735円
ウェーブロックホールディングスのニュース
■ウェーブロックホールディングス<7940>の今後の見通し
3. 事業セグメント別の成長戦略
(1) マテリアルソリューション事業
2024年3月期に売上高で186億円、営業利益で14.0億円を目標に掲げている。既述のとおり、原材料価格の高騰による値上げを実施していることやエイゼンコーポレーションを子会社化したことにより、売上高については達成する見通しであるものの、利益面ではハードルが高くなっている。今後の原材料価格の動向や売価転嫁値上げ状況次第で2024年3月期の利益水準は変わってくるものと見られる。
収益基盤の強化施策としては、生産性向上を目的とした生産体制の再構築(外部生産委託を含む)や、流通チャネルの最適化による販売効率の向上に加えて、競合優位性があり差別化が可能な製品やサービスの育成により、原材料価格の動向に左右されづらい事業構造への転換を図る。一方、新規分野としては環境関連ビジネスと海外市場の開拓を進める。
環境関連ビジネスでは、高効率エネルギーシステム「ヒートクラスター(R)」による地中熱ビジネスを育成する方針だ。従来はシステムの販売のみであったが、2023年3月期からはエイゼンコーポレーションを元請けとして設計・施工まで行うシステムインテグレータとして事業を拡大していく。一方、環境対応素材製品の展開も推進しており、2022年3月期にはポーション型コーヒーフレッシュでは業界初となる植物由来のバイオマスプラスチック配合製品の販売を開始し、横展開を進めている。食品のロングライフ化やリサイクル可能な建設資材の開発等、環境対応に関する顧客ニーズは拡大しており、こうしたニーズに迅速に対応することで、持続的な成長を目指す。
海外市場開拓では、アジア各国への農業用資材販売の拡大を目指す。中国では、現地子会社と連携しながら有力な販売パートナーを探索し、日本製の高付加価値品を販売する。韓国では現地販売チャネルを開拓し、遮光ネットを販売する。ベトナムでは現地企業と協業して、周辺国を含めて遮熱ネットや防虫ネットを拡販する。ただし、中期3か年計画では海外展開のための基盤固めを行う期間と位置付けており、本格的な売上寄与は2025年3月期以降と見られる。
(2) アドバンストテクノロジー事業
2024年3月期に売上高で59億円、営業利益で5.0億円を目標に掲げている。既述のとおり金属調加飾フィルムの販売が好調で、利益ベースでは計画を上回る進捗となっていることから、2024年3月期に当初利益目標を達成する可能性が高い。
同社は金属調加飾フィルムの技術的競合優位性を確保するため、開発投資を継続しつつ、多様な顧客ニーズに対する提案力の強化と、小ロット多品種生産でも収益力を維持・向上していくための設備投資・人材投資を推進していく。具体的には、国際的な品質管理基準となる「IATF16949」の認定を取得したことで、電気自動車向けを中心に新規顧客の拡大を目指す。販売戦略としては、北米、欧州の販売拠点体制を強化するほか、中国では現地パートナーと連携しながら営業・技術サポート体制の構築を図る。生産体制としては、現状はすべて国内生産であるものの、米系顧客から米国現地生産の要請を受けていることもあり、状況によっては現地生産拠点の開設または生産委託先の探索などを進めることとしている。
金属調加飾フィルムの需要拡大が期待できる要因としては、電波透過性並びに光透過性、意匠性の高さに加えて、環境にも優しいという点が挙げられる。自動車業界ではCO2排出規制や環境規制などを背景に、EV車の普及だけでなく環境負荷の高いメッキ加工品の代替として金属調加飾フィルムの採用が徐々に広がっている。フロントグリルのエンブレムやドアハンドル、スキッドプレートなどの外装品のほか、内装品でも採用事例が増えてきている。EV車では、内装や外装デザインのトレンドも大きく変化してきており、同社にとって受注拡大の好機となっている。中期的に同社業績のけん引役になると弊社では注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NS>
3. 事業セグメント別の成長戦略
(1) マテリアルソリューション事業
2024年3月期に売上高で186億円、営業利益で14.0億円を目標に掲げている。既述のとおり、原材料価格の高騰による値上げを実施していることやエイゼンコーポレーションを子会社化したことにより、売上高については達成する見通しであるものの、利益面ではハードルが高くなっている。今後の原材料価格の動向や売価転嫁値上げ状況次第で2024年3月期の利益水準は変わってくるものと見られる。
収益基盤の強化施策としては、生産性向上を目的とした生産体制の再構築(外部生産委託を含む)や、流通チャネルの最適化による販売効率の向上に加えて、競合優位性があり差別化が可能な製品やサービスの育成により、原材料価格の動向に左右されづらい事業構造への転換を図る。一方、新規分野としては環境関連ビジネスと海外市場の開拓を進める。
環境関連ビジネスでは、高効率エネルギーシステム「ヒートクラスター(R)」による地中熱ビジネスを育成する方針だ。従来はシステムの販売のみであったが、2023年3月期からはエイゼンコーポレーションを元請けとして設計・施工まで行うシステムインテグレータとして事業を拡大していく。一方、環境対応素材製品の展開も推進しており、2022年3月期にはポーション型コーヒーフレッシュでは業界初となる植物由来のバイオマスプラスチック配合製品の販売を開始し、横展開を進めている。食品のロングライフ化やリサイクル可能な建設資材の開発等、環境対応に関する顧客ニーズは拡大しており、こうしたニーズに迅速に対応することで、持続的な成長を目指す。
海外市場開拓では、アジア各国への農業用資材販売の拡大を目指す。中国では、現地子会社と連携しながら有力な販売パートナーを探索し、日本製の高付加価値品を販売する。韓国では現地販売チャネルを開拓し、遮光ネットを販売する。ベトナムでは現地企業と協業して、周辺国を含めて遮熱ネットや防虫ネットを拡販する。ただし、中期3か年計画では海外展開のための基盤固めを行う期間と位置付けており、本格的な売上寄与は2025年3月期以降と見られる。
(2) アドバンストテクノロジー事業
2024年3月期に売上高で59億円、営業利益で5.0億円を目標に掲げている。既述のとおり金属調加飾フィルムの販売が好調で、利益ベースでは計画を上回る進捗となっていることから、2024年3月期に当初利益目標を達成する可能性が高い。
同社は金属調加飾フィルムの技術的競合優位性を確保するため、開発投資を継続しつつ、多様な顧客ニーズに対する提案力の強化と、小ロット多品種生産でも収益力を維持・向上していくための設備投資・人材投資を推進していく。具体的には、国際的な品質管理基準となる「IATF16949」の認定を取得したことで、電気自動車向けを中心に新規顧客の拡大を目指す。販売戦略としては、北米、欧州の販売拠点体制を強化するほか、中国では現地パートナーと連携しながら営業・技術サポート体制の構築を図る。生産体制としては、現状はすべて国内生産であるものの、米系顧客から米国現地生産の要請を受けていることもあり、状況によっては現地生産拠点の開設または生産委託先の探索などを進めることとしている。
金属調加飾フィルムの需要拡大が期待できる要因としては、電波透過性並びに光透過性、意匠性の高さに加えて、環境にも優しいという点が挙げられる。自動車業界ではCO2排出規制や環境規制などを背景に、EV車の普及だけでなく環境負荷の高いメッキ加工品の代替として金属調加飾フィルムの採用が徐々に広がっている。フロントグリルのエンブレムやドアハンドル、スキッドプレートなどの外装品のほか、内装品でも採用事例が増えてきている。EV車では、内装や外装デザインのトレンドも大きく変化してきており、同社にとって受注拡大の好機となっている。中期的に同社業績のけん引役になると弊社では注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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