学法人東北大学と多様なウイルスに対して有効な不活化機能を発揮するオゾン装置を共同開発する研究契約を締結した。同大学の国際放射光イノベーション・スマート研究センターと同大学大学院農学研究科との共同研究テーマは「オゾンガスがウイルスに及ぼす影響と研究成果に基づく、ウイルス被害に有効なオゾン装置の開発」である。2023年の製品化を計画しており、海外展開も視野に入れている。同社は非加熱殺菌装置市場でシェアトップを目指すとしている。非加熱殺菌装置には、紫外線殺菌装置、次亜塩素酸系水溶液、オゾン水生成装置、オゾンや過酸化水素ガス生成装置、高圧殺菌装置などが含まれる。なお、共同研究において利活用される技術は、オゾンガス発生及びオゾン水製造技術(2020年~)、次世代放射光技術によるメカニズム解明FS(2020年~)、次世代放射光施設(2023年~)とナノバブル技術(2021年~)がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<EY>
3. 新市場開拓戦略
(1) マリンリバーの買収による養殖設備製造市場への参入
農林水産省が2030年の養殖魚輸出額を2018年比で10倍の増加を目指しているということもあり、養殖漁業の業界には電力会社など他業種からの参入が始まっている。漁業は「獲る」から「育てる」という栽培漁業や養殖漁業の拡大が予想される。栽培漁業は、卵から稚魚になるまでの一番弱い期間を人間が守り育て、外敵から身を守ることができるまでになれば生息するのに適した海に放流し、自然の海で成長したものを漁獲する。養殖漁業では、出荷サイズになるまで水槽や生簀で育て、放流はしない。漁業・養殖業の生産量のうち、養殖業は約4分の1を占める。
水産物養殖関連設備でニッチトップ企業であるマリンリバーの2020年9月期の業績は、売上高が198百万円、経常利益が41百万円、売上高経常利益率が20.7%の高収益会社である。総資産は265百万円、純資産が199百万円と総資産に占める比率は74.9%と高い。同社グループ入りしたことで、大型投資が可能となる。同社は、マリンリバーの売上高を長期的に現在の10倍の規模にするというレベルのスケールを想定している。また、製造及び販売面での相乗効果を発揮して成長機会の獲得を図る方針だ。マリンリバーの主要製品については、ほかの同社グループ企業が一部製造できるものもあるほか、その製品納入先には同社グループの商品であるポンプやブロワなども付随して販売できる可能性がある。
(2) 消火装置「ナイアス」の新たな市場開拓は原子力発電所と水素ステーション
電気不要の消火装置「ナイアス」は、南極昭和基地にこれまで11台納入した実績がある。消防法によりスプリンクラー設置義務のある病院や介護福祉施設などの既存市場で引き続き拡販を図っていく。新たな市場開拓として、同社は原子力発電所と水素ステーションをにらむ。「ナイアス」は非常電源を設置する必要がなく、地震や津波などの自然災害時にも動作するという強みがある。日本最大となる原子力発電所に納入する事案が進行中だ。同社は、実績ができれば横展開する方針としている。
CO2を排出しない次世代の燃料電池自動車(FCV)は、普及が約6,000台と未だ限定的だ。2021年8月末時点で設置されている水素ステーションは、整備中を含めて166ヶ所にとどまる。日本政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言したことで、今後の加速が見込まれる。2021年6月に改訂されたグリーン成長戦略において、水素ステーションに関する新たな政府目標は2030年1,000基と設定された。同社は、水素ステーション向けでは業界トップの岩谷産業<8088>への納入実績がある。2021年8月期に続き、2022年8月期も納入を予定している。
新種ウイルスの不活化に向けたオゾン装置の開発
4. 新商品開発戦略
オゾンによるウイルス不活性化効果はコロナ禍のなか注目を浴びており、同社は安全面及び機能面でさらに進化したウイルス対応のオゾン装置の開発と市場への早期投入を目指す。
同社は2020年7月、国立大学法人東北大学と多様なウイルスに対して有効な不活化機能を発揮するオゾン装置を共同開発する研究契約を締結した。同大学の国際放射光イノベーション・スマート研究センターと同大学大学院農学研究科との共同研究テーマは「オゾンガスがウイルスに及ぼす影響と研究成果に基づく、ウイルス被害に有効なオゾン装置の開発」である。2023年の製品化を計画しており、海外展開も視野に入れている。同社は非加熱殺菌装置市場でシェアトップを目指すとしている。非加熱殺菌装置には、紫外線殺菌装置、次亜塩素酸系水溶液、オゾン水生成装置、オゾンや過酸化水素ガス生成装置、高圧殺菌装置などが含まれる。なお、共同研究において利活用される技術は、オゾンガス発生及びオゾン水製造技術(2020年~)、次世代放射光技術によるメカニズム解明FS(2020年~)、次世代放射光施設(2023年~)とナノバブル技術(2021年~)がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<EY>
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