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ウェーブロックホールディングスのニュース
*12:09JST ウェーブロックHD Research Memo(9):弊社算出のEBITDAベースでは2ケタ増益に転じる見通し
■今後の見通し
1. 2024年3月期の業績見通し
ウェーブロックホールディングス<7940>の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.5%増の24,500百万円、営業利益で同13.3%減の300百万円、経常利益で同52.7%減の340百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同92.7%減の170百万円と増収減益を見込む。自動車向け金属調加飾フィルムや地中熱ビジネスの拡大により売上高は増収を見込むが、原材料価格の高止まりやエネルギーコストの上昇など厳しい事業環境が続くことを前提としていることや、アドバンストテクノロジー事業の能力増強投資に伴い減価償却費が前期比220百万円増加することが減益要因となる。ただ、弊社が算出した本来の収益力を示すEBITDAベースでは同17.0%増の1,197百万円と増益に転じる見通しだ。営業外収支は為替差益や保険解約返戻金が無くなるため、同332百万円の悪化を見込む。業績予想の前提となるナフサ価格は65,000円kl/円(前期は72,500円/kl)、為替は前期と同水準の135円/ドルとなっている。
なお、2024年3月期は3か年中期経営計画の最終年度となる。当初の業績目標は売上高で24,500百万円、営業利益で1,260百万円を掲げており、売上高に関して概ね想定通りとなる見込みだが、営業利益について960百万円の未達となる見通しだ。事業セグメント別では、マテリアルソリューション事業で720百万円の未達(原材料価格及びエネルギーコストの上昇で460百万円、計画時からの需要減少で260百万円)、アドバンストテクノロジー事業で200百万円の未達(先行投資による減価償却費の増加等)となる。ただ、アドバンストテクノロジー事業に関しては、EBITDAベース2022年3月期431百万円、2023年3月期518百万円、2024年3月期で675百万円と2ケタ増ペースで成長する見込であり、順調に事業基盤が拡大しているものと評価される。
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアルソリューション事業の売上高は前期比5.1%増の19,000百万円、営業利益は同9.9%増の680百万円となる見通し。売上高で約10億円の増収となるが、このうち7億円弱を地中熱ビジネスの増収で見込んでおり、その他の既存事業については市場環境が不透明なこともあり微増収で計画している。
地中熱ビジネスに関しては、既にビニルハウス栽培などの施設園芸農業や工場など多くの引き合いが入ってきているもようだ。脱炭素化に取り組む企業や自治体が増加していることや昨年来のエネルギーコストの上昇も追い風となっている。国や地方自治体から約3~6割の補助金が出ることもあり、今後の成長が期待できるビジネスとして注目される。設置工事についてはエイゼンコーポレーションが請負うことになるが、農業分野や工場分野でのグループ製品も合わせたソリューション提案を行うことも可能となり、2024年3月期から本格的に利益貢献する見通しだ。一方、既存事業に関しては引き続き市況変動の影響を受け難い事業構造への転換に取り組んでいくことにしている。
(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業の売上高は前期比21.0%増の5,500百万円、営業利益は同17.4%減の300百万円を見込む。引き続き自動車向けフィルム製品の拡販に注力していく。米国自動車メーカーの要請に対応すべく、オハイオ州に金属調加飾フィルムを使った成形品の製造拠点を新設するための準備に着手した。2023年3月期は古河工場の能力増強や、成形品の製造を行う名古屋第二工場の新設等を中心に約13億円の設備投資を実施したが、2024年3月期も6億円強の投資を計画している。設備投資の実施により同事業の減価償却費も前期の155百万円から375百万円に増加することになるが、今後の事業拡大により、投資金額は3~5年で回収する予定となっている。
樹脂成形加工の同業と資本業務提携契約を締結、協業によるシナジー創出に期待
2. RP東プラとの資本業務提携契約について
同社は2023年5月に、樹脂加工分野の同業で事業規模も同等水準にあるRP東プラとの資本業務提携契約を締結することを発表した。RP東プラはプラスチック総合加工メーカーで、国内外に広範な生産体制を構築し(海外はインドネシア、ベトナム、マレーシアに製造販売子会社を保有)、幅広い業界で事業展開している。なかでも食品業界向けのPETシート(ペットボトル、食品包装材等)で高シェアを持つほか、大型プラスチック成形品などでも豊富な実績を持つ。同社の発表資料によれば2022年3月期のRP東プラの連結業績は売上高で23,141百万円、営業利益で1,084百万円となっており、売上規模はほぼ同水準で営業利益はやや上回る規模となる。
今回の資本業務提携の目的として、以下の5点を挙げている。
(1) 顧客開拓の協働や相互生産受委託の推進
(2) 既存事業再構築による収益力強化
(3) 技術・ノウハウ・アセットを有効活用した製品の生産規模拡張
(4) インドネシア・タイ・ベトナム拠点活用による ASEAN市場開拓
(5) 生産・物流拠点の最適化、営業力・購買力の強化
特に、同社で期待しているのは食品包材分野での協業による収益力強化となる。同社はパッケージングソリューションとして食品包装用樹脂製品を手掛けているが、生産性が低いことが課題となっていた。今回の提携により先方の生産拠点や製造設備を活用することで、生産性の向上が見込まれる。また、海外市場を中心に高成長が期待できる自動車向け製品に関して、アジア圏での製造が必要となった場合に、RP東プラの海外拠点活用の可能性など、提携によるシナジー効果は大きいと同社では見ている。このため、提携後の協業の進捗具合を見てプラスの効果があると判断した場合は、過半の株式を追加取得し連結対象子会社とすることも視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
1. 2024年3月期の業績見通し
ウェーブロックホールディングス<7940>の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.5%増の24,500百万円、営業利益で同13.3%減の300百万円、経常利益で同52.7%減の340百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同92.7%減の170百万円と増収減益を見込む。自動車向け金属調加飾フィルムや地中熱ビジネスの拡大により売上高は増収を見込むが、原材料価格の高止まりやエネルギーコストの上昇など厳しい事業環境が続くことを前提としていることや、アドバンストテクノロジー事業の能力増強投資に伴い減価償却費が前期比220百万円増加することが減益要因となる。ただ、弊社が算出した本来の収益力を示すEBITDAベースでは同17.0%増の1,197百万円と増益に転じる見通しだ。営業外収支は為替差益や保険解約返戻金が無くなるため、同332百万円の悪化を見込む。業績予想の前提となるナフサ価格は65,000円kl/円(前期は72,500円/kl)、為替は前期と同水準の135円/ドルとなっている。
なお、2024年3月期は3か年中期経営計画の最終年度となる。当初の業績目標は売上高で24,500百万円、営業利益で1,260百万円を掲げており、売上高に関して概ね想定通りとなる見込みだが、営業利益について960百万円の未達となる見通しだ。事業セグメント別では、マテリアルソリューション事業で720百万円の未達(原材料価格及びエネルギーコストの上昇で460百万円、計画時からの需要減少で260百万円)、アドバンストテクノロジー事業で200百万円の未達(先行投資による減価償却費の増加等)となる。ただ、アドバンストテクノロジー事業に関しては、EBITDAベース2022年3月期431百万円、2023年3月期518百万円、2024年3月期で675百万円と2ケタ増ペースで成長する見込であり、順調に事業基盤が拡大しているものと評価される。
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアルソリューション事業の売上高は前期比5.1%増の19,000百万円、営業利益は同9.9%増の680百万円となる見通し。売上高で約10億円の増収となるが、このうち7億円弱を地中熱ビジネスの増収で見込んでおり、その他の既存事業については市場環境が不透明なこともあり微増収で計画している。
地中熱ビジネスに関しては、既にビニルハウス栽培などの施設園芸農業や工場など多くの引き合いが入ってきているもようだ。脱炭素化に取り組む企業や自治体が増加していることや昨年来のエネルギーコストの上昇も追い風となっている。国や地方自治体から約3~6割の補助金が出ることもあり、今後の成長が期待できるビジネスとして注目される。設置工事についてはエイゼンコーポレーションが請負うことになるが、農業分野や工場分野でのグループ製品も合わせたソリューション提案を行うことも可能となり、2024年3月期から本格的に利益貢献する見通しだ。一方、既存事業に関しては引き続き市況変動の影響を受け難い事業構造への転換に取り組んでいくことにしている。
(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業の売上高は前期比21.0%増の5,500百万円、営業利益は同17.4%減の300百万円を見込む。引き続き自動車向けフィルム製品の拡販に注力していく。米国自動車メーカーの要請に対応すべく、オハイオ州に金属調加飾フィルムを使った成形品の製造拠点を新設するための準備に着手した。2023年3月期は古河工場の能力増強や、成形品の製造を行う名古屋第二工場の新設等を中心に約13億円の設備投資を実施したが、2024年3月期も6億円強の投資を計画している。設備投資の実施により同事業の減価償却費も前期の155百万円から375百万円に増加することになるが、今後の事業拡大により、投資金額は3~5年で回収する予定となっている。
樹脂成形加工の同業と資本業務提携契約を締結、協業によるシナジー創出に期待
2. RP東プラとの資本業務提携契約について
同社は2023年5月に、樹脂加工分野の同業で事業規模も同等水準にあるRP東プラとの資本業務提携契約を締結することを発表した。RP東プラはプラスチック総合加工メーカーで、国内外に広範な生産体制を構築し(海外はインドネシア、ベトナム、マレーシアに製造販売子会社を保有)、幅広い業界で事業展開している。なかでも食品業界向けのPETシート(ペットボトル、食品包装材等)で高シェアを持つほか、大型プラスチック成形品などでも豊富な実績を持つ。同社の発表資料によれば2022年3月期のRP東プラの連結業績は売上高で23,141百万円、営業利益で1,084百万円となっており、売上規模はほぼ同水準で営業利益はやや上回る規模となる。
今回の資本業務提携の目的として、以下の5点を挙げている。
(1) 顧客開拓の協働や相互生産受委託の推進
(2) 既存事業再構築による収益力強化
(3) 技術・ノウハウ・アセットを有効活用した製品の生産規模拡張
(4) インドネシア・タイ・ベトナム拠点活用による ASEAN市場開拓
(5) 生産・物流拠点の最適化、営業力・購買力の強化
特に、同社で期待しているのは食品包材分野での協業による収益力強化となる。同社はパッケージングソリューションとして食品包装用樹脂製品を手掛けているが、生産性が低いことが課題となっていた。今回の提携により先方の生産拠点や製造設備を活用することで、生産性の向上が見込まれる。また、海外市場を中心に高成長が期待できる自動車向け製品に関して、アジア圏での製造が必要となった場合に、RP東プラの海外拠点活用の可能性など、提携によるシナジー効果は大きいと同社では見ている。このため、提携後の協業の進捗具合を見てプラスの効果があると判断した場合は、過半の株式を追加取得し連結対象子会社とすることも視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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