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グローブライド Research Memo(6):攻めの経営で海外市場を開拓する「新・中期経営計画2025」を発表

配信元:フィスコ
投稿:2022/06/24 15:06
■成長戦略・トピックス

1. 攻めの経営で海外市場を開拓する「新・中期経営計画2025」を発表
グローブライド<7990>は「中期経営計画2023」を推進していたが、初年度である2022年3月期に3年後の目標を2年前倒しで達成したことから、2022年5月に「新・中期経営計画2025」を新たに発表した。「新・中期経営計画2025」では、最終年度である2026年3月期の到達目標として、連結売上高150,000百万円(2022年3月期比24.3%増)、連結営業利益14,500百万円(同17.9%増)、配当金90円(同40円増)を掲げている。フィッシング総合用品企業として世界トップの同社ではあるが、海外でのシェアは国内よりも低く1ケタ台である。特に世界最大の市場である北米市場や、市場成長が著しいアジア・オセアニアでは大きな成長ポテンシャルがあると言えるだろう。

海外市場の攻略に当たっては、世界4ブロックごとに戦略を策定し実行する。米国市場では、主力のバス釣り用品を中心に、各地域でドミナントの小売りチェーンのニーズをとらえたPB製品の提供などを含めた市場優位な製品投入により、世界最大の市場においてさらなるシェア向上を狙う。成熟市場である欧州市場では、ボリュームゾーンの製品強化と東欧でのシェア向上を目指す。今後市場成長が見込まれる市場であるアジア・オセアニアでは、市場に即した製品を投入し、収益向上を目指す。注目すべき国・地域としては、ルアーフィッシングの成長が期待される中国、海釣りを中心に魚種毎に細分化した製品・マーケティングが有効なオセアニア、レジャーとしてフィッシングの拡大が期待できる東南アジア諸国がある。

なお、営業利益に関しては年率4.2%増と堅調に推移する一方で、営業利益率は最終年度(2026年3月期)に9.7%(2022年3月期比0.6ポイント低下)とわずかに低下する計画である。これは、直近の世界的な原料価格高騰や円安などの不透明なリスクを盛り込んだことに加え、2022年3月期決算の特殊要因として、コロナ禍で販促費が十分にかけられない状況だったことがある。同社としては、十分に販促費を投入したうえで、2026年3月期の営業利益率9.7%を目指す考えだ。


廃棄漁網をアパレルアイテムへ変えるアップサイクルプロジェクトが注目

2. Be Earth-Friendly —漁網アップサイクルプロジェクト—
同社は2022年3月、東京のファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W(公式会場は表参道ヒルズ)」で「Be Earth-Friendly −漁網アップサイクルプロジェクト−」を発表し、ファッション業界から注目を集めた。同プロジェクトは、同社が海洋環境の悪化を大きな課題と捉え、課題解決に取り組むリサイクル活動の一環として、まず廃棄漁網をマテリアルリサイクルしサロペットやレインウェアなどへと再生させ、漁協関係者へと還元することで廃棄物から新たな価値を生み出すことを目指している。使用済み漁網は分別が難しく、燃やす処理もできないため、その廃棄方法に苦慮する現況の問題解決の1つとして、同プロジェクトでは回収した廃棄漁網を洗浄・裁断・溶解を経て再生糸の原料となる「ペレット」を製作し、そのペレットから紡糸することで、リサイクル生地を製作した。漁網から再生された生地からはサロペットやレインウェアが製作され、また漁業関係者の元に戻るという、わかりやすい循環を生んだ。今回発表されたサロペットやレインウェアは、今後商品化して、主力の「DAIWA(ダイワ)」ブランドにおけるフィッシングウェアとしても発売していく予定だという。このような取り組みを通じて、既存ブランドに環境という新たな価値が付加されるという効果も期待できる。


世界を牽引する企業としての矜持を持って社会貢献や環境問題に取り組む

3. サステナビリティ経営の推進
(1) CSR活動からサステナビリティ経営へ
同社は「A Lifetime Sports Company(人生を豊かにするスポーツ)」をコーポレートドメインに掲げており、事業を通じて社会貢献や環境保全、そしてフィッシング市場の活性化などに積極的に取り組んでいる。一例を挙げると、2006年にはCSR委員会を設置し、体制を強化した。2021年にはSDGsプロジェクトを開始、2022年にはサステナビリティ推進室を設置した。サステナビリティ経営は「新・中期経営計画2025」の重点テーマでもあり、全社を挙げて取り組む体制が整った。弊社では、これらの取り組みはESGという点では極めて有意義なものであり、中長期的に同社の価値向上にポジティブに働くと考えている。

(2) 社会貢献活動事例:「D.Y.F.C(ダイワヤングフィッシングクラブ)」
社会貢献やフィッシング市場の活性化への取り組みとしては、1976年から活動を続けている「D.Y.F.C(ダイワヤングフィッシングクラブ)」がある。小・中学生を対象としたもので、子どもたちが釣りを通して自然との触れ合いを体験できる独自の試みは、釣りファンを増やすと同時に、次代を担う子どもたちの健全な育成に寄与することを狙いとしている。40年以上の歴史を積み重ねて、クラブ創設期の会員が子育てを終え、国内の釣り人口が拡大した90年代の会員層も親世代となり、子の世代に受け継ぐ段階に入っている。近年はコロナ禍の影響により、社会貢献イベントやセミナーが制限されていたものの、2022年秋から再開を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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配信元: フィスコ
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